PCT( パシフィック・クレスト・トレイル)のオレゴン州セクション。美しい湖畔を歩く「オレゴン・スカイライン・トレイル」として知られています。2025年に実際に歩いて分かったのは、その穏やかなイメージとは裏腹の以外に厳しい生態系への対応でした。
今回は、実体験に基づいたポイズンオークの恐怖や、山火事への備え、そしてリゾート価格を避けるための補給戦略について詳しく解説します。
【注意喚起】最優先で知っておくべき「ポイズンオーク」の恐怖
PCTでは北カリフォルニア後半から、オレゴン州のクレーターレイク周辺にかけて、最も警戒すべきはポイズンオークです。接触すだけでもゲームオーバーになるので、注意して歩きましょう。

- 実体験の被害: 接触すると皮膚が爛れ、私の場合は2週間も激しい痒みに悩まされました。最初の一週間は患部から常に血小板(体液)が流れ出し、衣服やシュラフが汚れてしまう事態になります。また、常に血小板が流れ出ているため休憩する際などは自然環境を傷つけないように注意する必要がある。しばらくの間皮膚が再構成されない為、見た目もグロデスクになりがちです。
- 対応: 「ただの草」だと思って油断しないこと。少しでも怪しい植物に触れたら、綺麗な水で早急に洗い流してください。また、可能であれば冷やしながら歩くといいでしょう。僕の場合は早急に洗い、冷やしていました。
- 対策:長袖長ズボンなどとささやかれていますが、接触しないことが一番です。地図コメントを見て対策をしていきましょう。使い捨てのポリ手袋などが一番有効です。理由は、ポイズンオークに接触した衣類を触るだけでも感染してしまうケースがあるからです。使い捨てなら一番確実に、対策できます。
2025年の環境:山火事と「虫」の大量発生
オレゴン州は「キープゴーイング(立ち止まるな)」と言い合いながら歩くほど、実は虫が多い。止まると大量の虫に囲まれてゲームオーバーになります。ディート配合の高い虫よけは必需品とまで言われていました。

山火事マップは「毎日のルーティン」
2024年は山火事で多くの区間が閉鎖されましたが、2025年は運良く歩くことができました。しかし、状況は刻一刻と変わります。僕が歩いた時も山火事が多く、歩いた数日後には閉鎖になったり、一日待機したおかげでトレイルが解放されることもありました。
- 対策: 山火事情報アプリや、FarOutのコメント欄を毎日確認してください。煙の状況次第では、健康被害を避けるためのスキップ判断も必要になります。Google mapでも山火事情報は確認できます。一番は、PCTの山火事マップですね。
山火事に関しては、最終判断は自分です。僕の場合、突撃してみたらすぐ横で煙が上がっていたこともあるし、焼け跡を歩く際には頭上から木が降ってくることもあります。2025年は、実際に頭に焼けた木の枝が落ちてきて、搬送されたハイカーがいます。
湖が生む「虫」の洗礼
オレゴンは湖が多くて美しい反面、川などの流水が少なく、溜まった水場で大量の蚊やアブが発生します。特に蚊は大量発生しているケースばかりで、給水しているのかカニ餌槍をしているのか分かりません。
湖畔のキャンプ地は最高に映えますが、防虫対策なしでは地獄です。ヘッドネットと長袖の着用は「必須装備」と考えてください。若しくは、虫よけシートや虫よけスプレーを持参し、テントの設営などのタイミングで利用しましょう。
湖の水のクオリティ
遠目にはクリスタルブルーに輝く湖も、いざ浄水のために近づくと「結構汚い」ことが多いです。浮遊物や濁りがあるため、フィルターの目詰まりに注意が必要です。可能であれば、貴重な流水(スプリング)を見逃さないようにしましょう。湖で水を得る際には、できるだけ無心の死骸がない所を選ぶようにすると、浄水器が長持ちします。
シカ対策と「汚い」湖水の現実

シカは「塩分」を狙っている
オレゴン州にはシカが多く生息していますが、彼らはハイカーの汗に含まれる塩分を求めて、道具を齧りに来ます。僕はトレッキングポールを齧られてしまい、非常に面倒なことになりました。一晩中咀嚼音が響き不気味な空間になります。
- 鉄則: 靴やトレッキングポールは、必ずテント内に入れるか、シカの手が届かない場所に保管してください。外に出しっぱなしにすると、翌朝ボロボロになっている可能性があります。そして齧られるとダニが大量発生しているので、綺麗な水を発見できるまでは使用できません。
日本でもそうですが、野生のシカは大変汚いです。間違っても触れる事の無いようにしましょう。また、触れられたら雑菌が大量に付着している可能性が高く、早急に手を洗う方が良いでしょう。
湖は汚い事もある
ぱっと見では、オレゴン州の湖は非常にきれいです。ただ、近寄ってみると大量の無視の死骸が浮かんでいたり、泥が混じっていたり、草木が浮いていたり。シエラと比較すると、微妙にですがそういったものが目立つように思いました。
大量にある湖は、蚊や蝶の住処となっていることもあります。そのため、水汲みをしてる間に、大量の無視に囲まれてしまうこともありました。
行程と補給:リゾート価格を回避する「10日間」の戦略
オレゴン州中盤は街が多いのですが、そのほとんどが高価格帯のリゾート地です。僕の場合は金銭的に余裕がなく、リゾート地でのリサプライを捨てる事にしました。

- 節約ハッカーの選択: 僕はリゾート地での高いリサプライ費用を避けるため、アッシュランド(Ashland)で約10日分の食料を担いで出発しました。シスターズ(Sisters)の町まで補給なしで突き進む行程です。この時、30kg以上の荷物を担いで何日も歩くことになったので、お勧めはしないです。片腕で上がらないザックは背負うのに苦労します。
- 町の使い分けについて(シスターズとベンド)
- Sisters: ハイカーに非常にフレンドリー。専用キャンプ場もあり、街並みも綺麗でおすすめ。多くのハイカーがリサプライで利用する。日帰りも可能。
- Bend: シスターズから少し下った大都市。道具の買い替えや本格的な休息(ゼロデイ)には最適。多くのハイカーが休暇目的で訪れる。日帰りは難しくなる。
僕の場合はアシュランドで食料を担ぎ、暇つぶしにリゾートに行きました。リゾート地は景観が良かったり、地元民がいたり、ハイカーボックスに宝物があったりします。多くのハイカーが補給箱を送っているので、実はハイカーボックスが狙い目なこともあります。
地形と景観と気候:オレゴン流の「地味な」疲れ
オレゴンの地形は、一見すると「非常になだらか」です。ただ、要所要所で壁のような坂を上らされます。毎日30mile(48km)以上歩くオレゴンでは、後半になるとボディーブローのように効いてきます。

- 錯覚するアップダウン: 一日中登っているか、一日中下っているような感覚に陥ります。急峻なパスはありませんが、平地というわけではなく、絶え間ない緩やかな傾斜が直接疲労を蓄積します。
- 日本の里山に似た風景: 緑豊かで花畑も多く、どこか日本の里山を思い出させるような親しみやすい景色が続きます。リゾート客からの「トレイルマジック(差し入れ)」も多く、人の温かさに触れられる区間でもあります。ただ、なんでアメリカにいるのか不思議に感じてしまう事も………
気候的な問題「通り雨」が多い
オレゴン州はジメジメしていると表現するハイカーも多いほど、雨が多い。アシュランドを越えて以降、三日に一回の間隔で雨が降ります。夕方ごろになると急に雲がたちこめ、関ら運を形成し雷雨に発展したこともあります。急激な豪雨への対策は、雨宿りか合羽が現実的でしょう。
通り雨が多いオレゴン州ですが、雨が降ってしまうと地面はベチャベチャになります。濡れ切った地面は歩くだけで靴に水を与え、歩き終えてから靴を乾燥させることもしばしばありました。こういう時はトレランシューズで乾燥しやすいものを履いていたことに感謝ですね。
まとめ:オレゴン州を安全に歩くためのチェックリスト
- ポイズンオークの見た目を予習する。(触れたら最後、シュラフまでダメにする覚悟をしなければならない)
- 道具はすべてテント内へ。(シカから装備を守ることで、自身の安全とギアを守る)
- 山火事を常に監視し、何かあっても即座に行動できるようにする
- リゾート価格に備えるか、重量覚悟で長距離補給を組む。
- 天気は気にしながら歩き、雷雨の場合は落雷に注意する
オレゴンは、自然の美しさと厳しさが「生物的」な形で現れるセクションです。楽しくもありますが、苦しくもあります。ポイズンオーク経験者としては、是非とも注意していただきたいです。
その他の記事に関して

