PCTワシントン州の実体験と歩き終わってからの記録

ロングトレイル

PCT(Pacific Crest Trail)の最終セクション、ワシントン州。 オレゴン州の平坦な道に慣れたハイカーを待ち受けるのは、「シエラ再来」を思わせる過酷なアップダウンと、北ターミナル。そう、長かったPCTハイキングの終了です。

2025年に実際にPCTを歩いた経験をもとに紹介していきます。

なぜ「ワシントンはキツい」のか?シエラに匹敵するその正体

オレゴン州では1日35マイル(約56km)歩けていたハイカーも、ワシントンに入ると30マイル(約48km)までペースが落ちる事が多い。僕もそうだった。行動時間は朝6時前スタートで6時に終わる12時間行程のハイカーが多い印象。僕は7時スタート6時前終わり。朝は遅い。

標高に騙されない「のこぎり型」の行程

ワシントン州の標高は7,000ft(約2,100m)未満と、シエラに比べれば低めだ。平均標高も最高標高も、足元にも及ばない。しかし、稜線歩き区間が少なく、「深く下って、また激しく登る」の繰り返しが永遠と続く。毎日数千フィートの登りと下りがあり故障も多い。

  • 激しい勾配: 特に下りの勾配が急で、多くのハイカーが膝を痛めてしまいます。ゆっくりと下ると、ケガの可能性が小さくなります。移動距離ではなく、足をマネジメントする方向で歩きましょう。
  • 実体験: 僕も膝を痛め、トラウトレイク(Trout Lake)で一時休止を余儀なくされました。膝を痛めてしまい、歩くのが難しくなったのです。そこで、サポーターは追加で装備しなんとか歩き始める事が出来ました。

標高差は激しいが、標高は低い。けれども、毎日かなり冷え込むようになる。特に、9月中ごろ以降は雪が降る可能性も考慮しておく方がいだろう。2024年は10月に入ると雪でトレイルを歩くのは難しくなったと聞いた。

荒れているトレイルも多い

特にワシントンでは、整備が難しい個所が多くある。シエラのように山の深い所を歩く影響だ。地図アプリのコメントを見つつ、対策をしていくのが良いと思う。場合によっては迂回を進められることがある。2025年は迂回が進められていたが、迂回せずに歩くことも可能だった。詳しくはPCTAのサイトを見て判断すると良い。

恐らくワシントン州に入るころには、多少草木で叩かれようとも気にしないと思っている。外付けしている場合は、注意しなければならない。低木に引っかかって、ギアを紛失しているハイカーを数名見かけた。僕も、外付けにしていたマットはボロボロになっている。

眺望と森のギャップ

深い森が続く区間が多く、景色が開けるのは山頂付近のみ。だからこそ、ピークに立った時の緑と眺望のバランスはPCT全行程の中でも最高峰ともいえる。「シエラよりもワシントンが好き」というハイカーが多いのも納得だ。緑と雪と岩稜帯のコントラストが美しく、特にマウントアダムスは、氷河が残っており遠目に見ても美しい山の一つだ。

【2025年最新】カナダ国境の越え方と注意点

以前はトレイルからそのままカナダへ入国できた。2025年以降、ルールが大きく変わる。 ここが最も検索される重要ポイント。結論から言うと「カナダへは渡れない」ことになっている。恐らくだが、CDTなども同様だ。

PCTでゴールした後の行動について

  • 国境での直進不可: 現在、カナダ国境(Terminus)に到達しても、そのままカナダ側(Manning Park方面)へ歩き抜けることは原則できません。理由は、カナダ入国をする人間を管理するのと、国内の自然環境保護だそうです。
  • 一般的なルート:
    1. カナダ国境(北ターミナル)でゴール。
    2. そこから約30マイル(約48km)を引き返す。
    3. Harts Passまで戻り、Mazama(マザマ)の町へ下山。多くの場合、トレイルエンジェルがいるし、Mazamaから上がってくるハイカーもいるのでヒッチハイクは一日あれば可能。水はないがトイレはある。
    4. ヒッチハイクでシアトルに向かい、バスや飛行機などの公共交通機関でカナダ(バンクーバー等)へ向かう。
  • 代替案: 事前にカナダ国境サービスに連絡し、指定の町で入国審査を受ける方法も議論されていますが、現状は「引き返し」が最も確実で安全な選択肢です。国境サービスに連絡する場合、入国が難しい事もあるそうです。PCTAは引き返しを推奨している。

懸念されるシアトル行きですが、案外簡単にヒッチハイクで直行できる。どうしてもという場合は、バスを乗り継いでいくことも可能。僕の場合はヒッチハイクで、遠回りに一週間ほどかけて移動してヒッチハイク旅をした。(mazama~Twisp~Wenatchee~Leavenworth~Seattle)

カナダ行の注意点

カナダに行くには、一度mazamaに戻る必要がある。そして、そこから移動するのだがカナダに行く際には行動食などの食品関係は処理しておくことが望ましい。

カナダに陸路で行くには、四つの方法がある。

  • 高速バスで向かう方法
  • アムトラック鉄道を利用して、移動する方法
  • 歩いていく
  • ヒッチハイクで国境越えの車に乗せてもらう

これくらいの方法がある。僕は当初、知り合いがヒッチハイクで乗せてくれる予定だったが、急遽無理になった。そのため、高速バスで向かう事にした。毎日数本が運行されているため、割と簡単に予約を取って乗ることができる。

バスや電車で行く場合には、国境沿いで降車する必要がある。荷物の中身をすべてチェックされて、軽い面接があって、国境を超える事ができる。アメリカに入る時よりもよっぽど簡単だったが、荷物を出し入れするのがかなり面倒だった。また、麻薬探知犬がいるが戯れて遊んでいると、麻薬所有者と勘違いされたので、要注意だ。

ワシントン州の気に入ったトレイル区間

Goat Rocks Wilderness(ホワイトパス〜スノコルミー周辺)

Goat Rocks Wildernessは、多くのハイカーが「PCTで最も記憶に残る区間」という人も多い。中でも有名なのが、Old Snowy Peakを越えるナイフエッジ・リッジ。両側が切れ落ちた細い稜線を進むその道からは、Mt. Adams、Mt. Rainier、そして月面のように荒涼とした大地まで一望できて居心地が良い。それでいて、適度にある緑が心地よい。

高所が苦手な人には「正直、怖い」と言われる一方で、挑戦した人にとっては一生モノの思い出になる場所。比較的フラットな区間と、容赦ない登りが交互に現れるため、2〜4日程度のループハイクにも最適なエリア。

Stevens Pass 〜 Rainy Pass(グレイシャー・ピーク・ウィルダネス/セクションK)

Redditやガイドブックで常に上位に挙げられるのが、この全長118マイルのタフな区間。深い原生林、きらめく高山湖、Kodak Peakのような峠越え、そしてベリーが実る草原が広がる。自然の見どころがこれでもかと詰まっていて、一気に植生が変化し景観が変わるのも見どころ。

累積標高差は約26,000フィート。「最も美しく、そして最もきつい」と評されるのも納得の難易度となっている。ワシントンを象徴するような区間。その分、人里離れた静けさと、Glacier Peakの堂々たる姿が待っていた。「きついけど、信じられないほど美しい」なんて言葉が合うと思のではないだろうか。それもあってか、このセクションKは地元のハイカーだけではなくPCTハイカーにも人気だった。

Rainy Pass 〜 North Terminal(ノース・カスケード)

PCT北部の締めくくりとなるこの区間は、静かで険しい稜線歩きが続くエリア。ワシントンらしいアップダウンに、素晴らしい眺望が連なっている。特にCutthroat PassやGolden Hornを望む展望は圧巻で、「これぞノース・カスケード」という景色を堪能していると、あっという間に歩き終えてしまう。

特に人気なのが、Cutthroat Passまでの往復10マイル・標高差約2,000フィートのデイハイク。短時間でアクセスできるにもかかわらず、息をのむようなパノラマが待っており、「ただただ美しい」という感想が多く寄せられていた。地元のハイカーも多く、僕もかなり声をかけられた。North Terminalまで行くセクションハイカーはいなかったけど。Cutthroat Passまでは多くのセクションハイカーがいた。

PCT文化の集大成:奇跡の再会とトレイルマジック

ワシントン州は、身体的には「キツい」所だった。最後だと思って気が緩んでいるのも原因かもしれない。精神的には「最も満たされる」区間でもあるのだが。徐々に使づいてくる終わりに向けてセンチメンタルな気分になる。2日か3日おきに出会うトレイルマジックは、僕らを暖かく出迎えてくれる。

久しぶりの再会とトレイルエンジェルたち

  • 2,000マイルぶり奇跡の再会: 南カリフォルニアの砂漠で別れた友人と、2,000マイル(約3,200km)の時を経てワシントンで再会するという奇跡が起こります。それも、ゴールまで100mileを切った区間で合流できました。南行(SOBO)ハイカーとの交流も増え、トレイル全体が祝杯ムードに包まれます。
  • 手厚いトレイルマジック: 元ハイカーたちがゴール付近で連日キャンプを張り、食事を振る舞って祝福してくれます。沢山のトレイルエンジェルがいて、日によって別々の方々が祝福してくれる。標高が高いだけでは得られない、「PCT文化の温かさ」を最も感じる場所です。日本ではなかなか感じる事の出来ないトレイル文化です。

二日に一回出会うトレイルマジック

ワシントン州は、僕が一番トレイルマジックに出った区間だ。本当に、たくさんのトレイルマジックに出会う。二日に一回ほどの頻度でトレイルマジックに感謝し、時には一日に二回で会うこともあった。トレイルヘッドや、トレイル中の広場や、トレイル脇など。様々なところで、トレイルマジックに出会った。ワシントンでもパンケーキをごちそうになり、ケサディアなどを頂いた。飲み物は相変わらず、ルートビアとドクペ縛りだ。

まとめ:ワシントン州を完歩するために

  1. 膝のケアを最優先に: オレゴンのペースは維持できません。サポーターと休息を。
  2. 最新の国境情報を確認: 「引き返し」の行程(最低2日分)を含めた食料計画を。
  3. 寒暖差対策: 標高は低くても、ワシントンの雨と冷え込みを侮らない。

ワシントン州は、PCTという長い物語のフィナーレにふさわしい、美しくも厳しいセクションです。心身ともにタフな準備をして、感動のゴール(Terminus)を目指してください!

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