登山用のザックを選ぶとき、「何Lのザックを選べばいいの?」と迷う人は多いと思います。
- 20Lで日帰り登山はできるのか。
- 30Lならテント泊にも使えるのか。
- 40Lや50Lはどこまで対応できるのか。
- 60Lになると大きすぎるのか。
僕は6,000km以上歩いてきた経験から、ザックの容量は泊数や登山時間だけで決めるものではないと考えています。実際、僕は日帰り登山でも30Lのザックを使っています。行動時間が12時間程度になっても、この容量で足りています。
一方で、数時間程度の短い登山では30Lでは容量が余ってしまうこともあります。さらに、UL(ウルトラライト)を突き詰めれば30L程度のザックで数日間のロングトレイルを歩く人もいます。
反対に、60Lあっても10日分の食料と大量の水を持てば、外付けが必要になることがあります。つまり、「何Lなら何泊できる」という単純な話ではありません。
この記事では、10Lから70Lまでのザックを容量ごとに分けて、どんな登山やハイキングに向いているのか、僕自身の経験を交えながら解説します。
- 登山ザックの容量は何Lが必要?
- ザックの容量は「何泊するか」だけでは決まらない
- 登山ザックは大きければいいわけではない
- まとめ
登山ザックの容量は何Lが必要?

まず、容量ごとの大まかな目安をまとめます。これは僕の経験と感覚によるところも多少あるので、あくまで目安となります。
| ザック容量 | 主な用途の目安 |
|---|---|
| 10L前後 | アタックザック・散策 |
| 20L前後 | 軽装の日帰り・日常生活 |
| 30L前後 | 日帰り登山・汎用的なハイキング |
| 40L前後 | 小屋泊縦走・軽量ロングトレイル |
| 50L前後 | テント泊・ロングトレイル・縦走 |
| 60L前後 | 長期縦走・大量の水や食料 |
| 70L前後 | 大量の装備を持つ登山 |
| 80L以上 | 複数人分の装備・特殊な用途 |
同じ5日間の縦走でも、軽量な装備を揃えている人と、大型のテントや冬用の寝袋を使っている人では必要な容量がまったく違います。
ザックの容量を決めるときは、「登山スタイル → 装備 → 水 → 食料 → 季節 → 補給環境」という順番で考えると分かりやすいでしょう。
特にロングトレイルでは、次に水や食料を補給できる場所がどこにあるのかによって、必要な容量が大きく変わります。
ザックの容量は「何泊するか」だけでは決まらない

「日帰りだから20L」「テント泊だから60L」という選び方をすると、自分に合わないザックを選んでしまう可能性があります。日帰り登山でも人によって所有物は異なります。
- 防寒着を多く持つ
- 水を大量に持つ
- カメラを持っていく
- 食料を多く持つ
- 冬用の装備を持つ
この条件があれば、20Lでは足りないかもしれません。逆に、装備を徹底的に軽量化すれば、テント泊でも40L程度に収められる場合があります。僕自身も、長距離を歩く中で「必要なものを減らす」ことでザックの容量を小さくしてきました。
ただし、ザックを小さくすること自体が目的になってしまうと、本来必要なものまで削ることになります。ザックは、自分が必要とする荷物が入る容量を選ぶことが基本です。
10L・20Lの登山ザック|アタックザックや日常使いに便利
10〜20L程度のザックは、登山用として見ると比較的小さな容量です。このくらいになると、僕は「荷物を背負って長時間歩くためのザック」というより、アタックザックや軽装ハイキング用のザックとして考えます。
アタックザックというのは、実際に背負って山を登り続けるのではなくベースキャンプから山頂にアタックするときに使用する小型ザックです。
10L前後はアタックザックとして使いやすい
山小屋などに大きな荷物を置き、必要なものだけを持って山頂へ向かう。そんな使い方では10L程度のアタックザックが便利です。水、行動食、防寒着、雨具など、最低限の荷物を持つには十分な容量があります。
また、山だけでなく、ちょっとした散歩に近いハイキングでも使いやすいサイズです。
20L前後なら軽装の日帰り登山もできる
20L程度になると、装備を絞った日帰り登山にも使えます。僕自身も、超軽量なパッキングをするときには20L程度のザックで日帰り登山に行くことがあります。ここで困るのが水の量です。水を大量に持つ必要があるルートでは、20L程度では他の装備を入れるスペースが少なくなります。
軽量装備なら20Lでも日帰りできるが、どんな日帰り登山にも20Lで十分というわけではない
20L前後は日常生活でも使いやすい
10〜20L程度のザックには、もう一つメリットがあります。日常生活でも使いやすいことです。僕は20L程度のザックを通勤に使っていた時期があります。
この容量のザックには、背面パッドやフレームが入っていない製品も多く、登山用の大型ザックと比べると日常生活に馴染みやすい。通学や通勤、買い物、散歩などにも使いやすいサイズです。登山専用として考えず、普段使いまで含めて選ぶなら、10〜20Lは非常に汎用性があります。
30Lの登山ザック|日帰り登山ならかなり使いやすい万能サイズ
僕が日帰り登山で使っているのが30Lのザックです。そして、僕にとって30Lは日帰り登山用というより、かなり汎用性の高い容量です。最近はこの30Lのザックを使用して日常的に登山を行い、ロングに出かける時のみ大型ザックを使用しています。
30Lなら12時間の行動でも足りる
僕は日帰り登山で30Lのザックを使っています。行動時間が12時間程度になる登山でも、この容量で足りています。もちろん、どんな装備を持つのか、水を何L持つのかによって変わります。
それでも僕の経験では、日帰り登山をするうえで30Lはかなり余裕のある容量です。一方で、数時間程度の短い登山では、30Lだと容量が余ってしまうこともあります。この「余裕」が30Lのメリットでもあります。
30Lなら装備を増やしても対応できる
荷物が少ないとき、僕はあえてテントや寝袋を入れることもあります。これは宿泊するためではありません。ザックの重量をある程度増やして、背負ったときの安定感を出すためです。
もちろん、誰にでも必要な方法ではありません。ただ、30L程度の容量があると、必要に応じて荷物を増減させやすい。これが僕が30Lを使いやすいと感じている理由の一つです。
30Lは「割とどこでも行ける」のが強み
30Lの最大のメリットは、極端に軽装でもなく、大型ザックでもないことです。日帰り登山から長時間の行動まで対応でき、装備を工夫すれば泊まりのハイキングにも使えます。
「日帰り登山用」というより、割とどこでも使える万能サイズ
僕にとって30Lザックというのは、このような印象を持っているザックです。
30Lで数日間のロングトレイルを歩く人もいる
30L程度のザックで、5日間ほどのロングトレイルや縦走をするULハイカーもいます。装備を徹底的に軽量化し、食料を含めても10kg以内に収めているような人もいます。僕自身は、30Lのザックで数日間のロングトレイルを歩くことを積極的にはおすすめしません。
しかし、食料まで含めて10kg以内に荷物をまとめ、数日間歩けるのであれば、それは純粋にすごいことだと思います。30Lでもロングトレイルが不可能というわけではありません。ただし、それを実現するにはザックだけではなく、中に入れる装備そのものをかなり厳選する必要があります。
40Lの登山ザック|小屋泊縦走とロングトレイルの入口
40Lになると、日帰りだけでなく宿泊を前提にした使い方がしやすくなります。僕は40Lを、小屋泊縦走の入り口になる容量だと考えています。小屋泊登山では、持ち物の中に寝袋やテントが不要になります。必要物は随分と減る為、この40Lでも必要十分になります。
小屋泊なら40Lでも余裕が出る
小屋泊ではテントを持つ必要がありません。これだけで必要な容量は大きく変わります。テントを持たず、防寒着や寝具など必要なものをコンパクトにまとめれば、40L程度でも数日間の縦走が可能になります。
40Lで余裕をもって縦走をするには、ある程度の道具を選定する必要があります。不要なものを大量に持つことや、数人分の食料や水を運搬するのは難しい場合もあります。
UL化すれば40Lでも数日分の食料を持てる
40Lは、装備を軽量化していればロングトレイルにも使える容量です。数日分の食料を背負うこともできます。ただし、40Lに収めようとすると、ザックだけを小さくするわけにはいきません。
テントを使うなら小型・軽量なもの。寝袋もコンパクトなもの。マットやクッカーなども、収納サイズの小さいもの。このように、ザックの容量に合わせて装備全体が変わっていきます。
40Lを使いこなすには、ある程度ULの考え方を取り入れる必要があるでしょう。
40Lはロングトレイルの最低限として考えられる
僕は40Lを、ロングトレイルで使える最低限の容量の一つだと考えています。もちろん、必要な装備や補給間隔によって変わります。それでも40Lあれば、小屋泊を利用した長期の登山やハイキングにも対応しやすくなります。
特にテントを持たずに歩ける環境なら、かなり自由度が高くなります。
50Lの登山ザック|ロングトレイルを十分楽しめる容量
50Lになると、僕はかなり安心してロングトレイルを楽しめる容量だと考えています。道具を洗練し、必要なものをしっかりと軽量化しておけば、様々なトレイルで満足の行く旅が切るのではないでしょうか。僕は50Lが必要最低限のラインではないかと、そう考えています。
一人用テントと寝袋を入れても対応しやすい
- 一人用テント
- 一人用のダウン寝袋
- 一人用マット
- 小型のクッカー
- 食料
- 水
- 防寒着
- 雨具
といった基本的な装備を持って歩く場合でも、50Lあれば収納しやすくなります。もちろん、それぞれの装備の大きさによって変わります。それでも、30Lや40Lと比べると、装備を無理に削らなくてもよくなるのが50Lの魅力です。
50Lでロングトレイルやアルプスを歩く人も多い
50L程度のザックでロングトレイルやアルプス縦走をしている人は珍しくありません。僕自身も、テント泊を含む長期間のハイキングを考えるなら、50Lはかなり使いやすい容量だと思います。
また、ザックの外側に装備を取り付ける「外付け」を使えば、実質的な収納力をさらに増やすこともできます。UL系のザックを使っている人でも、外付けを活用することで、ザック本体の容量以上の荷物を持っているように見えることがあります。
そのため、ザックを選ぶときは、単純に「50Lだから50L分しか入らない」と考えない方がいいでしょう。
60Lの登山ザック|大量の水や食料を持つなら強い
60Lになると、かなり多くの装備を収納できます。僕自身、PCTを歩いたときには60Lのザックを使用していました。他のハイカーと比べると、一回り程大きなザックになりますが、容量が多くて使い勝手は良かったです。
PCTでは60Lにほぼすべての荷物を入れていた
PCTでは、60Lのザックに必要なものをほぼすべて入れて歩いていました。さらに蓋を取り付けることで、容量を約10L追加していました。蓋には、エマージェンシー用品など、歩いている途中でも取り出しやすくしておきたいものを入れていました。
60Lあると、食料や水だけでなく、その他の装備についてもかなり余裕を持って収納できます。
10日分の食料を積むと60Lでも足りなくなる
ただし、60Lだから何でも入るわけではありません。僕が不要なものまで持っていた状態で、10日分の食料を積んだときには、水を外付けする必要がありました。さらに僕はロールマットを使っていたため、マットも常にザックの外側に取り付けていました。
つまり、60Lという容量があっても、持つ荷物が増えれば外付けが必要になる。これはロングトレイルを歩いて実際に感じたことです。完全に安心安全という容量はなさそうですね。
60Lは「余裕を持って持てる」のがメリット
60Lの魅力は、単純に容量が大きいことではありません。水や食料を大量に持つ必要があるときでも、装備を無理に小さくせずに済むことです。補給間隔が長いロングトレイルや、装備の自由度を残したい人には、大きなメリットになります。
実際に僕が長距離で使用したモンベルのアルパインパック60については、こちらの記事で詳しくレビューしています。

70Lの登山ザック|大きすぎて扱いに困ることもある
70Lになると、かなり大型のザックです。僕自身の感想を正直に言えば、「70Lは大きすぎて扱いに困ることがあります」もちろん、必要な人には必要です。
しかし、数日間の一般的な縦走だけを考えるなら、誰にでも必要な容量とは思いません。
北アルプス5日間の縦走でも容量が余った
僕は以前、表銀座から裏銀座まで5日間かけて北アルプスを縦走しました。
- 5日分の食料
- 6L以上の水
を持っていました。それでも、70Lのザックには少し余裕がありました。この経験からも、70Lはかなり大きな容量だと感じています。
大容量ザックは重心が安定しにくくなることがある
ザックの容量が大きいこと自体が悪いわけではありません。ただ、荷物が少ない状態で大きなザックを使うと、内部に余ったスペースが生まれます。荷物をうまくまとめられなければ、重心が安定しにくくなることがあります。
特に数日間の縦走では、荷物が動かないようにパッキングすることが重要になります。
70Lが向いている人
70Lが活躍するのは、
- 着替えを多く持つ
- ロープなどの大型装備を持つ
- 大型のテントを使う
- 水や食料を大量に持つ
- 複数人分の荷物を持つ
といったケースでしょう。
僕のように比較的安価なギアや中華製ギアを組み合わせて装備していても、5日間の北アルプス縦走で70Lが余ったことを考えると、一般的なハイカーにとって70Lが必要になる場面はそれほど多くないのではないかと思います。
もちろん、これはあくまで僕自身の装備と経験からの感想です。
80L以上の登山ザックはどんな人に必要?
80Lを超えるようなザックになると、一般的な日帰りや数日間の縦走ではかなり大きな容量です。
必要になるのは、
- 複数人分の食料を持つ
- 複数人分の装備を持つ
- 大型テントを運ぶ
- ロープなどの大型装備を運ぶ
- 補給地点が非常に少ないルートを歩く
など、かなり限定された状況になるでしょう。それ以上の容量になると、単純に「たくさん入るから便利」というより、大きな荷物を持って歩くための体力やパッキング技術も必要になってくると思います。
登山ザックは大きければいいわけではない

ここまで読んでもらうと分かるように、ザックは大きければ大きいほど便利になるわけではありません。大きなザックには、次のようなメリットが存在します。
- 水や食料を多く持てる
- 装備の選択肢が増える
- 荷物を詰め込みやすい
一方で、次のようなデメリットがあることは否定できません。
- ザック自体が重くなる
- 荷物が増えやすい
- 中身が動きやすくなる
- パッキングが難しくなる
逆に小さなザックなら、持っていくものを厳選しやすくなります。ただし、小さすぎれば水や防寒着など、本当に必要なものまで削ることになりかねません。だから僕は、
自分が必要とする荷物が入る中で、できるだけ小さい容量を選ぶ
くらいがちょうどいいと考えています。「小さいザックを使うこと」が目的ではありません。自分に必要な装備を持ったうえで、無理なく収納できる容量を選ぶことが大切です。
容量別に見る登山ザックの使い分け
最後に、僕自身の経験を基準にまとめます。
| 容量 | 主な用途 | 僕の考え |
|---|---|---|
| 10L前後 | アタック・散策 | 最低限の荷物を持つ用途 |
| 20L前後 | 軽装・日常・軽量日帰り | 軽量化すれば日帰りにも使える |
| 30L前後 | 日帰り・汎用ハイキング | 12時間の行動にも対応できる万能サイズ |
| 40L前後 | 小屋泊・軽量ロングトレイル | ロングトレイルの最低限として考えられる |
| 50L前後 | テント泊・縦走・ロングトレイル | 長期間のハイキングを十分楽しみやすい |
| 60L前後 | 長期縦走・大量の水や食料 | PCTでも使用した余裕のあるサイズ |
| 70L前後 | 大量の装備・大型装備 | 一般的な縦走では大きすぎることもある |
| 80L以上 | 複数人分・特殊な装備 | 必要になる場面はかなり限定される |
もちろん、この表がすべての人に当てはまるわけではありません。同じ容量でも、中に入れる装備によって使い勝手は大きく変わります。
結局、登山ザックは何Lを選べばいい?
迷ったときは、まず自分の登山スタイルから考えてみてください。
- 軽装の日帰りが中心なら20L前後。
- 日帰り登山を幅広く楽しみたいなら30L前後。
- 小屋泊縦走や軽量なロングトレイルなら40L前後。
- テント泊やロングトレイルまで幅広く対応したいなら50L前後。
- 大量の水や食料を持つなら60L前後。
70L以上は、大量の装備を持つ必要がある人向けと考えてよいでしょう。ただし、これは「この容量を買えば間違いない」という話ではありません。同じ30Lでも、装備を軽量化すれば数日間の旅に使えます。
逆に60Lでも、10日分の食料と大量の水を持てば外付けが必要になることがあります。
「何泊するから何L」ではなく、「自分は何を持って歩くのか」から容量を決める。
これが僕が6,000km以上歩いてきて、ザックの容量を選ぶときに大切だと思っていることです。
容量が決まったら、次は背負いやすさを考える
ザック選びは、容量を決めたら終わりではありません。同じ30L、50L、60Lでも、背面長やフィッティング、荷重の分散方法、ザックそのものの重量によって背負ったときの感覚は変わります。
特に容量が大きくなるほど、荷物の重量も増えやすくなります。そのため次にザックを選ぶなら、「何Lか」だけではなく、「自分の身体に合うか」まで考えることが大切です。
僕が6,000km以上歩いてきた経験をもとに、容量・背面長・重量などを含めたザックの選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。


まとめ
登山ザックの容量は、泊数だけではなく、装備・水・食料・季節などを考えて選ぶことが大切です。
10〜20Lは軽装やアタックザック、30Lは日帰りから幅広く使える汎用性の高い容量です。
40Lなら小屋泊や軽量なロングトレイル、50Lならテント泊や長期間の縦走にも対応しやすくなります。
60Lになると大量の水や食料を持ち運びやすくなり、長期のロングトレイルでも余裕が生まれます。
一方、70L以上は大型装備や大量の荷物を持つ場合を除き、容量を持て余すこともあります。
自分に必要な荷物が無理なく収まる容量を選び、そのうえで背面長や背負いやすさまで確認してみてください。
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