登山用のスリーピングマットを探していると、「クローズドセルマットとエアマットはどっちがいいんだろう?」と迷うことがあります。僕もこれまで、いろいろなマットを使ってきました。
僕自身は現在もクローズドセルマットを選んでいます。
ただし、これは「クローズドセルマットのほうが優れている」という意味ではありません。クローズドセルマットとエアマットでは、そもそも重視するポイントが違います。
- 寝心地や収納性を重視するならエアマット。
- 耐久性やシンプルさ、扱いやすさを重視するならクローズドセルマット。
僕は後者を優先しているため、クローズドセルマットを使っています。
この記事では、クローズドセルマットとエアマットの違いを、寝心地・重量・収納性・耐久性・R値などから比較します。
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クローズドセルマットとエアマットの違い
まずは、それぞれの特徴を簡単に比較します。
| 比較項目 | クローズドセルマット | エアマット |
|---|---|---|
| 構造 | フォーム素材 | 空気を入れて使用 |
| 寝心地 | 硬め | 柔らかくしやすい |
| クッション性 | ○ | ◎ |
| 収納性 | △ | ◎ |
| 耐久性 | ◎ | △〜○ |
| パンクの心配 | なし | あり |
| 設営 | 広げるだけ | 空気を入れる |
| 撤収 | 折る・巻く | 空気を抜く |
| 座布団としての利用 | ◎ | △ |
| ザック外付け | ○ | △ |
| 長期縦走 | 向いている | 製品による |
| 寝心地重視 | △ | ◎ |
| シンプルさ重視 | ◎ | ○ |
これはあくまで一般的な傾向です。現在のエアマットには非常に軽量でコンパクトな製品もありますし、クローズドセルマットにも厚みや表面構造を工夫した製品があります。
そのため、最終的には「クローズドセルかエアか」だけではなく、実際の製品の重量・収納サイズ・厚み・R値・サイズまで確認して選ぶ必要があります。
そもそもスリーピングマットには、地面からの冷気を防ぐ断熱性と、地面の凹凸を和らげるクッション性という2つの重要な役割があります。
クローズドセルマットとは?

クローズドセルマットは、フォーム素材で作られたスリーピングマットです。内部に細かな気泡を持つフォームを使用しており、空気を注入することなく、そのまま使用できます。
登山では、ロール式やアコーディオン式の製品がよく使われています。僕がPCTで使用したエバニューのトレイルマットも、このタイプです。クローズドセルマットの最大の特徴は、構造がシンプルなことです。
空気を入れる必要がないので、テントを設営したらマットを広げるだけ。空気を保持する必要もないため、パンクによって突然使えなくなる心配がありません。
REIもクローズドセルフォームマットについて、軽量性、耐久性、低価格、パンクによって空気が抜けないことを特徴として挙げています。
クローズドセルマットのメリット
僕が実際に使ってきて便利だと感じたのは、次のようなところです。
- 広げるだけですぐ使える
- パンクしない
- 壊れにくい
- 座布団として使える
- ザックの外側に取り付けやすい
- 空気を入れる作業がない
- 多少傷んでも使い続けやすい
- 比較的安価な製品が多い
特に長距離を歩く場合、僕は「壊れにくさ」を大きなメリットだと考えています。PCTでは約4,200kmにわたってトレイルマットを使用しました。
木や岩、藪などに引っ掛けることもあり、表面には傷やへこみができました。角がつぶれたり、破れたりした部分もあります。それでもマットとして使い続けることができました。
もちろん新品と同じ状態ではありません。それでも、多少傷んでも寝るための道具として使い続けられるというのは、長期縦走では安心感につながります。
クローズドセルマットのデメリット
一方で、弱点もあります。一番分かりやすいのが、かさばることです。フォームそのものを小さく圧縮することは難しいため、折りたたんでもロールしても、それなりの大きさが残ります。
特にロール式は、ザックの中に収納しにくいことがあります。僕自身、トレイルマットを使っていたときは、ザックの中に入れるのに苦労しました。
荷物を詰めたあとに押し込むのではなく、マットを先に入れてから荷物を入れ、体重を使ってザックを圧縮することもありました。また、寝心地はエアマットと比較すると硬めです。
地面の凹凸を完全に消すことはできません。僕も石や岩の存在を感じることがあります。特に尖った石の上では、マット越しでも突き上げを感じます。
エアマットとは?

エアマットは、内部に空気を入れて使用するタイプのスリーピングマットです。空気によってマットに厚みを持たせるため、フォームだけのクローズドセルマットとは違った寝心地になります。
現在のエアマットには、内部に断熱材や反射素材などを組み込んだ製品もあります。そのため、「エアマット=空気だけで断熱するもの」と考えるのではなく、製品ごとの構造を確認したほうがいいでしょう。
例えばモンベルでは、サーモフィルムを内蔵した空気注入式パッドや、フォームを内部に組み込んだ空気注入式パッドなどを展開しています。
エアマットのメリット
エアマットの大きなメリットは、寝心地と収納性です。空気を入れることでマットに厚みを出せるため、地面の凹凸を感じにくくできます。
また、空気を抜けば非常にコンパクトになる製品もあります。REIでも、エアマットは快適性・軽量性・収納性に優れるタイプとして説明されています。
特に、「マットはザックの中に入れたい」という人にとって、コンパクトに収納できることは大きなメリットです。
エアマットのデメリット
一方で、エアマットにはクローズドセルマットにはない注意点があります。それが、パンクや破損によって空気が抜ける可能性があることです。
エアマットは生地やバルブなどによって空気を保持しているため、穴や裂けが発生すると性能を維持できなくなる可能性があります。そのため、長期縦走ではリペアキットなどを携行することも考える必要があります。
もちろん、エアマットが簡単に壊れるという意味ではありません。現在の製品には耐久性を考えた素材や構造を採用したものもあります。ただ、クローズドセルマットには基本的にない「空気が抜ける」というリスクが存在することは、選ぶ際に知っておきたいところです。
REIも、エアマットはパンクや裂けの可能性があり、フィールドで修理できるよう備えることを案内しています。
寝心地はエアマットのほうがいい?

寝心地を重視するなら、エアマットは有力な選択肢です。特に厚みのあるモデルでは、地面の凹凸を感じにくくできます。クローズドセルマットは、基本的にフォームそのものの硬さや厚みで寝心地が決まります。
一方、エアマットは空気量によって硬さをある程度調整できます。そのため、寝心地についてはエアマットのほうが選択肢を広げやすいでしょう。
ただし、ここは個人差が大きい部分です。僕自身は、クローズドセルマットで肩や腰が痛くて眠れないということはありませんでした。むしろ僕がエアマットを選ばない理由は、寝心地が悪いからではありません。
空気で浮いているような感覚が、自分にはあまり合わなかったからです。寝返りを打ったときの沈み込みや、マットが揺れるような感覚が気になりました。また、寝返りの際に音が気になることもありました。
ただし、これは僕個人の感覚です。エアマットにはさまざまな構造・厚みの製品があるため、すべてのエアマットに当てはまる話ではありません。だからこそ、可能なら実際に寝てみることをおすすめします。
軽量なのはクローズドセルとエアマットのどっち?
「クローズドセルマットは軽い」というイメージがあります。確かに軽量なフォームマットは多いですが、種類だけで重量を判断するのはおすすめしません。現在は軽量なエアマットも数多くあります。
REIも、軽量化を重視するバックパッキングでは、軽量なエアマットとクローズドセルマットの両方を選択肢として挙げています。
実際には、
- 本体重量
- サイズ
- 収納サイズ
- R値
- 厚み
- 修理用品の有無
まで含めて比較したほうがいいでしょう。僕の場合は、重量だけではなく壊れにくさや設営の簡単さも含めて道具の軽さを考えています。例えばクローズドセルマットなら、空気を入れるためのポンプや、パンクに備えたリペア用品を基本的に必要としません。
もちろんこれは製品や装備構成によって変わりますが、長距離歩行では「本体重量だけで判断しない」という考え方も大切だと思います。
収納性ならエアマットが有利
収納サイズを重視するなら、エアマットに大きなメリットがあります。クローズドセルマットはフォーム自体がかさばるため、折りたたんだり丸めたりしても限界があります。
一方、エアマットは空気を抜くことでかなり小さくできます。そのため「ザックの中にすべての荷物を入れたい」という人にはエアマットが向いています。
反対に、「マットは外付けでも問題ない」という人なら、クローズドセルマットのかさばりはデメリットになりにくくなります。僕は後者です。
マットをザックの外に取り付けることに抵抗がないので、収納サイズよりも耐久性や扱いやすさを優先しています。
耐久性ならクローズドセルマット?
長期縦走では、耐久性も重要な判断材料になります。クローズドセルマットはフォームそのものがマットなので、パンクして空気が抜けるという構造上の問題がありません。
僕のトレイルマットも、PCTで約2,500km使用する中で傷やへこみができました。それでも、そのまま使い続けることができました。
一方、エアマットは穴や裂けが発生すると空気が抜ける可能性があります。そのため、「壊れない」ではなく「壊れたときにどうなるか」まで考えておくと、マットを選びやすくなります。
長期縦走では、修理できるように準備しておくことも重要です。
R値はクローズドセルとエアマットのどっちが高い?
マット選びでは、種類と同じくらいR値も重要です。R値は、マットが熱の移動をどれだけ抑えるかを示す指標です。数字が大きいほど断熱性が高くなります。
スリーピングマットは寝心地だけでなく、地面から体温が奪われるのを防ぐ役割も持っています。REIも、マット選びではR値を確認し、季節や使用環境に合わせることを勧めています。
ここで注意したいのが、「エアマットだから暖かい」「クローズドセルだから寒い」とは一概に言えないことです。R値はマットの種類だけで決まるものではなく、素材や厚み、内部構造などによって変わります。
例えば、モンベルにはサーモフィルムを利用した空気注入式パッドがあり、高い断熱性とコンパクト性を両立させる設計になっています。
そのため、冬山や寒い時期に使用する場合は、「エアかクローズドセルか」よりも、実際の製品のR値を見ることが大切です。なお、R値だけで「何℃まで安全」と決めることもできません。
寝袋やウェア、地面の状態、テント内の環境、体質なども関係するためです。
クローズドセルマットとエアマットは重ねてもいい
実は、どちらか一つを選ばなければならないわけではありません。クローズドセルマット+エアマットという組み合わせもあります。
例えば寒い環境では、クローズドセルマットをエアマットの下に敷くことで、断熱性を追加する考え方があります。
また、地面とエアマットの間にフォームマットを入れることで、エアマットを保護する役割も期待できます。REIも、フォームマットと別のマットを組み合わせて断熱性やクッション性を高める方法を紹介しています。
ただし、2枚持てば当然荷物は増えます。そのため、常に2枚持つのではなく、
- 冬山
- 雪上
- 寒い時期のテント泊
- 寝心地をさらに高めたいとき
など、必要な場面で使い分けるのがいいでしょう。
登山スタイル別に選ぶなら?

ここまでの内容をまとめると、次のように考えると選びやすくなります。
| 重視すること | 検討したいタイプ |
|---|---|
| 長期縦走 | クローズドセル or エアマット |
| 耐久性 | クローズドセル |
| パンクの心配を減らしたい | クローズドセル |
| 設営を簡単にしたい | クローズドセル |
| 座布団としても使いたい | クローズドセル |
| ザック外付けでもいい | クローズドセル |
| 寝心地を重視 | エアマット |
| 収納サイズを小さくしたい | エアマット |
| 厚みが欲しい | エアマット |
| 硬さを調整したい | エアマット |
| 冬山で使う | エアマット |
| 軽量化したい | 製品重量を比較する |
ここで重要なのは、「登山ではクローズドセルが正解」ということではありません。登山のスタイルによって、必要な性能が変わるからです。1〜2泊のテント泊で寝心地を重視するなら、エアマットを選ぶ理由は十分あります。
一方で、何週間、何か月も歩くようなロングトレイルなら、僕は耐久性やシンプルさを重視してクローズドセルマットを選びます。
僕がクローズドセルマットを選ぶ理由
僕がクローズドセルマットを使い続けている理由は、エアマットより優れていると思っているからではありません。自分の使い方に必要な性能が揃っているからです。
僕が重視しているのは、
- 壊れにくい
- すぐに使える
- 座布団としても使える
- 長期間使いやすい
- 外付けできる
ということです。反対に、
- かさばる
- 硬い
- 地面の凹凸を感じる
という弱点は受け入れています。PCTでは約4,200km、約4か月にわたってクローズドセルマットを使いました。傷やへこみはできました。それでもマットとして使い続けることができました。
また、四国遍路や国内の長距離歩行でもクローズドセルマットを使っています。長く歩いていると、テント場に到着してからの作業をできるだけ減らしたくなることがあります。
そんなとき、マットを広げるだけで使えるというシンプルさは、僕にとって大きなメリットです。
エアマットを選ばないのは「エアマットが悪いから」ではない
僕は現在エアマットを使っていません。ただし、エアマットが悪いからではありません。僕の場合は、エアマット特有の浮いているような感覚が自分に合わなかったというのが大きな理由です。
これは完全に個人の感覚です。
エアマットのほうがよく眠れる人もいるでしょうし、クローズドセルマットの硬さが苦手な人もいると思います。だから、マットについては「みんなにとっての正解」を決めるより、
自分が毎晩眠れるか
を優先したほうがいいと思います。
登山では、軽量化のために数十gを削ることがあります。でも、その結果として眠れなくなってしまえば、翌日の行動にも影響します。僕はクローズドセルマットで問題なく眠れるので、そこで無理に寝心地を追求する必要を感じていません。
マット選びは「何を優先するか」で決める
クローズドセルマットとエアマットを比較すると、それぞれにメリットとデメリットがあります。
クローズドセルマットを選びたい人
- 耐久性を重視する
- パンクを気にしたくない
- 設営を簡単にしたい
- 座布団としても使いたい
- ザック外付けを許容できる
- 長期縦走で使いたい
エアマットを選びたい人
- 寝心地を重視する
- 地面の凹凸をできるだけ感じたくない
- 収納サイズを小さくしたい
- ザックの中に収納したい
- 厚みや硬さを重視する
ただし、これはあくまで選ぶ際の目安です。
製品によって重量、厚み、R値、収納サイズ、耐久性は大きく異なります。
まとめ
クローズドセルマットとエアマットは、どちらか一方がすべての登山者に適しているわけではありません。クローズドセルマットは、シンプルさ・耐久性・扱いやすさが魅力です。
エアマットは、寝心地・厚み・収納性が魅力です。僕自身はPCTで約2,500kmにわたってクローズドセルマットを使用し、傷やへこみができても使い続けられた経験から、今でもクローズドセルマットを選んでいます。
一方で、エアマットを長期使用した経験はないので、エアマットの耐久性や実際の寝心地について、自分の経験として語ることはできません。
だからこそ、この記事では一般的な特徴と僕自身の経験を分けて紹介しました。

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