ロングトレイルを歩くことになったとき、意外と悩むのが靴です。僕はこれまでの経験から、今では靴を選ぶときの順番がかなりはっきりしています。僕の場合、最初に見るのは「この靴が人気か」でも「一番軽いか」でもありません。
サイズを判断したら、基本的には非防水かを確認します。
そこまで決まったら、歩くトレイルの状況を考えながら、ソールの硬さやグリップ、クッション性、価格などを決めていきます。
この記事では、海外の長距離ハイカーの考え方やAppalachian Trail(AT)のスルーハイカー調査なども参考にしながら、僕がロングトレイルの靴をどう選んでいるのかを紹介します。
ロングトレイルの靴選びで「一番いい靴」はない

最初に、この話をしておきたいと思います。ロングトレイル用の靴を探していると、検索意図を拾う意味もあってか次のような言葉が乱立します。
- 「この靴がロングトレイルには最適」
- 「長距離ならこのメーカー」
- 「トレランシューズが正解」
しかし、海外のハイキング事情を見ても、実際にはそんな単純な話ではありません。The Hiking Lifeでは、ハイキングシューズを選ぶ際には、足の形、過去の怪我、荷物や体重、歩く環境などを考慮する必要があり、「すべての人に適した一足」はないとしています。
REIも、ハイキングシューズには客観的な「最高」や「最低」があるわけではなく、地形、フィット、グリップ、柔軟性、重量、防水性など、自分の条件に合わせることが重要だと説明しています。
これはロングトレイルでも同じです。
まず「サイズ」から選ぶ
僕が靴を選ぶとき、最初に見るのはサイズです。当たり前のように思うかもしれませんが、長距離を歩くと足がむくむし、ブランドやメーカーによってかなり差があります。
どれだけ評判のいい靴でも、自分の足に合わなければ使い続けることができません。使ってみると、期待したほどの性能が無い事や、思ったよりも豆ができるなんてことはよくあります。
REIも、トレイルランニングシューズを選ぶ際に最も重要なのはフィットだとしています。足の長さだけでなく、幅、足のボリューム、かかとの形なども関係するため、ブランドによって合う・合わないが変わります。
さらに、長時間歩くと足はむくみます。そのため、普段履いている靴と同じ感覚でサイズを決めると、ロングトレイルでは窮屈に感じる可能性があります。
むくむ足の対策
REIも、足は一日の中でむくむため、試着は足が大きくなっている夕方に行うことを勧めています。また、つま先にはある程度の余裕を持たせることも推奨しています。
僕も、ロングトレイルの靴選びではここを最初に考えます。「この靴が優れているか」ではなく、「自分の足に合うか」まずここです。
靴を選ぶ際には、縦の長さだけに意識が取られますが、しっかりと横幅や踏んだ時の感触、踵や足首周りの圧迫感まで意識しておきましょう。
ロングトレイルでは「入る靴」の中から選ぶ
僕の場合、靴選びはある意味で消去法です。まず、自分の足に入る靴だけを候補にします。
- 防水か非防水か
- ソールの硬さ
- グリップ
- クッション性
- 重量
- 耐久性
- 価格
などを比較します。足に合う靴を残して、その中から必要な性能を選びます。これは特に長距離では大切だと思っています。必要なものを見る為ですね。
100km程度なら「少し気になるけど大丈夫」で済むことがあるかもしれません。でも、1,000km、2,000km、4,000kmと歩いていくなら、毎日の小さな違和感が積み重なります。ロングトレイルでは、靴を履いている時間そのものが長いからです。
サイズが合わないなら買わない
稀に「サイズが不安だけど」という方がいますが、十中八九後悔することになります。山の中で公開するのなら最悪です。歩けなくなるし、次に山に行くのも億劫です。サイズに関してはシビアに考えて、分からなければ、店員に確認を取る事をした方がいいでしょう。
必要であれば、店内にある歩行エリアや、傾斜のついた場所を歩いてみて感覚を試しておくべきですね。
「防水か非防水か」を決める
僕の場合、サイズの次に大きな判断材料になるのが、防水か、非防水かというラインです。意外と、ゴアテックスを利用しても、足が蒸れる事はあります。ロングトレイルでは様々な環境を歩くことになる為、あまり防水シューズを履くことはありません。
そして基本的には、非防水を選びます。理由は単純です。濡れたときに乾かしやすいからです。濡れた後に乾かない靴で歩いていると、直ぐにケガをしてしまいます。
濡れない靴より、乾きやすい靴
ロングトレイルを歩いていると、完全に濡れないというのは難しいものです。
- 雨
- 雷雨
- 川
- 朝露
- 汗
- 水たまり
- 渡渉
どこかで靴が濡れる可能性があります。そこで僕が重視するのが、「濡れないか」ではなく、「濡れたあとどうなるか」です。非防水のメッシュ系シューズなら、水が入ること自体は防げません。でも、水が抜けやすく、乾燥もしやすい。
一方、防水シューズは雨や水の侵入を抑えられる反面、内部まで濡れてしまった場合には乾燥に時間がかかることがあります。
実際、ATの長距離ハイカーを対象にした過去の調査でも、トレランシューズを選ぶ理由として「軽い」「暑い時期に涼しい」「GORE-TEXなどの防水ブーツより乾きやすい」「長距離歩行で足がむくんだときにも対応しやすい」といった理由が挙げられていました。
ただし、非防水が常に正解というわけではありません。
土地勘に合わせた靴を履く
寒冷地では話が変わります。濡れた足を乾かせないほど気温が低い環境では、防水性や保温性の重要度が上がります。
The Hiking Lifeでも、一般的な3シーズンの長距離歩行ではトレランシューズを選びつつ、非常に寒い環境や極端に険しい場所では別の選択をしています。
つまり僕の「非防水」は、ロングトレイル全般に対する絶対的な答えではなく、自分が歩く環境を前提にした選択です。
詳しくは下記の記事で紹介しています。

「トレイルの状況」を見る
ここが、僕の靴選びで一番重要な部分かもしれません。靴を選ぶとき、「トレランシューズだから」「登山靴だから」と種類だけで決めるのではなく、実際にどんな道を歩くのかを考えます。
REIも、ハイキングシューズを選ぶ際には地形が大きな判断材料になるとしており、舗装路などの軽い地形なら軽量なシューズ、岩や根、水場などが増える中程度の地形ではよりクッション性・耐久性・安定性のある靴、さらに険しい地形ではより構造的で頑丈な靴が適するとしています。
僕も基本的には同じ考え方です。特に岩場でクッション性の悪い靴を履いていると、刺さっていたくて仕方がないです。
岩場が多いなら、保護性能を見る
岩が多いトレイルでは、足裏に伝わる衝撃や、岩に足をぶつける可能性が増えます。
- ソールの硬さ
- ミッドソールの厚さ
- ロックプレート
- トゥガード
- アッパーの強度
- アウトソールのグリップ
などを確認します。基本的には、インソールを調整することが多いですね。トレイルランニングシューズでも、岩場や荒れたトレイルを想定したモデルには、ロックプレートや保護用の構造、より頑丈なアッパーなどを備えたものがあります。
だから、「トレランシューズ=岩場に弱い」と考える必要もありません。同じトレランシューズでも、想定しているフィールドによって作りがかなり違います。
泥が多いなら「ソール」を見る
僕がトレイルの状況を確認するとき、泥が多い場所ではアウトソールをかなり気にします。泥や柔らかい地面では、深くて間隔の広いラグを持つアウトソールが有利になります。また、自分が履いている靴のソールが減っていれば、交換を検討します。
湿った土、柔らかい地面、泥では深く間隔の広いラグが適しており、泥がラグの間に詰まりにくいです。逆に舗装路や硬い地面を長く歩くなら、深いラグが必ずしも快適とは限りません。
ここでも、「グリップが強ければ強いほどいい」ではありません。歩く場所との相性があります。ここは僕が実際に歩いてきて、かなり重要だと感じているところです。
ロングトレイルというと、「山道をずっと歩いている」ように思うかもしれません。でも、実際には舗装路を歩くこともあります。
ロングトレイルの靴は「山だけ」で評価できません。
僕がトレランシューズを好む理由の一つもここです。山道だけで最も強い靴ではなく、山から町まで、そのまま一日歩ける靴を選びたい。これは僕の靴選びにおけるかなり大きな基準です。
長距離なら「途中で買えるか」も重要
もう一つ、普通の登山とは違うのが、靴を途中で交換できるかです。長距離を歩けば、どんな靴でも消耗します。特にトレランシューズは、登山靴より短いサイクルで交換することがあります。
The Trekの2025年ATスルーハイカー調査では、最も多かったのが約4足の靴を使い、1足あたりおよそ520マイル(830km)という結果が出ています。歩く人、地面、荷物、靴のモデルなどによって大きく変わります。
ATのように町やアウトフィッターを通過するロングトレイルなら、途中で靴を入手しやすい。一方で、何百kmも補給地点がないようなルートなら、耐久性を重視する意味が大きくなります。
海外の長距離ハイカーは、実際に何を履いているのか

現在の海外のロングトレイルでは、トレランシューズがかなり一般的です。The Trekが毎年実施しているATスルーハイカー調査では、2025年、回答者279人のうち77%がトレランシューズで歩き始め、87%が行程の大部分でトレランシューズを使用していました。
一方、登山靴でスタートした人は12%で、行程の大部分で登山靴を使い続けた人は5%でした。2024年の調査でも、トレランシューズを行程の大部分で使用した人は86%でした。
ATというのは、結構雨が多くジメジメしたトレイルであると聞いています。そのような環境では、やはりトレイルランニングシューズが人気、という事実として見るのがいいと思います。
すべてのロングトレイルに、そのまま当てはめる数字ではありません。実際、僕は国内のモノであれば路上歩きが少なければ、登山靴で向かいます。
僕が実際に選ぶなら
僕の場合、ロングトレイル用の靴を探すときは、まず候補を絞ります。僕の足のサイズは、28.5~30cmです。これが難しく、むくんでくると30cmでいいのですが平時は29cm程度で十分で、ブランドによってはオーバーサイズです。日本だと意外と数がありません。
シッカリと履けるが、むくんでもある程度ストレスなく履ける。これが絶対条件になってきます。
その中で、非防水であることを、基本として選定していきます。ただ、土地によっては防水性があっても構わない場合があります。ここら辺は事前調査が必要です。
そして、トレイルの条件に必要なソールやクッション性、耐久性を考えます。最後に、「この条件なら、この価格を払ってもいい」というところで決めて購入をします。
だから、僕は「人気の靴」をそのまま買わない
トレランシューズ業界では、AltraやHOKA、Topo Athleticなどのトレイルランニングシューズが人気です。2025年のAT調査では、Altraが再びブランド別でトップになり、Lone Peakがモデルとして最も多く使われたと報告されています。HOKAではSpeedgoatが大きなシェアを占めました。
でも、ATで人気だから、自分にも合うとは限りません。実際、2025年のAT調査で、途中で靴を変更した理由として多かったのは、フィットの問題、靴擦れ、足のむくみなどでした。
人気モデルでも足に合わなければ意味がない。これはかなり大事なことだと思います。
まとめ
ロングトレイルでは、様々な靴を使用しているハイカーを目撃します。PCTの時に出会った人の中には、最初から最後まで登山靴の人もいました。もちろん、トレランシューズに変更する人もいます。その後、カナダを少しだけ歩きましたが、カナダでも同じような感じです。
近年、日本でもトレランシューズで登山をしたり縦走する方が増えてきています。自分の目的と用法に合っていればよいと思います。自分に合った一足に出会ってください。
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