登山やハイキングの時に、地味に気になるのは水分量です。ロングトレイルの際には多めに所持しますが、縦走時など水場が分かっている場合は最小限でいいはずです。今回は、登山やハイキングに必要な水分量と水分補給の必要性に関して紹介していきます。また、あまり他の記事には掲載されていない登山やハイキングに適した脱水量の計算式も紹介します。
登山で水分補給が重要な理由

登山での水分補給では「熱中症予防」「パフォーマンスの維持」「脱水症予防」の意味があります。水分を摂取することはそのまま生命活動の維持につながる、重要な要素です。近年の日本では気温が著しく上がることもあり、要注意です。
水を飲まないとどうなるのか
基本的には脱水量に応じて必要な水分量を摂取しなければなりません。そうしなければ疲労が蓄積し、運動終了時の疲労感には大きな差が出てしまいます。水を自由に飲むスタイルでも問題ありません。一般に、体重の2%に相当する水分が失われるだけで、体調不良の症状が出現するようになります。頭痛やめまいがするようになれば、高山病だけではなく脱水症状を心配した方がよいです。これは冬場でも発生するため、要注意です。
脱水症状の初期症状
脱水症状の初期症状としては、次のようなものがあります。
- 喉の乾き
- 尿の減少(濃い尿)
- 口内の乾燥
- 眩暈
- 軽度の怠さ
- 集中不足
- 頭痛
塩分を含むだけではなく、発汗を抑える事も重要です。初期症状が出た状態でさらに発汗が行われると、症状が悪化してしまいます。
脱水症状になるとどうなるのか
脱水症状になると、上記症状以外にもさらに症状が出てきます。
- 食欲不振
- 嘔吐
- 精神錯乱
- 意識障害
意識障害まで出てしまうと、登山やハイキングを行っている場合ではありません。このような事態を避けるためにも、水分量を管理し適切な水分量を摂取し続ける事が重要です。
登山やハイキングをする際には、1.5%の水分が失われただけでも危険です。1.5%の水分を失っただけでも、「作業能力低下」「注意力散漫」「不安の増加」などの悪影響が出ます。この状況で登山を行うと正常な判断が下せない可能性がたかく、非常に危険です。
水分補給をするタイミング
基本的には喉が渇く前に飲むというのが重要です。ですが、水分補給をするために定期的に足を止めて休憩することも難しいです。定期的な時間間隔で一定量の水分を飲むことが良いでしょう。摂取する水分量は、計算できるため、行動時間に応じた水分量を摂取していけばいいと思います。
水を飲みすぎるとどうなるのか
水を過度に飲んでしまうと、返って逆効果になることがあります。僅かな時間で1L以上の水分を摂取すると、水中毒となります。水中毒の症状を引き起こすと、頭痛・めまい・嘔吐などの症状が発生します。症状は脱水症状と同じですが、水中毒の場合も死に至る可能性があります。汗をかいたとはいえ、過度な水分摂取は控えるべきでしょう。
登山ではどのくらいの水を持てばいいか
今回、後述する数式を使用した理想的な水分量は次のように算出できる。
| 季節 | 8時間行動の目安 |
|---|---|
| 冬 | 1.5〜2L |
| 春秋 | 2〜3L |
| 夏 | 3〜5L |
これをさらに詳細にしていくと次のようになる。
| 条件 | 必要水分量 | 出発時の携行量 |
|---|---|---|
| 春秋の日帰り | 約3〜4L | 1.5〜2L |
| 真夏の日帰り | 約4〜5L | 2〜3L |
| 水場の無い稜線歩き | 約4〜5L | 4〜5L |
この計算値はあくまで参考でしかない。しかし、実際にこれまで様々な季節で山に登ってきたが、出発時には大抵3L程度持っておけば困ることは少なかったように感じている。もちろん、丸一日行動するが水場がない、という状況では5L程度持ち運ぶこともある。
現実的にどのくらいの水を持ち運ぶのか
| 条件 | 携行水量の目安 |
|---|---|
| 春秋の日帰り | 1.5〜2L |
| 真夏の日帰り | 2〜3L |
| 水場がない縦走 | 3〜5L |
| ロングトレイル | 2〜3L+補給計画 |
自分の実体験を込みで考えるとこのような感じになります。ロングトレイルでは適度に補給ができる事もアリ、大量に水分を持ち運ぶことは少ないです。次の水場への距離を見ながら持ち運びをしていきます。
登山で必要な水分量は?

登山やハイキングで必要とされる水分量は計算で算出できます。一日に必要な水分量を計算し、必要な水分を持ち歩くことで必要最小限で行動することができます。不要な水分はそのまま重量となるため最適な水分量を持ち運びましょう。
登山やハイキングで必要な水分量は?
強度の運動を行う場合、一日に必要な水分量は約3Lであるとされています。これは、欧州で行われた科学的実験に基づく算出になります。この摂取水分量の中には、食事からの摂取される水分量も含まれています。例えば食事に味噌汁やスープパスタを作る場合、直接的に摂取する水分量は幾分か少なくなります。
登山をする場合では、日本山岳協会が採用している記事を参考にすると「成人男性60 kgで8時間歩行」の条件で「1.8L(約2L)」と算出できます。
脱水量を算出することも可能
基本の計算式は「重量(kg) × 行動時間(h) × 5(mL) = 消費水分量(ml)」と言われています。計算で求められた消費水分量に対して、7~8割を持ち運ぶことが推奨されています。しかし、時期に応じてこの割合は変更するべきでしょう。
- 春や秋………80%
- 夏場…………100%
- 冬場…………60%
この位を目安に持ち歩くと良いでしょう。冬山の場合は、雪山を動くと想像以上に疲労して汗をかく場合がありますので、要注意です。
山岳会の水分量計算の由来はどこに?
計算式を算出するためには、幾つかの条件があります。
- 脱水量が計算できること
- 重量が把握できている事(ザック重量込み)
- 想定している行動時間
これらが判明している時に、「重量(kg) × 行動時間(h) × 5(mL) = 消費水分量(ml)」を使用して算出することができます。水を準備するのは最後になると思いますが、パッキングを完成させてから計算していくと良いでしょう。
気温と運動強度を考慮した脱水量の計算
登山における脱水量は上記式ではなく、下記式で計算することが望ましいです。一般には上記式を紹介されていますが、個人的にはこちらの式の方が正しいと思います。
脱水量=(0.0176×気温+0.315)×METS×(体重+荷物)×時間
ハイキングの科学
この式に関しては、出典である「ハイキングの科学」を参考にして欲しいです。様々な記事で紹介されている脱水量の計算よりも、気温や運動強度を考慮した、科学的根拠に基づく計算式です。厳密に水分量を計算してギリギリの水分を持ち歩く場合には参考にしてください。
登山の脱水量に関して
登山における脱水量は、METSという運動強度で大きく変わります。基本的には登山では、6~8METASとされています。計算が難しい場合には7METASを利用しましょう。ロングトレイルでは、重量によりますが多くの食料を持っている時には8METASを利用すると良いかもしれません。
気温にも影響されます。日本では、気温が高い時には40℃近くまで上昇することがあります。天気予報で予め確認しておき、必要な場合は余分に持っていきましょう。
脱水量の式を変形して意味を考える
脱水量は「脱水量=(0.0176×気温+0.315)×METS×(体重+荷物)×時間」で算出されます。この式の意味は、次のように修正することもできる。
脱水量=(0.0176×気温+0.315)×消費エネルギー (消費エネルギーはkcalとする)
つまり、消費エネルギーの大きく依存することになります。消費エネルギー量が多ければ、必要な水分量もグッと増える事になります。それ以外にも、気温が上昇すればそれだけ発汗が増えるし、気温が低ければそれだけ発汗がありません。夏場の30度を超えて来ると、一日3L以上の水分が必要となります。
登山中も脱水量に応じた水分量を摂取する
蒸し暑い日本では、水分の摂取は非常に難しいです。気温以上にべたつき不快感が募り、想像以上に水分を摂取してしまう事があります。水分を摂取しすぎると、低ナトリウム症になりますし、摂取不足は脱水症状を引き起こしてしまいます。登山やハイキング、ロングトレイルでは少しの判断ミスで大事に至る可能性もあります。自分の水分量を意識して、小まめに失った水分を補給しながら歩いていくことが望ましいです。
実際のロングトレイルではどうする?
個人的には、気温や水場にもよるが、ロングトレイルでは一日に2〜3L程度の携行水量で行動することが多い。行動中に飲む水分量は、体が元気であれば一日2L程度で、疲れて集中ができないような比で3L程度になる。これは、これまでの経験に基づきそうしているだけであり、確実に正しいわけではない。
僕が持ち歩く水分量について
僕は常に、ロングトレイルではザック内に3Lの水分を入れておくことが多いです。水場が枯れていることもありますし、水場で思うように水を集められないこともあります。そうした事態に対応する為に、多くの水を持ち運ぶようにしています。夏場ではそれでも不安になります。
日本の山で三泊以上の縦走をする場合、大量の水を持ち運ぶことが多いです。山小屋で水分を購入してもいいですが、持ち運ぶ方が安いし簡単なのでそうすることが多いです。これをする為には、ある程度の体力が必要となります。
集中できない日は水を飲みがち
ロングトレイルをしていると、月に数日は思うように集中できず歩けない日があります。そんな日は、つい休憩が多くなり水分を沢山摂取してしまいます。これは失敗だなと思うのですがPCTワシントンエリアでは、何度も長い一日があり水分を過剰摂取してしまいました。そのせいで、返って体が疲れてしまい、苦労することになります。更に、水の消費量が多い為、持ち運ぶ水の量が多くザック重量も増えてしまいます。
水は配ることもある
ロングトレイルをしているとシバシバ、水を分ける事があります。乾燥地帯を歩いていると、かなりギリギリの水分で行動している人もいます。また、途中でへばって行動できなくなり水がなくなる人も。そういう人に声をかけられたときに、サッと分けられる程度の水分を持って行動するようにしていました。1L程度ですが、余裕がある時は人に分けられるように持ち運んでいました。もちろん、自分の予備として飲むこともありましたよ。
テント内で消費する水分も忘れずに
実は、乾燥地帯や暑い地域では歩き終わってから1L程度の水分を飲む事は珍しくありませんでした。行動終了後、体をゆっくり休めている時もかなり喉が渇きます。喉が渇いた状態ではうまく眠れず、次の日の朝一に水を求めて徘徊することになったことがあります。就寝時は、「調理」「飲む」「翌朝」ように、少しだけ多めに持ち運ぶようにしていました。
まとめ
今回は、登山やハイキングに必要不可欠な水分量の話をしました。今回紹介した必要な水分量を計算するための脱水量を求める式ですが、ハイキングの科学という本以外にはあまり掲載されていません。個人的には一番納得できる登山やハイキングに適した脱水量の計算だと思っています。
ここまで厳密に脱水量を計算して行動するハイカーは少ないと思います。基本的には三リットル程度を一日で考え、予備の水も持ち運ぶようにしましょう。
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