ロングトレイルや長期縦走用のバックパックを探していると、候補に入るのがモンベル アルパインパック60です。価格は海外メーカーより比較的安価ですが、
「本当に長く使えるのか?」
「20kg以上の荷物でも快適なのか?」
「海外ロングトレイルでも通用するのか?」
と気になる方も多いでしょう。私はこのアルパインパック60を、「四国遍路」「Pacific Crest Trail(PCT)」「日本での縦走・ハイキング」で使用し、累計6000km以上歩いてきました。PCTだけでも約5500kmにわたり背負い続け、食料や水を含めて20〜30kg近い重量を何か月も担いでいます。
その結果、良かった点だけでなく、「ここは改善してほしい」と感じた点や、実際に破損した箇所も見えてきました。この記事では、カタログスペックでは分からない6000km使ったからこそ分かった本音を紹介します。
モンベル アルパインパック60レビュー【結論】
アルパインパック60は、重量を背負うロングトレイル用途では非常に完成度が高いバックパックでした。何より、耐久性が高く背負いやすい、腰荷重を維持できたことが個人的には良かったです。ただ、ULに向かずロールトップの必要性があるのかは賛否ありです。

アルパインパック60のメリットデメリット
特に評価したいのは、
- 腰荷重性能が非常に優秀
- フレームが頑丈で30kg近い重量にも対応
- 6000km使っても致命的な破損がなかった
- 背面長調整ができる
- モンベルらしい高いコストパフォーマンス
という点です。一方で、
- 約2kgあるためUL志向には重い
- ロールトップは慣れが必要
- 外付けには向かない
というデメリットもあります。軽量装備を目指す人にはおすすめできませんが、「丈夫で長く使えるバックパックが欲しい」という方には、自信を持っておすすめできます。
モンベルアルパインパック60と向かった場所
実際に使用した環境は次の通りです。
- 四国遍路
- Pacific Crest Trail(PCT)
- 北アルプス縦走(槍ヶ岳~燕岳~中房温泉・上高地~蝶ヶ岳・裏銀座縦走)
- 南アルプス縦走(甲斐駒~仙丈ケ岳・光岳~聖岳・北岳~間ノ岳~荒川・赤石岳)
累計使用距離は6000km以上。
PCTでは食料や大量の水を含めると20kgを超えることが多く、シエラではベアキャニスターも携行していたため、30kg近い重量になる日もありました。北カリフォルニアでは30kg越えもありましたね。
本記事では「数回背負った感想」ではなく、長期間使い続けた耐久性や使用感を中心に紹介します。
モンベル アルパインパック60の基本スペック
簡単に表にまとめておきました。詳細に関しては、公式HPをご確認ください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 容量 | 60L |
| 重量 | 約2.0kg(アクアバリアサック含む) |
| 素材 | 100デニール ナイロンリップストップ |
| 背面 | EVAフォーム |
| 構造 | 一気室 |
| 開口部 | ロールトップ |
実際に使用してみて
数字だけを見ると2kgという重量は決して軽くありません。しかし、実際に長期間使用して感じたのは、「重量以上に背負いやすい」ということでした。
これはフレーム剛性と腰荷重性能が優秀だからです。軽量ザックでは15kgを超えたあたりから肩への負担が増える製品もありますが、アルパインパック60は重い荷物を安定して支えてくれました。
アルパインパック60を6000km使った本気レビュー
ココでは、より詳細にこれまでに使用してきたアルパインパック60のレビューをしていきます。沢山のメリットデメリットがある為、一つ一つ紹介をしていこうと思います。

6000km使って感じたメリット
長期間使用して感じたメリットは次の6つです。
- 腰荷重性能が非常に優秀
- 圧倒的な耐久性
- 背面長調整が便利
- 雨蓋の使い勝手が良い
- アクアバリアサックが想像以上に便利
- コストパフォーマンスが高い
それぞれ詳しく紹介します。
最大の魅力は腰荷重性能
アルパインパック60を高く評価している最大の理由は、腰荷重が非常に安定していることです。PCTでは半年近く毎日歩き続けます。肩だけで荷物を支えるザックでは、
- 肩擦れ
- 首の痛み
- 猫背
- 疲労の蓄積
につながります。
しかしアルパインパック60では、荷重をしっかり腰へ逃がせるため、肩だけで荷物を支える感覚がほとんどありませんでした。実際、PCT約5500kmを歩いた2025年も、肩が痛くて歩けなくなることは一度もありません。もちろん歩き方や荷造りも影響しますが、この腰荷重性能は非常に優秀でした。
20〜30kgでも安心して背負えた
ロングトレイルでは荷物が重くなる場面があります。国内外のロングトレイルでは次のようなものを担ぐことが多いです。
- 常時食料5日分
- 水3L~5L
大量にモノを担いだ時には、1週間以上の食料と5L以上の水分など、30kg以上の重量を背負うこともあります。多くの場合20kg~30kgという重量を背負っていました。
この重量になると、軽量ザックではフレームが負けたり、腰ベルトが荷重を支えきれなくなることがあります。アルパインパック60では、そのような不安定さを感じることはほとんどありませんでした。
重たい荷物でも重心が安定し、自分のペースで歩き続けられたことは、長期間歩く上で大きな安心材料でした。
6000km歩いても使える耐久性
6000km以上歩けば当然傷だらけになります。木の枝に擦れ、岩にぶつけ、地面へ何百回も置きました。
それでも、ザック本体の生地が裂けることはありませんでした。
これは100デニールという数字以上に、生地や縫製の完成度が高いからだと思います。海外メーカーのULザックでは、同じ距離を歩けば補修テープだらけになることも珍しくありません。アルパインパック60は重量こそありますが、その分だけ安心感があります。
最後まで腰荷重性能を支えていた理由が、しっかりした背面フレームです。PCTでは毎日のように
- 倒木へ立て掛ける
- 岩場へ置く
- 山火事跡へ直接置く
- ブッシュへ突っ込む
という使い方をしました。日本の登山では考えられないほど雑に扱っています。それでもフレームが曲がったり、構造が歪んだりすることはありませんでした。重たい荷物を最後まで支えてくれた点は、非常に信頼できる部分です。
背面長調整システムは長期歩行で大きな武器になる
アルパインパック60には、モンベル独自の背面長調整システムが採用されています。S(49cm)、M(53cm)、L(57cm)の3段階で調整でき、自分の体格や荷重バランスに合わせて変更できます。
一般的な1泊2日の登山では、一度合わせてしまえば調整する機会は少ないでしょう。しかし、ロングトレイルでは事情が変わります。何故なら出発直後と補給後では、荷物の重量が大きく変わるからです。さらに、水を大量に持つ区間やベアキャニスターを携行する区間では、荷重の位置も変化します。
そのため、背面長を微調整して荷重を腰へ乗せ直せることは想像以上に重要でした。
実際、荷物量に応じて調整しながら歩いていましたが、長期間にわたって腰荷重を維持できた理由の一つは、この調整機構のおかげだと感じています。
背面システムで気になったところもあるよ
背面長を調整する構造上、肩ハーネスの付け根がめくれやすく、背負う際に少し引っ掛かることがありました。歩行中に問題になることはありませんでしたが、背負うたびに少し整える必要があったため、この部分は次期モデルで改善されるとさらに使いやすくなるでしょう。
背面パッドは必要十分な快適性
背面にはEVAフォームが採用されています。近年では背面が大きく浮くメッシュ構造のザックも増えていますが、アルパインパック60はそこまで派手な構造ではありません。その代わり、荷重を安定させることを優先した設計になっています。
実際に使用した感想としては、「必要十分」という言葉が一番しっくりきます。もちろん真夏に歩けば背中は汗で濡れます。これはどんなバックパックでも避けられません。
しかし、接地面積が最小限に抑えられているため、極端な蒸れは感じませんでした。また、夜にテントへ着けば翌朝には乾いていることが多く、連日歩き続けても不快感が蓄積することはほとんどありませんでした。
PCTでは雷雨で全身ずぶ濡れになることもありましたが、背面パッドが水を大量に吸い込んで重くなるような印象もなく、翌日には問題なく使用できています。
雨蓋(トップリッド)が想像以上に便利だった
アルパインパック60で特に気に入っていた装備が、雨蓋(トップリッド)です。最近はULザックを中心に雨蓋を省略したモデルも増えていますが、長期間歩く場合は雨蓋の便利さを何度も実感しました。
例えば、
- 財布
- パスポート
- 行動食
- ヘッドライト
- 日焼け止め
- モバイルバッテリー
- 地図
など、頻繁に取り出す荷物をまとめて収納できます。ロールトップ式は開口部が大きい反面、毎回メイン気室を開けるのは意外と面倒です。
その点、雨蓋があることでアクセス性は大きく向上していました。このトップリッドは取り外してショルダーバッグとしても使用できます。容量は約7L程度なので、大きな荷物は入りませんが、
- タウンでの買い物
- アタックザック
- 貴重品入れ
として使うには十分な大きさでした。長距離ハイキングでは意外と役立つ機能です。
アクアバリアサックは予想以上に優秀だった
アルパインパック60には専用のアクアバリアサックが付属しています。正直、使う前は「普通のゴミ袋でも十分では?」と思っていました。実際PCTではゴミ袋を使用していました。
良かった点は、
- 非常に丈夫
- 完全防水
- 持ち手付きで取り出しやすい
- ザック内部へ固定できる
- 洗濯バッグとしても利用できる
ということです。特に持ち手が付いていることは非常に便利でした。ザックの奥まで入れた荷物を、そのまま引き抜けるため、毎日のパッキングがかなり楽になります。
また、四国遍路や国内旅、アルプス縦走では洗濯袋としても活用でき、一つで二役をこなしてくれました。
アクアバリアサックの気になった点
便利だった一方で、改善してほしい部分もあります。最も気になったのは、生地の厚さです。非常に丈夫で安心感がある反面、生地が硬いためロールトップとの相性はあまり良くありません。
荷物をパンパンに詰め込んだ状態ではロールするのに力が必要になり、開閉にも少し時間が掛かります。ロングトレイルでは一日に何度も荷物を出し入れするため、この手間は積み重なると少し気になりました。
とはいえ、防水性能を考えれば十分許容できる範囲です。また、生地の厚みの割には破損しやすいのか、僕の場合は穴が開いて黒くなってしまいました。
ロールトップ構造は好みが分かれる
アルパインパック60はロールトップ方式を採用しています。最近では防水性の高さから採用するメーカーも増えていますが、個人的にはこの構造だけは大きなメリットを感じませんでした。
- 開口部が広い
- 防水性が高い
と言われています。しかし、実際に長期間使用すると、毎回ロールする手間が増え、荷物を満載にすると閉めにくくなる場面もあります。
さらに、アルパインパック60は雨蓋を併用する構造です。「ロールトップだから便利になった」という場面は、正直ほとんどありません。むしろ従来のドローコード式でも十分だったのではないか、と感じています。これは完全に好みの問題ですが、購入前には知っておいてほしいポイントです。
実際に6000km使って壊れた箇所

ここまで高く評価してきましたが、当然6000kmも使用すれば劣化は避けられません。
実際に最後まで使用して確認できた損傷は次の通りです。
- 腰ベルト表面の生地が擦り切れ、内部フレームが見えるようになった
- 腰ベルトと背面パッドの接触部分に穴が開いた
- 背面パッドの一部が軽く破れた
- 縫製の糸が一部ほつれた
この中で最も大きかったのは、腰ベルト表面の摩耗です。
これは普段使用していたウエストポーチとの干渉が原因で、歩行中に何千回も擦れ続けた結果だと思います。つまり、ザック自体の耐久性というよりは、使用環境による摩耗でした。腰ベルトの締め付けも新品時より少し甘くなっていました。とはいえ、6000km歩けば当然と言えるレベルです。
モンベルでは修理や部品交換にも対応しているため、腰ベルトを交換すればまだまだ使い続けられる状態でした。僕が手放した理由も、「壊れたから」ではなく、フレームが表面に出てきたことで、これ以上長距離を歩くには修理が必要だと判断したためです。
むしろ6000kmという使用距離を考えれば、この程度の劣化で済んだことに驚いています。
アルパインパック60の総評と買いたい人へのアドバイス
これまでの内容を纏めて、お勧めできる人できない人と、最後に総評を記載します。実際に購入を悩んでいる方向けの内容になります。

モンベル アルパインパック60がおすすめな人
6000km以上使用した経験から、このザックをおすすめできる人は次のような方です。
- 長期間使える丈夫なバックパックが欲しい
- ロングトレイルや数日間の縦走を考えている
- 15kg以上の荷物を背負うことが多い
- 腰荷重を重視したい
- UL(ウルトラライト)ではなく安心感を優先したい
- モンベル製品が好きで、修理しながら長く使いたい
アルパインパック60は、「軽さ」ではなく「安心して背負えること」を重視したバックパックです。PCTでは半年近く毎日背負い続けましたが、「ザックが原因で歩けない」と感じたことは一度もありませんでした。
長距離を歩けば歩くほど、この安心感の価値は大きくなります。
逆におすすめできない人
一方で、全ての人に向いているわけではありません。次のような方には、別のバックパックをおすすめします。
- ベースウェイト7kg以下を目指すULハイカー
- 日帰り登山が中心
- できるだけ軽いザックが欲しい
- 外付けを多用したい
- ポケットが多いバックパックを好む
アルパインパック60は約2kgあります。
最近では1kgを切る大型ザックも販売されているため、「軽さだけ」を求めるなら選択肢から外れるでしょう。また、アルパインパックという名前の通り、シンプルでスリムな設計です。大型のサイドポケットや豊富な外付けループを期待すると、少し物足りなく感じるかもしれません。
実際に6000km使って感じた総合評価
改めて評価すると、僕はこのバックパックを非常に高く評価しています。その理由は、「派手な特徴はないのに、必要な性能を確実に備えている」からです。最近のバックパックは、
- 超軽量
- 大型メッシュポケット
- 多数の外付けループ
- 独自の背面システム
など、個性的な機能を搭載した製品が増えています。もちろん、それらにも魅力があります。しかし、長期間歩いていると本当に重要なのは、「毎日安心して荷物を運べること」でした。
アルパインパック60は、まさにその基本性能が非常に高いバックパックです。6000km歩いた今でも、「もう一度PCTを歩くなら候補に入れるか?」と聞かれれば、僕は迷わず「はい」と答えます。
それほど信頼できる相棒でした。
個人的な他社ザックとの比較
簡単にですが、個人的に他の会社のザックと比較してみました。あくまで個人の感想にしかならないし、アルパインザック60を一番使い込んでの評価になります。
| ザック | 重量 | 耐久性 | 腰荷重 | 価格 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|---|
| アルパインパック60 | 約2.0kg | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
| オスプレー エクソス58 | 約1.3kg | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
| グレゴリー カトマイ65 | 約2.2kg | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★★★★ |
| ULA Circuit | 約1.1kg | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ |
オスプレイのザックは外付け含め完成度が高く、グレゴリーは使い勝手が計算されつくされた高級ザックでした。悪いことなどなく、しっかりとしたとても良いザックです。高いだけの性能があると、僕は思います。
僕は6000km使用した経験から、荷物が20kgを超えるロングトレイルではアルパインパック60が最も安心感がありました。一方で軽量化を重視するならULAやエクソス、費用に余裕があればオスプレイやグレゴリーにも大きな魅力があります。
よくある質問(FAQ)
ここでは、気になるであろう内容に答えていきます。
Q. アルパインパック60はPCTやロングトレイルでも使えますか?
十分使用できます。実際に僕は約4200kmのPCTを歩き切りました。荷物が重くなるシエラ区間でも安定感があり、耐久性にも不安はありませんでした。その他、日本国内のロングトレイルや縦走で使用できます。
Q. 夏山だけなら60Lは大きすぎますか?
一泊二日程度の登山ならオーバースペックです。
- テント泊縦走(長期縦走)
- ロングトレイル
を考えているなら、60Lあることで食料や防寒着に余裕が生まれます。荷物が少ないときでもコンプレッションで十分圧縮できます。
Q. 初心者にもおすすめできますか?
おすすめできます。特に荷物が重くなりやすい初心者ほど、腰荷重性能の高さを実感しやすいでしょう。一方で、日帰り登山が中心ならもう少し小さい容量でも十分です。
Q. 6000km使用後も使えますか?
僕の場合は腰ベルトの摩耗が進み、修理が必要な状態になりました。しかし、本体生地やフレームは十分使用可能な状態でした。モンベルは修理対応も充実しているため、部品交換を行えばさらに長く使えると思います。
アルパインザックとロングトレイル用のザックの違いは?
アルパインというのは厳しい登山で使うことが前提です。上に上にと登る為のザックで岩場などに擦り付ける事も前提の構成です。原則外付けをしない構造となっています。
一方でロングトレイル用のザックは横へ横へと移動するためのザックです。耐久性などよりも、軽量性や外付けポケットの数などが優先されます。
長く使えますか?
僕の場合はかなり長い距離を使用しました。手入れさえしっかりとしていれば、加水分解が発生して生地への加工が無効化されるまでしっかりと利用できるでしょう。それこそ、5年や10年単位で使用できるのではないかと思います。モンベルでは修理もできますしね。
もう一度買い直ししたいと思えるのか
思う。新しくザックを買う事になるだろうが、僕はアルパインザック60を視野に入れている。もちろん毎年マイナーチェンジが行われているので、確実な保証はない。
- 日本ブランドならではの安心感と信頼
- 身近に店舗があり満足いくまで確認ができる
- 費用対効果が高い
これらの理由より、他ブランドより購入がしやすいからです。
まとめ|ロングトレイルを歩くなら信頼できるバックパック
モンベル アルパインパック60は、派手さこそありませんが、長期間歩くために必要な性能を高いレベルで備えたバックパックでした。
実際に6000km以上使用して感じた最大の魅力は、
- 腰荷重性能
- フレームの剛性
- 高い耐久性
この3点です。特にPCTでは、20〜30kg近い荷物を何か月も背負い続けましたが、大きなトラブルなく歩き切ることができました。
- 約2kgある重量
- ロールトップ構造
- 外付けが少ない
こういったマイナス要素を受け入れる事ができる人には、自信をもってお勧めします。
これまでに執筆した記事

