登山用のレインウェアを長く使っていると、購入したばかりの頃は水を弾いていたのに、いつの間にか表面が濡れやすくなっていることがあります。
レインウェアの撥水性は、使用中の摩擦や汚れ、洗濯などによって徐々に低下します。特に、ザックと擦れる肩や、動きによって摩擦が生じる部分では、撥水性の低下を感じやすくなります。
僕自身、長時間歩く登山では、膝裏や手首付近の撥水性が落ちると、表面が濡れてひんやりするのが気になります。小さなことのようですが、雨の中で何時間も歩いていると、不快感が積み重なっていきます。
こうした問題を防ぐためにも、レインウェアの撥水性は定期的にメンテナンスすることが大切です。僕は、使用頻度にもよりますが、2年に1回程度は撥水性を見直したいと考えています。
この記事では、登山用レインウェアの撥水性が低下する原因から、洗濯・乾燥・撥水剤を使った回復方法まで解説します。初めてメンテナンスする人でも実践しやすいように、具体的な手順と注意点を紹介します。
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登山用レインウェアの撥水性が低下する原因

レインウェアの撥水性は、長く使っていると少しずつ低下します。まずは、なぜ水を弾きにくくなるのかを理解しておきましょう。
摩擦や汚れによって撥水性が低下する
レインウェアの表面には、水滴を弾きやすくするための撥水加工が施されています。しかし、使用中の摩擦や汚れなどによって、その性能は徐々に低下します。
例えば、登山ではザックのショルダーハーネスが肩や背中に接触し続けます。長時間歩けば、同じ場所に摩擦が繰り返し加わります。
また、汗や皮脂、泥などの汚れも撥水性を低下させる原因です。見た目にはきれいなレインウェアでも、使用を重ねるうちに汚れが蓄積していることがあります。
撥水性が低下したからといって、必ずしも撥水加工そのものが完全に失われたわけではありません。汚れを洗い落とすことで、水を弾く性能が回復する場合もあります。
膝裏や手首など、濡れやすい部分に注意する
レインウェアは、全体が均一に劣化するとは限りません。使用状況によって、特定の部分から撥水性が低下することがあります。
僕が特に気になるのは、膝裏と手首付近です。
歩行中は膝を繰り返し曲げ伸ばしするため、生地に摩擦や折り目が生じます。手首付近も、動作や装備との接触によって影響を受けやすい部分です。
こうした場所の撥水性が低下すると、雨水が表面に広がりやすくなり、濡れた生地が肌の近くで冷たく感じられることがあります。
雨の中で長時間行動する場合、濡れた衣服による不快感は小さくありません。レインウェアを点検するときは、全体だけでなく、摩擦が多い部分も確認しておきましょう。
表地が濡れると、蒸れや快適性にも影響する
登山用の防水透湿レインウェアでは、防水性だけでなく、表地の撥水性も重要です。
撥水性が保たれていれば、雨水が水滴となって表面を転がり落ちやすくなります。一方、撥水性が低下すると表地が水分を含みやすくなり、防水透湿素材が本来持つ透湿性能を十分に発揮しにくくなる場合があります。
ただし、表地が濡れることと、防水膜を雨水が通り抜けることは別の現象です。表面が濡れているからといって、すぐにレインウェアの防水性が失われたと判断する必要はありません。
撥水性を維持することは、雨を弾きやすくするだけでなく、快適に使い続けるためにも重要なのです。
レインウェアの撥水性を復活させる方法

撥水性が低下してきたら、まずはレインウェアの状態を確認しましょう。いきなり撥水剤を使うのではなく、洗濯と熱処理から始めるのが基本です。
まずは洗濯して汚れを落とす
レインウェアの撥水性が低下したと感じたら、最初に行いたいのが洗濯です。
汗や皮脂、泥などが生地に付着すると、水を弾きにくくなることがあります。この場合、汚れを落とすだけで撥水性が回復する可能性があります。
洗濯すると防水透湿素材が傷みそうに感じるかもしれませんが、製品の取扱説明書に従って適切に洗うことは、レインウェアの性能を維持するために重要です。
洗濯方法は製品によって異なりますが、基本的には次の点を意識しましょう。
- 洗濯表示を確認する。
- ファスナーや面ファスナーを閉じる。
- アウトドアウェアに適した洗剤を使用する。
- 洗剤が残らないように十分にすすぐ。
- 脱水や乾燥の方法は製品の指示に従う。
防水透湿素材のレインウェアでは、洗剤の残留が撥水性や透湿性に影響することがあります。すすぎは十分に行いましょう。
洗面器を使った手洗いも簡単
洗濯機を使える製品もありますが、手洗いなら生地の状態を確認しながら洗えます。
洗面器などに水または製品の指示に合った温度の水を張り、適量の洗剤を溶かします。レインウェアを浸し、生地を強く擦らずに優しく押し洗いしてください。
汚れが落ちたら、きれいな水に替えて十分にすすぎます。洗剤が残っていないことを確認し、強く絞らずに水を切りましょう。
ただし、手洗いがすべての製品に最適とは限りません。洗濯機が指定されている製品や、特殊な構造を持つ製品もあるため、必ず洗濯表示を優先してください。
洗濯後は適切な熱処理を行う
洗濯しても撥水性が十分に回復しない場合は、製品が対応していれば熱処理を試します。
レインウェアの撥水加工には、適切な熱を加えることで撥水性が回復するものがあります。そのため、洗濯後に指定された方法で乾燥・熱処理を行うことが重要です。
熱処理には、乾燥機、アイロン、ドライヤーなどが使われる場合があります。ただし、すべての製品で同じ方法が使えるわけではありません。
僕は、不器用なこともあり、製品が対応している場合はドライヤーを使うことが多いです。アイロンは温度管理や生地への当て方に注意が必要で、慣れていないと扱いにくく感じます。
ドライヤーを使う場合も、製品の指示に従い、近づけすぎず、一か所に熱を集中させないようにしましょう。モンベルの案内では、対象製品についてドライヤーを約10cm離し、60℃程度の風を当てる方法が紹介されています。ただし、これはすべてのレインウェアに共通する条件ではありません。
アイロンを使用する場合は、指定された温度と当て布の有無を確認してください。いずれの方法でも、洗濯表示とメーカーの案内を最優先にしましょう。
洗濯と熱処理でも回復しなければ撥水剤を使う
洗濯と適切な熱処理を行っても水を弾きにくい場合は、撥水剤による加工を検討します。
撥水剤は、低下した撥水性能を補うために使用するものです。アウトドアウェア向けの製品には、漬け込み式やスプレー式などがあります。
ここで重要なのは、レインウェアの素材に適した撥水剤を選ぶことです。衣類全般向けの製品が、すべての防水透湿ウェアに適しているとは限りません。製品の用途や使用方法を確認してから使いましょう。
また、撥水剤を使えば、防水膜の破損やシームテープの劣化まで直るわけではありません。撥水加工をやり直しても雨が内部へ侵入する場合は、別の原因を確認する必要があります。
おすすめの撥水剤
個人的にお勧めする撥水剤は下記の三つです。
日本で簡単に手に入り、個人的に信用信頼ができる製品です。一本購入しておけば数年使用できると思います。毎シーズンごとに確認し、必要であれば塗布するようにしましょう。
漬け込み式とスプレー式、どちらの撥水剤がおすすめ?

撥水剤には複数の種類がありますが、使い方や加工したい範囲によって向き不向きがあります。
ウェア全体を加工するなら漬け込み式
レインウェア全体の撥水性を回復させたい場合、漬け込み式の撥水剤は扱いやすい選択肢です。
洗濯したウェアを、指定された量の撥水剤を溶かした水に浸し、生地全体に処理を行います。全体を液に浸すため、局所的な塗り残しを減らしやすいのが利点です。
僕自身、ウェア全体をメンテナンスするなら、漬け込み式が簡単で扱いやすいと感じています。スプレー式のように表面へ何度も吹き付ける必要がなく、全体をまとめて処理できるからです。
ただし、漬け込み式は裏地などの吸水加工に影響する場合があります。すべてのレインウェアに使用できるわけではないため、製品の説明書を確認してください。
また、使用量や水の量を守ることも重要です。撥水剤を多く使えば性能が高まるとは限らず、過剰な使用は仕上がりや透湿性に影響する可能性があります。
肩やフードなど、一部分だけならスプレー式
スプレー式の撥水剤は、特定の部分だけを処理したいときに便利です。
例えば、ザックと擦れやすい肩や、雨に当たりやすいフードなど、限られた部分の撥水性を補いたい場合に向いています。
一方、ウェア全体にスプレーする場合は、均一に処理するために吹き付ける距離や量、重ね方に注意が必要です。
僕の経験では、スプレー式は処理にムラが出たり、漬け込み式よりも撥水性が早く低下したと感じたりすることがありました。ただし、持続性は製品や塗布方法、使用環境によって異なるため、すべてのスプレー式製品に当てはまるわけではありません。
スプレー式を使う場合は、製品の指定に従って均一に処理しましょう。噴霧を吸い込まないよう、屋外など十分に換気できる場所で使用し、注意書きを必ず確認してください。
一般衣類用ではなく、アウトドアウェア対応の製品を選ぶ
撥水剤を選ぶときは、単に「撥水」と書かれているかどうかだけで判断しないようにしましょう。
防水透湿素材を使ったレインウェアには、その用途に適した製品を選ぶ必要があります。衣類用でも、素材や加工方法によっては適さない場合があります。
僕は、登山用レインウェアには、アウトドアウェアのメンテナンスを想定した製品を使うことをおすすめします。
価格だけで選ぶのではなく、対象素材、使用方法、熱処理の要否などを確認してください。
レインウェアの撥水性を維持するための頻度と確認方法
撥水性のメンテナンスは、決まった年数だけを目安にするのではなく、使用状況とウェアの状態を見ながら行うことが大切です。個人的には二年おきにしていますが、レインウェアが劣化していたり長く使用している場合は、頻繁に確認しましょう。
2年に1回は撥水性を見直す
僕は、レインウェアの撥水性について、使用頻度にもよりますが2年に1回程度は見直したいと考えています。
ただし、これは一律の交換・加工周期ではありません。毎週のように雨天登山で使用するウェアと、年に数回しか使わないウェアでは、撥水性の低下する速度が異なります。
長時間のロングトレイルや、ザックを背負って何日も歩くような使い方をするなら、2年を待たずにメンテナンスが必要になることもあります。
反対に、洗濯と熱処理によって撥水性が十分に回復するなら、毎回撥水剤を追加する必要はありません。
水滴が転がり落ちるか確認する
撥水性を確認する簡単な方法は、生地の表面に水滴が当たったときの様子を見ることです。
水滴が丸くなって転がり落ちるなら、撥水性が保たれている可能性があります。一方、水が表面に広がって生地が濡れやすくなっている場合は、洗濯や熱処理を検討する目安になります。
ただし、この確認だけで防水性まで判断できるわけではありません。撥水性が低下していても、防水膜が正常に機能している場合はあります。
撥水性を回復させても、濡れが改善しない場合は?
洗濯や撥水処理を行ってもレインウェアの内側が濡れる場合は、撥水性以外の原因も考えましょう。
例えば、発汗量が透湿性を上回っていたり、衣服内で結露が発生していたりする可能性があります。また、防水膜の劣化や破損、縫い目のシームテープの剥がれなどが原因になっていることもあります。
撥水剤を追加しても改善しない場合は、むやみに加工を繰り返すのではなく、ウェアの状態を確認することが大切です。
撥水性の維持は、雨天登山での冷え対策にもつながる
レインウェアの撥水性を維持することは、快適性だけでなく、雨天時の体温管理を考えるうえでも重要です。
表地が水分を含むと、濡れた生地が肌の近くで冷たく感じられることがあります。特に、裏地が薄いレインウェアでは、表面の冷たさが気になりやすいと感じます。
僕自身、膝裏や手首付近が濡れてひんやりする感覚は、長時間歩くと気になります。短時間なら大きな問題に感じなくても、雨の中で何時間も行動すると、不快感が積み重なっていきます。
ただし、表地が濡れることだけで低体温症になるわけではありません。低体温症のリスクには、気温、風、雨への曝露時間、衣服の保温性、疲労など、複数の要因が関係します。
雨天登山では、撥水性を維持して表地が水を含みにくい状態を保つことに加え、適切なレイヤリングや保温着の準備、濡れた衣服への対処も重要です。
撥水性を復活させるメンテナンスは、雨具の性能を維持するための基本的な手入れの一つです。雨を弾きやすい状態を保ち、濡れや冷えによる不快感を減らしていきましょう。
まとめ:レインウェアの撥水性は定期的にメンテナンスしよう
登山用レインウェアの撥水性は、摩擦や汚れ、使用頻度などによって徐々に低下します。長時間の登山で快適に使い続けるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
撥水性を回復させる基本的な手順は、次のとおりです。
- 洗濯表示を確認し、レインウェアの汚れを落とす。
- 洗剤が残らないように十分にすすぐ。
- 製品が対応している方法で乾燥・熱処理を行う。
- 撥水性が回復しない場合は、対応する撥水剤を使用する。
- 漬け込み式やスプレー式を、処理したい範囲に応じて使い分ける。
僕は、使用頻度にもよりますが、2年に1回程度は撥水性を見直すことをおすすめします。ただし、撥水性が低下してきたと感じたら、年数にこだわらず早めに手入れを行いましょう。
また、撥水性が低下したからといって、防水性まで失われているとは限りません。撥水性を回復させても内側への浸水が続く場合は、防水膜や縫い目の状態も確認する必要があります。
大切なレインウェアを長く使い続けるためにも、洗濯・乾燥・撥水処理を適切に行い、雨を弾きやすい状態を維持しましょう。
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