登山用水筒は、人気の商品を選べばいいとは限りません。
僕は国内登山、四国遍路、PCT約4,200kmなど、これまで6000km以上を歩いてきました。その中でハードボトル、ソフトボトル、ウォーターキャリーを実際に使い比べています。
軽さを重視するならハイドラパック フラックス、冬山や国内登山ならモンベルのアルパインサーモボトル、ロングトレイルならエバニューのウォーターキャリーを僕はおすすめします。
ただし、どれが一番優れているという話ではありません。貴方の歩き方と環境で、最適な水筒は変わります。
この記事では、6000km以上歩いてきた僕が、実際に使ってきた水筒の使用感と、どんな登山に向いているのかを紹介します。
結論;僕はこう選ぶ
これまでの経験から言えるのは、目的別で次の水筒がおすすめです。
| 目的 | 僕のおすすめ |
|---|---|
| 軽さ重視 | ハイドラパック フラックス |
| 国内の日帰り・縦走 | モンベル アルパインサーモボトル |
| ロングトレイル | エバニュー ウォーターキャリー |
| 浄水器と組み合わせる | プラティパス |
| 水を汲みやすくしたい | CNOC ヴェシカ |
特にPCTのようなロングトレイルでは、軽くて使わないときに小さくできるソフトボトルが非常に使いやすいと感じました。
一方、日本の登山では冷たい飲み物や温かい飲み物を持ち歩くことも多いため、保温・保冷できるハードボトルにも大きなメリットがあります。
登山水筒は何を選べばいい?選び方は?
登山用水筒を選ぶとき、僕が特に重視しているのは容量・重量・使い方の3つです。水筒そのものの性能だけでなく、「どこで水を補給するのか」「何時間歩くのか」まで考えると選びやすくなります。
登山用水筒は容量選びが最も重要
まず考えたいのが容量です。「登山だから1L」というように決めるのではなく、その日の行動時間や水場の有無によって必要な量を考えます。
僕は「歩行時間+気温+発汗量+水場」を意識してボトルを選定します。ザックリとした目安は下記表です。
| 登山スタイル | 目安となる容量 | 僕の選び方 |
|---|---|---|
| 日帰り・春秋 | 500〜750mL | 軽量なソフトボトル |
| 日帰り・夏 | 1L前後 | ソフトボトルを中心にする |
| テント泊・縦走 | 1〜2L以上 | 複数本に分ける |
| ロングトレイル | 2〜4L程度 | 複数のソフトボトルを使う |
もちろん、必要な水分量は気温や発汗量、歩行時間、水場の有無などによって変わります。
僕の場合、ロングトレイルでは「最初から必要な水をすべて持って歩く」というより、水場で補給していくことを前提に、水を入れる容器を複数持つという考え方をしています。
登山で必要な水分量については、別の記事で詳しくまとめています。

軽量化するならソフトボトル
荷物を軽くしたいなら、僕はソフトボトルを優先します。理由は単純で、ボトル自体が軽く、飲み終わった後に潰して収納できるからです。
登山では水そのものが重たい荷物になります。1Lの水は約1kgあるため、水筒本体まで重くすると、持ち運ぶ重量が増えてしまいます。
さらにソフトボトルは、水を使うほど容器そのものを小さくできます。ザックのサイドポケットに入れるだけでなく、荷物の隙間に押し込めるのも便利です。これはPCTのように長期間歩き続けると、かなり大きなメリットになります。
ただし、ソフトボトルには弱点もあります。基本的に保温・保冷性能は期待できません。夏に冷たい飲み物を長時間維持したい場合や、冬に温かい飲み物を持ち歩きたい場合は、保温ボトルの方が向いています。
冬山や保温・保冷を重視するならハードタイプ
冬山では、保温ボトルが非常に便利です。温かいお湯を持ち歩ければ、山頂や休憩時に温かい飲み物を飲めます。僕自身、国内登山ではモンベルのアルパインサーモボトルを使っています。
一方、PCTでは保温ボトルを持ち歩きませんでした。理由は、僕にとってPCTでは「温度を維持すること」よりも、できるだけ軽く水を運び、必要な場所で補給することの方が重要だったからです。
つまり、保温ボトルとソフトボトルは優劣ではなく、用途が違います。
浄水器を使うならキャップの規格にも注目する
ロングトレイルや水場の多い縦走では、浄水器と水筒を組み合わせることがあります。僕がPCTで使用していたのは、
- エバニュー ウォーターキャリー
- Sawyer
という組み合わせです。
水を汲む容器と浄水する道具を別々に考えるのではなく、「水を汲む→浄水する→飲む」までを一つのシステムとして考えると、装備を選びやすくなります。
浄水器について詳しく知りたい場合は、別記事で紹介しています。

実際に利用した本当におすすめできる登山用水筒5選

ココでは、これまでに使用してきた水筒を紹介していきます。登山用水筒は様々な物、モデルがあります。容量は様々ありますが、合計で2L程度の運搬をすることを考えて選定すると良いでしょう。
今おすすめする5つの登山用水筒
| 水筒 | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| ハイドラパック フラックス | 軽量化・日帰り | 軽量で折りたためる |
| モンベル アルパインサーモボトル | 国内登山・保温 | 保温・保冷に強い |
| エバニュー ウォーターキャリー | ロングトレイル | 軽量・浄水器との相性 |
| プラティパス | 浄水・水の運搬 | システム化しやすい |
| CNOC ヴェシカ | 給水 | 開口部が大きく水を汲みやすい |
僕の中では、国内の一般的な登山なら保温ボトル、長距離を歩くならソフトボトルという使い分けが基本になっています。
ハイドラパック フラックス(軽量なら第一候補)
ハイドラパックのフラックスは、僕が日帰り登山からロングトレイルまで使用してきたソフトボトルです。僕が特に気に入っているのは、軽さと収納性のバランスです。
空になれば折りたたむことができ、水を入れると適度な硬さになるため、ソフトボトルの中では比較的扱いやすいと感じています。
こんな人におすすめ
- 日帰り登山が中心
- 軽量装備にしたい
- ザックのサイドポケットから片手で取り出したい
実際に使って感じたメリット
フラックスの魅力は、空になると小さく折りたためることです。休憩中は荷物にならず、水を入れると適度な硬さになるため片手でも飲みやすくなります。
飲み口にはカバーが付いているので、砂や泥が付きにくい点も登山では助かります。Sawyerなどの浄水器も直接取り付けられるため、縦走でも十分実用的でした。
気になった点
首元は負荷が集中するため、満水状態で強く引っ張ると劣化しやすくなります。乱暴に扱わなければ耐久性に大きな不満はありませんでした。
総評
軽量性・携帯性・飲みやすさのバランスでは、現在でも最もおすすめできるソフトボトルです。3シーズンの登山なら、まず最初に候補へ入れたい一本です。
モンベル アルパインサーモボトル(迷ったらこれ)
国内登山なら、今でも一番おすすめしている保温ボトルです。冬山だけでなく、夏でも冷たい飲み物を持ち運べるため、一年を通して活躍します。
こんな人におすすめ
- テント泊や縦走をする
- 冬山にも挑戦したい
- 一本を長く使いたい
実際に使った感想
保温性能はもちろんですが、僕が評価しているのは「使いやすさ」です。サイドポケットへ収まりやすい形状で、中栓も扱いやすく、山頂で温かいコーヒーや味噌汁を飲める満足度は非常に高いです。
夏でも氷を入れて歩けば、森林帯では最後まで冷たい飲み物を楽しめました。
気になった点
148g前後あるため、ソフトボトルと比べると重量はあります。ロングトレイルでは保温性能を使う場面が少なく、軽量性を優先して持たなくなりました。
総評
「どれを買えば失敗しない?」と聞かれたら、僕はアルパインサーモボトルを選びます。国内登山では最も万能な一本です。
エバニュー ウォーターキャリー(ロングトレイルでおすすめ)
PCTで約4,200km使い続け、最後までメインだったウォーターキャリーです。軽量性・耐久性・浄水器との互換性を考えると、ロングトレイルでは今でも第一候補です。
こんな人におすすめ
- 長距離縦走やロングトレイルを歩く
- Sawyerなどの浄水器を使う
- 軽量装備を重視する
実際に使った感想
900mL・1.5L・2Lを使い分けていました。キャップサイズが一般的な浄水器と互換性があるため、水を汲んでそのまま浄水できるのが最大の魅力です。
空になれば丸めて収納できるため、ハードボトルより圧倒的にスペース効率が良く、長期行動では何度も助けられました。
気になった点
口が細いため、浅い水場では水を汲みにくいことがあります。また、長期間使い続けるとキャップ付近から水漏れが起きることもあり、消耗品として考えた方が良いです。
総評
PCTをもう一度歩くなら、僕は迷わずエバニューを持っていきます。軽量性と実用性ではトップクラスのウォーターキャリーです。
プラティパス(浄水システムに使う)
これから浄水器も含めて一式そろえるなら、僕はプラティパスをおすすめします。単なる水筒ではなく、水分管理システム全体を構築できるメーカーだからです。
こんな人におすすめ
- 浄水器をこれから購入する
- ハイドレーションも使いたい
- 装備を統一したい
実際に使った感想
ウォーターキャリーの品質は高く、水を入れると自立しやすいため給水も簡単です。浄水速度も速く、メンテナンスも容易なので、長期縦走でも安心して使えました。
海外では交換品も入手しやすく、PCTでも利用者は非常に多かった印象です。
気になった点
容量展開は2Lと800mLが中心で、細かいサイズを選びにくい点は少し惜しいところです。また、保温ボトルは別メーカーを用意する必要があります。
総評
「水筒」だけで見るならエバニューも優秀ですが、浄水器・ハイドレーションまで含めるならプラティパスが最も完成度の高い選択肢です。
CNOC ヴェシカ(水場が多い縦走向け)
アメリカのロングトレイルで非常に人気のあるウォーターキャリーです。最大の特徴は、大きく開く開口部による給水のしやすさにあります。
こんな人におすすめ
- 水場の多い縦走を歩く
- Sawyerを使う予定
- 海外ロングトレイルへ行く
実際に使った感想
浅い川や湧水でも一度で大量に水を汲めるため、給水ストレスは非常に少なく感じました。PCTでもCNOC+Sawyerの組み合わせは定番で、多くのハイカーが使用していました。
使わないときは小さく畳めるので、収納性も優秀です。
気になった点
実際に歩いていて一番気になったのは耐久性です。首元やループ部分が破損したCNOCをハイカーボックスで何度も見かけました。給水性能は最高ですが、長期間使い続けるならエバニューの方が安心感があります。
総評
水を汲む快適さでは5本の中でもトップクラスです。一方で耐久性を考えると、僕はSランクではなくAランクという評価に落ち着きました。
ソフトボトルとハードボトルはどちらがおすすめ?

結論として、どちらが優れているという話ではありません。それぞれ得意なことが違います。
| 比較項目 | ソフトボトル | ハード・保温ボトル |
|---|---|---|
| 重量 | ◎ | △ |
| 折りたたみ | ◎ | × |
| 保温・保冷 | △ | ◎ |
| 浄水器との組み合わせ | ◎ | △ |
| ロングトレイル | ◎ | △ |
| 冬山 | △ | ◎ |
| 丈夫さ | △ | ◎ |
僕なら、3シーズンの軽量装備ならソフトボトル、保温・保冷が必要ならハード・保温ボトルというように使い分けます。
登山では「水筒の重量」だけでなく「水そのものの重量」を考える
登山の軽量化で忘れてはいけないのが、水そのものの重さです。1Lの水は約1kgあります。例えば500g軽いザックを作るより、水を必要以上に1L余分に持たない方が、単純な重量としては大きな差になります。
もちろん、安全のために必要な水を削るべきではありません。重要なのは、必要な水量を把握したうえで、水筒を軽量化することです。僕がロングトレイルで複数のソフトボトルを使ったのも、この考え方があったからです。
PCT約4,200kmではどんな水筒を使った?
PCTでは、最終的にエバニューのウォーターキャリーとSawyerの組み合わせを使い続けました。僕が使っていた構成は次の通りです。
| 容量 | 用途 |
|---|---|
| エバニュー 900mL | 飲料水 |
| エバニュー 1.5L | 予備の水 |
| エバニュー 2L | 乾燥区間・キャンプ用 |
| Sawyer Squeeze | 浄水 |
この構成にした理由は、水筒を「飲み物を入れる容器」ではなく、水を運び、浄水し、必要な場所で補給するための道具として考えていたからです。
PCTでは日本の登山とは水の確保方法が大きく異なります。
そのため、保温性能よりも、
- 軽い
- 空になったら小さくできる
- 複数持てる
- 浄水器と組み合わせられる
という点を重視しました。
一方、日本の登山では温かい飲み物を持っていくことも多いため、現在の僕は国内登山ではアルパインサーモボトルを使っています。
ナルゲンボトルは登山用水筒としておすすめしない?
ナルゲンボトルは丈夫で、登山でも長く使える人気のボトルです。ただ、僕自身は最終的に手放しました。
理由は、僕の使い方ではソフトボトルの方が軽く、保温が必要な場合はアルパインサーモボトルの方が使いやすかったからです。一方で、ナルゲンの広口は食材や行動食を入れる用途では便利でした。
つまり、ナルゲンが悪いのではなく、僕の水筒としての用途とは合わなかったということです。
水筒を「水を運ぶもの」としてだけ使うのか、食料や小物を入れる容器としても使うのかによって評価は変わります。
登山用水筒おすすめの選び方まとめ
登山用水筒を選ぶときは、まず「何Lの水筒を買うか」ではなく、どんな登山で、どれだけの水を、どのように運ぶのかを考えてみてください。僕の場合は、次のように使い分けています。
| 目的 | 僕が選ぶ水筒 |
|---|---|
| 国内登山・保温重視 | モンベル アルパインサーモボトル |
| 軽量化 | ハイドラパック フラックス |
| ロングトレイル | エバニュー ウォーターキャリー |
| 浄水器と組み合わせる | プラティパスなどのソフトタイプ |
| 水を汲みやすくしたい | CNOC ヴェシカ |
6,000km以上歩いてきた僕が感じるのは、登山用水筒には「万能な一本」はないということです。夏の日帰り登山と冬山では必要な性能が違います。
国内の短い山行と、4,000kmを超えるロングトレイルでも、求めるものは大きく変わります。だからこそ、容量・重量・保温性能・水場・浄水方法の5つを基準に、自分の登山に必要な水筒を選ぶのがおすすめです。
そして軽量化を重視するなら、僕はまずソフトボトルを検討します。反対に、冬山や温かい飲み物を楽しみたいなら、保温ボトルが候補になります。
僕自身も一つの水筒ですべてを済ませるのではなく、歩く場所や季節によって使い分けています。
自分が今から集めるならプラティパスにする
今から浄水器含め集めるという条件であれば、僕はプラティパスを押します。一番のおすすめは、プラティパスでシステム化することです。頑丈なことは勿論、パック、浄水器、ハイドレーションシステムと、すべてを安価かつ容易に取りそろえる事ができます。個人的には、プラティパスで統一することをおすすめします。
ハードタイプの水筒は必用か?
個人的には冬山をするのであれば、必要です。熱湯を持ち運べる安心感は大きく、有事にも役立ちます。ガスが節約できるのも、良い所です。一方、3シーズン中心ならソフトボトルだけでも困ることはほとんどありませんが、近年の高温多湿環境では、森林帯を歩く際には凍ったものを持ち運べると便利です。
PCTで利用していた設備
僕が実際に国内ロングトレイルやPCTなどで利用していた装備としては次のようになります。
- Evanewウォーターキャリー(900mL, 1.5L, 2L)
- Sawyer
EvanewはPCTで破損するまで二年ほどハードに使用し続けましたが、最後まで持ってくれました。PCTでは、直接浄水器を固定していたため、キャップ口が少し破けて高圧にすると水漏れするようになりました。
PCTで人気だった組み合わせ
・Sawyer+CNOC
・BeFree+CNOC
・Platypus一式
このパターンが多い印象です。プラティパスを使用している人は、ハイドレーションシステム含めプラティパスで統一していました。浄水器は、Sawyar > プラティパス >= BeFreeといった感じで利用者が多かった印象です。

まとめ
今回は登山用水筒のすすめを書いてみました。ロングトレイルやスリーシーズンの縦走ではあまりハードボトルは使用しませんが、それでもソフトタイプは持っていると便利です。ペットボトルを使いまわすこともいいのですが、自分の一本を持っておくと安定して使いまわしすることができます。ペットボトルでもいいですが、ポイ捨てなどはしないようにしましょう。
個人的な今回の記事の答えとしては、下記表になります。
| 目的 | おすすめ |
|---|---|
| 迷ったら | アルパインサーモ |
| 軽さ重視 | フラックス |
| ロングトレイル | エバニュー |
| 浄水運用 | プラティパス |
| 冬山 | アルパインサーモボトル |
これまでに執筆した記事に関して

