PCT(Pacific Crest Trail)の中でも、シエラセクションは明確に別格でした。一月近く歩き、体を痛めつけてきたが、それをさらに酷使する区間です。
雪渓、長い峠越え、標高3,000m超えの連続。ここでは「気合」や「UL思想」だけでは通用しない。どの町で、どのように休み、どのような補給していくのかが、非常に重要になる。多くのハイカーが、互いの計画を山の中で話し合い修正していました。
この記事では、僕自身がPCTを歩き、実際に利用したシエラセクション周辺の町を中心に、お勧めの町を紹介していこうと思う。
シエラセクションで利用した主な町一覧

僕が利用したシエラセクションでの町は次のような物でした。これらの町に関しては、正直なところ、多くのハイカーが利用していると思います。後述しますが、2025年からKMNに行くのは少し苦労するようになりました。
- Kennedy Meadows South(KMS)
- Bishop
- Independence
- VVR(リゾートキャンプ場で、あまりリサプライはできない)
- Kennedy Meadows North(KMN)
- South Lake Tahoe
特に、KMSは重要な拠点になります。滞在費が非常に安く抑えられるだけではなく、難関であるシエラの入り口でもあります。一つ前の記事でもある程度紹介をしていますので、
Kennedy Meadows South|シエラの玄関口
PCTマイル702付近。砂漠セクションの終わりであり、シエラの入口となる場所。それが Kennedy Meadows South(KMS)です。多くのハイカーが、雪の様子を見ながら待機するところでもあります。僕の友人は、ここでリサプライボックスを待っていました。

リサプライ・設備
- ジェネラルストアあり(食料・ガス・最低限の装備)
- ハイカーボックスが充実
- 無料キャンプ場・有料シャワー・無料シャワーあり
- アウトドアショップの出張販売あり(ギア補給・修理)
- TCOにて堅実なリサプライが可能
価格は全体的に高めで、食料の選択肢も多くはないです。「シエラに入るための最終準備」 をする場所としては十分でした。TCOもあるので、ギアの購入も可能です。僕はここで雪山装備を追加し、更にベアキャニスターのレンタルも行った。多くの場合、ここでシエラの準備をすることになる。ベアキャニスターを購入していかなかったPCTハイカーはここで購入するかレンタルをすることになります。
雰囲気と体験
KMSが特別なのは、設備よりも雰囲気でした。到着すると拍手で迎えられ、ゴンゴンとベルを鳴らし、喝采を受けてジェネラルストアにたどり着きます。最高の空気で、砂漠を抜けた達成感と、これまで歩いてきた自分を認められたような満足感があります。男女関係なくハグをし、悪手をして、称え合う場所となりました。
体のメンテナンスを終えたハイカー同士が自然と集まり、情報交換が始まります。雪の状況、パスの状態、装備の見直し。皆が緊張と期待を同時に抱えています。僕自身も、ここで多くのハイカーと交流し、遊び、英語を使い、精神と肉体の準備を整えました。良い休暇と前準備を行います。
グランピーレストランに移動したハイカーの多くは、ハイカーブレックファーストを注文します。顔のサイズ程ある超巨大パンケーキです。イメージしているアメリカサイズのご飯でした。パンケーキを注文すると、コーヒーは飲み放題です。
Bishop|シエラ最大級の回復拠点
PCTからサイドトレイル+ヒッチでアクセスする町の一つになります。大きな街っていうのはそれだけでありがたいです。宿泊場所には苦労します。僕のようにお金がないハイカーは、どうにかこうにか、日帰りを検討していました。

リサプライ環境
- 大型スーパーマーケット(Vons)
- コインランドリー
- モーテル・安宿
- レストラン・ファストフード
フルリサプライ+ゼロデイを取るには最適な町です。実際、多くのハイカーがこの町に手リサプライをするし、ここから補給箱を先の町に送ることもあります。この先、有効なリサプライ場所は、VVRまで飛ぶからです。
注意点
- ヒッチハイクは簡単ではない(30〜60分待つことも多い)
- キャンプ不可が基本 → 宿泊費が嵩みやすい
- ハイシーズンは宿が高額
- トレイルエンジェルが迎えに来てくれるが、混雑で捕まらない。
そのため、数人で入る or 目的を明確にした滞在が現実的です。僕はいつも無計画なので、宿泊に少しだけ苦労することになりました。費用が嵩むのが懸念される場合は、トレイルヘッドに移動するか近くに町にヒッチハイクで移動するのが良いでしょう。
Independence|地味だが使い勝手の良い中継点
Bishopの影に隠れがちだが、実は戦略的に使える町が Independence です。休息をどのように取るのか、サイドトレイルをどのように減らすのかは重要です。Independenceは小さな街だが、サイドトレイルが少なく別の町にもアクセスしやすい特徴があります。宿泊しなければ、良いだけの話です。

特徴
- 小さな町(ほぼメインストリート1本)
- 郵便局あり(補給箱対応)
- モーテル・ガソリンスタンド
- 軽食店・フードトラック
- アイスクリーム屋が有名
華やかさはないが、「泊まれる」「送れる」「休める」 という最低限は揃っています。小さな町でゆっくりと休みたいハイカーに関しては、この街がベストな選択かもしれないです。また、ここに寄るだけで直ぐに変える手段を取るハイカーも多いです。
立地の強み
Forester Passを越えた先にあり、体力的にかなり消耗したタイミングで降りられます。サイドトレイルも、シエラセクションの中では少ない方になります。ここに補給箱を送り、すぐトレイルに戻るという使い方をするハイカーも多いです。
宿が安い場合もあり、Bishopが満員の時の逃げ道としても有効です。ここを中心として戦略を立てる事も可能で、補給戦略の違いが目に見えて来るので面白かったです。補給だけして、トレイルヘッドのキャンプ場に宿泊する人も、いました。
Kennedy Meadows North|機能は最低限、だが意味はある
Sonora Pass付近にある、小さなキャンプ場だ。険しいシエラを越えた後の最初の補給地が Kennedy Meadows North(KMN)となります。久しぶりにキャンプ以外の選択肢を取る事が可能で、ゆっくり休みたいハイカーは宿泊をしていきます。

リサプライ事情
- 小さなジェネラルストア
- キャンプ場あり
- 簡単なカフェで軽食を食べられる
- シャワーとランドリーがある
- エナジーバーやラーメンはあるが値段は高い
食料はあるが、フルリサプライは現実的ではないと思います。価格も高く、選択肢は限られるので、空の食料になった場合は次の町までの距離を逆算する必要があります。若しくは、ここからさらに下の町に降りる選択もあるようだが、難しいでしょう。車が非常に少なかったです。
実体験から
ヒッチハイクが非常に難しく、車の通りも少ないし止まるスペースも少ないです。僕は雨の中で長時間ヒッチをし、正直、心が折れかけてしまいました。トレイルに戻るのを諦めようとしたところで声をかけられ、運よく復帰することができたのはいい思い出です。
その一方で、補給箱を送るハイカーが多く、ハイカーボックスは期待できます。ハイカーボックスはいくつもありました。食料や救急用具の補充を見込むことが可能です。僕の場合は、ショップなどは利用せず、ハイカーボックスでラーメンとグミを補給して戻りました。グミが劣化していたのか非常に変な味がしたので、次の町で捨ててしまいましたが。
この場所に降りるには、午前10時ごろのバスに乗る必要があるそうです。また、その送迎バスも無料ではありません。多くのハイカーはヒッチハイクで移動し、シャワーと洗濯を行い、ロッジに宿泊します。併設されているレストランの評価は高いみたいです。
South Lake Tahoe|シエラ最後の楽園と混沌
Echo Lake付近の巨大なリゾート地だ。シエラセクション最後にして最大規模の町。ショップやレストランで困ることはまずないだろうし、安宿やキャンプ場もあるので長期滞在も可能です。キャンプ場は無料でした。

圧倒的な利便性
- 無料バスが市内を循環
- 大型スーパー
- アウトドアショップ
- レストラン多数
- ホテル・モーテル
- PCTハイカー無料のキャンプ場
トレイルに復帰する際にはヒッチハイクで戻る必要があるが、非常に簡単でした。仕事に向かうおじさんに拾ってもらったが、話をしてみると毎日のようにハイカーを拾っている言います。Tahoe Lim Trailに行く人も少なくはなく、一日を通してヒッチハイクは可能だと思います。町に行く際も、トレイルヘッドでヒッチハイクをしていれば問題ないでしょう。
カオスな一面
- 無料キャンプ場に熊が出る
- 夜中までパーティー
- ハイカーボックスが無い(テーブルの上に無造作に投げてある)
静かな休養を求める人には向かないが、「完全回復+楽しむ」町としては最高です。シエラを抜けて気が緩んだハイカーも多く、夕飯は多くのハイカーで集まってパーティーをすることもありました。キャンプ場がうるさい分、ハイカーも騒ぎたいのかもしれないですね。
僕は足を痛めて3日間滞在し、結果的にこの判断が、その後のPCTを救ってくれました。シエラでは体を痛めやすいので、無料で長期滞在できるのはありがたい所でした。
まとめ-シエラの町は意外と遠い-
シエラセクションでは、町選び=戦略だ。苦しい区間で大量の食料を持ち続けるのは、勇気のいる判断となる。更に、食料はベアキャニスター内に保管する必要があるので、持ち運びできる食料も限られてくる。
これまでの経験と周囲からの情報を元に、自分で町を選び取る選択が重要だ。「全部寄る」のではなく、自分の体力・雪の状況・精神状態に合わせて選ぶようにしたい。シエラは厳しいが、その反面多くのハイカーを精神的に成長させ、休暇を与え、開放的にする。
街の中で互いの健闘を称え、お互いの旅の無事を祈り合う。ハイカー同士の距離が、ググっと縮まる場所でもあった。
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