PCTワシントンセクションは、距離以上に「疲れ」を感じる区間だ。標高差、荒れたトレイル、天候の不安定さ。どれを取っても、ここまで歩いてきたハイカーに最後の判断力を求めてくる。
だからこそ、ワシントン州では町をうまく利用することが重要になる。リサプライの成否だけでなく、精神的な回復や情報交換の質が、そのまま北端までの歩行に直結するだろう。PCTワシントンは結構きつい区間だった。
PCTワシントン州のリサプライの現実
まず前提として、ワシントン州でのリサプライはカリフォルニアやオレゴン州ほど町の選択肢が多くない。オレゴン州はリゾート地を巡る代わりにいくつも選択肢があった。リサプライは割高だが、選ぶ権利はある。一方で、ワシントン州でのリサプライは殆ど選択肢がない。

補給箱を利用するかしないのかの選択
ワシントンはPCTの北行きハイカーにとって最後のセクションだ。もうリサプライに慣れているからこそ、二つの選択肢がある。カスケードロックスからリサプライボックスを送る方法と、各町で不安定ながら補給する方法だ。一日に歩ける距離から、だいたい町までの日数は計算できる。
僕は最後まで補給箱を利用する事はなかった。ワシントン州でも大量の食料を担ぎ、たくさんの距離を歩く事を選択した。その方が、金額的には安く済むというのが最高のメリットになる
補給箱を使うとヒッチハイクが不要になる
補給箱を利用すると、ヒッチハイクしなくても補給ができるのがメリットだ。多くの場所で補給箱を受け取ってくれるコンビニやスーパー、各種サポート施設がある。詳細はFarOutを確認。ヒッチハイクは時間が読めないし、1時間以上待つこともあるため、計画的ではない。
補給箱を使えば、ヒッチハイクで町に降りて無駄に休憩したり無駄にお金を使う事を避ける事も可能だ。ワシントン州に入ると、「早く終わらせたいハイカー」と「もう少し残りたいハイカー」が入り混じる。好きな方を選べばよいが「先に行きたい」というタイプだと、補給箱を利用した方がいいだろう。
参考にならない僕のPCTワシントン体験談
僕は少し特殊で、ワシントン州ではmazamaまで殆ど買い物をしていない。Trout Lakeの町では補給したが、実はPCT DAYSに合わせてカスケードロックスに戻ったからだ。それに、ハイカーボックスも充実していた。こればかりは運勢によるものだ。
補給する為にトレイルヘッドに向かうと、多くの場合でハイカーボックスがある。stevens passやSnoqualmie Passでは、町に立ち寄るだけでヒッチハイクはしていない。そして買い物もしていない。その場のハイカーボックスで食いつなぐことができた。mazamaでも購入したのは、トレイルミックスのみだった。
PCTワシントン州のリサプライ地点の紹介
ここでは、PCTワシントン州で利用した街の紹介をする。僕の場合は立ち寄っているけど買い物をしていないことが多い。一応、町の中に何があるのかは確認しているが、食にこだわりがなかったことが要因だ。

Trout Lake|ハイカー文化が根強い街
Trout Lakeは、ワシントン州セクションにおいて特別な存在だ。規模は小さいが、ハイカー支援の密度という点では群を抜いていると思う。南カリフォルニアのハイカータウンを彷彿とさせる。
僕はここに長く滞在したが、その理由は明確だった。町全体がPCTハイカーの存在を理解し、歓迎している空気がある。また、PCTDAYSが近く、先に進む気が起きなかったというのも大きな要因だ。
中心となるジェネラルショップは、単なる商店ではなく、実質的なリサプライ拠点だ。一般的なスルーハイカー向け食料は一通り揃っており、価格も山中の個人商店としては驚くほど良心的だった。さらにハイカーボックスが非常に充実していて、工夫次第では出費をかなり抑えられる。
特筆すべきは、街中に小さなキャンプ場がある点だ。ショップで声をかければ、そこで宿泊し、シャワーを使うこともできる。ジェネラルショップ横のハイカースペースも快適で、清潔なトイレがあるのは正直ありがたかった。充電もできるし、wi-fiもあるので便利だ。
Trout Lakeへの行き方
定期的にトレイルヘッドまで送迎してくれる仕組みがあり、アクセス面でのストレスがほぼない。2025年度は1日に四本の送迎があり、寄付で利用できる。寄付を断られることもあるので、その場合はショップで買い物をすることを推奨する。僕は足を痛めた状態でここに到着したこともあり、物凄くお世話になった。
Trout Lakeは「補給の町」であると同時に、ハイカー文化に触れる事もできる良い街だった。
Snoqualmie Pass|最も簡単で、最も悩ましい補給地点
Snoqualmie PassはPCTのルートがそのまま通過する、極めてアクセスの良い場所だ。インターステートとスキーリゾートがあり、いかにも「便利そう」に見える。町へのアクセスは非常に簡単で最高に便利だった。
ただし、リサプライに関しては注意が必要だ。基本的にはコンビニ的な補給が中心で、ハイカーボックスも常に潤っているとは限らない。ホテルのハイカーボックスが常に潤ってると思われている。そのような情報を集めて到着したものの、実際には空に近い状態だった。
それでも、短い区間をつなぐ程度なら現地調達で進むハイカーもいる。偶然出会った友人が余った食料を分けてくれたことで、そのまま進むことができた。彼には何度も助けられた。
宿泊するなら、リゾート中心部ではなく、少し外れたハイカー向けロッジがおすすめだ。多くのPCTハイカーが集まり、情報交換が自然に生まれる。そこは、PCTハイカー向けのロッジで、とても融通が利くし、利用者向けのハイカーボックスはかなり質がいいと聞いている。
この街で補給ができなかった場合
Snoqualmie Passでは食料補給が難しい場合がある。正直、割高になるからだ。その場合は、ヒッチハイクで最寄りの町に移動する手段がある。近くに中規模程度の町があるので、その街に移動すると安く、いつも通りの食料を整える事も出来る。この街にはセーフウェイがあるため、ソコソコ安い。
トレイルヘッドに数日滞在して、ハイカーボックスを漁る選択肢もあるが、その暇な時間を潰すよりかは隣町に移動した方が現実的だ。
Leavenworth|ワシントン州最大級の観光地
Stevens PassからアクセスするLeavenworthは、完全に観光地だ。町に入った瞬間、PCTの文化から一気に切り離される感覚がある。バイエルン風の街並み、ビールを片手に歩く観光客、にぎやかなレストラン。PCT後半でここまで「非トレイル感」のある町は珍しい。ヨーロッパのハイカーは、まるでドイツだと口々に言う。
リサプライ拠点としては規模が大きすぎるとも言えるが、その分できることは多い。無料のバスで町中を移動でき、必要であればワナッチーのような大都市にも出られる。ギアトラブル、体調不良、長めの休息。そうした「もしも」に対応できるのがLeavenworthの強みだ。
個人的にリサプライするなら、セーフウェイを強く勧める。価格、品揃え、在庫の安定性、どれを取っても優秀だった。Leavenworthは、ワシントン州最後の贅沢が許される町だと思う。
Leavenworthへのヒッチハイク難易度について
Stevens Passが峠の一番高い所であり、巨大な駐車場がある。毎日多くの車がそこに止まっていることもあり、ヒッチハイクはたやすい。運が良ければ、5分に以内にヒッチハイクで移動できるだろう。待つ人は、30分ほどチャレンジしたという話を聞いたが、1時間以上待った話を聞かない。
ヒッチハイクは簡単だが、一方で町までは車で20分程かかる印象だ。思ったよりも遠かった。Stevens Passではキャンプ禁止だから、町から戻る際は遅くなり過ぎないようにしたい。町から戻る際は、図書館前でヒッチハイクをすると結構簡単につかまる。
Mazama|PCTの終盤の町
Mazamaは、僕にとってPCT最後の町だった。正直に言えば、リサプライにはほとんど向いていない。実は、この事態に関しては初めからわかっており、必要ならさらに山を下る予定だった。
事実、mazamaにはジェネラルショップはあるものの、選択肢は限られている。僕はトレイルミックスを少し買っただけで、山に戻った。袋ラーメンやトルティーヤの類はない。カップラーメンなどがあったが、割高だ。
現実的には、LionsDENというトレイルエンジェルが運営する宿での補給か、事前にボックスを送る選択になる。ハイカーボックス便りの補給は安価に済むが、確実性がないため要注意だ。
mazamaの真価
Mazamaの価値は、大量のハイカーと数日間交流できることだ。ここには、PCTを終えたハイカー、これから最後の区間へ向かうハイカーが集まる。山の中では、ゆっくり話す時間はほとんどない。だからこそ、こうした町で交わす会話は特別だ。久方ぶりの再会がいくつも生まれる。
もし再びPCTを歩くことがあれば、僕は迷わずMazamaに立ち寄るだろう。ここで成立したチェコのカップルの未来が明るい事を祈る。
まとめ|ワシントン州の町たち
PCTワシントン州では、リサプライは容易ではない場所も多い。特に、各種Passでは判断が分かれる所だ。今回は紹介していないがWhite Passでも同様に、町に降りるか先に進むかで判断が分かれる。僕はここを無補給で通過した。それだけ食料が余っていた。
PCTの終わりは、静かで、厳しく、そして美しい。その最後をきちんと迎えるために、様々な町をしっかりと利用し最後まで楽しみ尽くしてほしい。
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