トレッキングポールのアンチショックは必要?6000km歩いた僕がメリット・デメリットを解説

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トレッキングポールを選んでいると、「アンチショック」という機能があります。ポールの内部にバネなどを組み込み、地面を突いたときの衝撃を吸収する機構です。

「衝撃を吸収してくれるなら、付いているほうが良いのでは?」

そう思うかもしれません。しかし、結論から言うと、アンチショックは必須の機能ではありません。僕自身は6000km以上歩いてきた経験から、なくてもいいと考えています。

この記事では、アンチショックの仕組みやメリット・デメリットを紹介しながら、実際に長距離を歩いてきた僕がなぜ「なくてもいい」と考えるようになったのかを説明します。

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実際に使用したポール。

トレッキングポールのアンチショックとは?

アンチショックとは、トレッキングポールに搭載された衝撃吸収機構です。一般的にはポールの内部にバネなどが入っており、ポールを地面に強く突いたときに、そのバネが縮むことで衝撃を吸収します。

イメージとしては、硬い一本の棒ではなく、力が加わったときに内部が少し縮むポールです。

例えば、硬い地面にポールを突いたとします。アンチショックがないポールなら、地面に突いた力がそのまま手に伝わります。

一方、アンチショック機構があるポールでは、力が加わったときに内部のバネが圧縮されます。

そのため、ポールを突いたときの衝撃が柔らかく感じられます。

ここで重要なのが、衝撃を吸収するために「ポールが少し縮む」ということです。普段の歩行では、この動きがメリットになる場合があります。

しかし、僕のようにトレッキングポールへ体重を預ける使い方をすると、話が変わってきます。

アンチショックのメリット

まず、アンチショックが悪い機能というわけではありません。実際に、衝撃を吸収するという目的にはメリットがあります。

  • ポールで着いた時の衝撃が緩和される
  • 長時間使用するとき、手首が楽
  • ポールの寿命が延びる

このようなメリットがありました。

ポールを突いたときの衝撃が柔らかくなる

硬い岩場や舗装路などでポールを突くと、手に「コツン」とした衝撃が伝わります。アンチショックは、この衝撃を内部のバネなどで吸収します。

そのため、ポールを突いたときの感触が柔らかくなります。ポールを突くときの硬い感触が苦手な人にとっては、メリットになるでしょう。反発が強いという事は、その分衝撃も大きいです。

長時間での疲労が少ない

登山では、トレッキングポールを一度だけ突いて終わりということはありません。何時間も歩けば、何千回、何万回とポールを地面に突くことになります。

そのため、一回ごとの小さな衝撃でも、人によっては気になることがあります。アンチショックがあることで、この「突いたときの硬さ」を柔らかく感じられ、蓄積疲労感が少ないです。

ポールそのものへの衝撃を抑えられる

アンチショックは、使用者に伝わる衝撃だけではなく、ポールそのものに加わる衝撃も吸収します。僕が6000km以上使ったDABADAのトレッキングポールにもアンチショック機構が付いていました。

長期間使用できた理由をアンチショックだけに求めることはできません。それでも、ポールに加わる衝撃を和らげることは、耐久性という面ではメリットになっていた可能性があると僕は考えています。

アンチショックのデメリット

僕がアンチショックについて気になったのは、衝撃を吸収することそのものではありません。問題だと感じたのは、体重をかけたときにもポールが沈み込むことです。これは、個人的にかなり重要なデメリットであるのではないかと、そう思っています。

沈み込みが発生する影響で、実際に転倒しかかった事や支えを失ったこと、更には川に落ちたこともありあます。杖の寿命は伸びるのですが、自分の寿命が縮んだように錯覚しました。

「沈み込む」とはどういうこと?

ここはアンチショックを理解するうえで重要な部分です。アンチショック機構では、ポールに強い力が加わると、内部のバネなどが圧縮されます。

そのため、ポールの先端を地面に固定した状態でグリップに体重をかけると、内部の機構が縮むことで、グリップ側が数cmほど下がるような動きが起こります。

地面 → ポールの先端 → 内部のバネ → グリップ

という一本の硬い支柱ではなく、

地面 → ポールの先端 → バネが縮む → グリップが下がる

という状態になります。

ポールの沈み込みは結構気になる

通常の歩行では、この動きが気にならないこともあります。しかし、ポールを「身体を支えるための杖」として使う場合には、この数cmの動きが問題になります。

例えば、足場が悪くてバランスを崩したとき。僕は反射的にポールへ体重をかけることがあります。このとき、ポールが硬ければ、突いた場所を支点にして身体を支えられます。

ところがアンチショックが作動すると、「ここに体重を預ければ支えられる」と思った瞬間に、ポールが縮むことがあります。僕が嫌だったのは、この感覚です。

PCTの渡渉で実際に川に落ちた

この違いを強く感じたのが、PCTで川を渡っていたときです。PCTでは何度も渡渉をしました。

ある日、流れの速い川を渡っている途中で足を滑らせました。身体のバランスが崩れたため、僕はとっさにトレッキングポールを川底へ突き刺しました。

「これで支えられる」

そう思って、ポールに体重を預けます。ところが、その瞬間にアンチショックが作動しました。ポールの先端は川底に刺さっています。しかし、ポールそのものが折れたわけではないのに、内部のバネが縮むことでグリップ側が沈み込みました。

僕が期待していたのは、「その場所を支点として身体を止めてくれること」です。ところが実際には、体重をかけた瞬間に支点の高さが変わってしまいました。

その結果、身体を支えきれず、そのまま顔から川へ飛び込むことになりました。幸い大きな怪我はありませんでした。しかし、この経験から僕は、アンチショックについて考え方が変わりました。

衝撃を吸収してくれることは、通常の歩行ではメリットです。でも、「ここで身体を支えてほしい」という瞬間には、その沈み込みがデメリットになることがあります。

これが、僕がアンチショックを不要だと考える最大の理由です。ポールが折れては元も子もありませんが。

アンチショックは「悪い機能」ではない

ここまで読むと、「アンチショックは危険な機能なのでは?」と思うかもしれません。

僕はそうは考えていません。あくまで、僕のトレッキングポールの使い方には合わなかったということです。

僕はトレッキングポールを、歩行時の衝撃を和らげるためだけに使っているわけではありません。足場の悪い場所では、身体を支えるためにも使います。

そのため、ポールには「柔らかく衝撃を吸収すること」よりも、力を加えたときにしっかり支えてくれることを求めています。逆に、ポールを身体の支えとして強く使わず、地面を突いたときの衝撃を柔らかくしたいのであれば、アンチショックがメリットになるでしょう。

アンチショックあり・なしはどちらがいい?

僕の経験から整理すると、次のようになります。

アンチショックありアンチショックなし
突いたときの感触やや柔らかいダイレクト
衝撃吸収するダイレクト
体重を預けたとき沈み込む沈み込まない
身体を支える一定荷重までは可能折れる・曲がるまで可能
ポールへの衝撃抑えられるダイレクト
僕の評価安くて便利だが不満アリ高くしっかりとした作り

安価モデルではどうしても難しいですが、やはりアンチショックがないモデルが好みです。ただ、何回も破損する可能性があるロングトレイルでは、安価の方が購入しやすい所ではあります。

アンチショックがおすすめなのはどんな人?

僕はアンチショックなしを好みますが、すべての人に必要ないと言っているわけではありません。アンチショックの柔らかい感触が好みに合う人なら、選択肢になります。

例えば、ポールを突いたときの硬い衝撃が苦手な人です。硬い地面を長時間歩く場合など、ポールを突くたびに手へ衝撃が伝わります。この感触を少しでも柔らかくしたいのであれば、アンチショックを選ぶ理由があります。

一方、僕のように、

  • ポールに体重を預けることが多い
  • 足場の悪い場所で身体を支えたい
  • ポールを突いたときの沈み込みが苦手
  • 長距離歩行では道具をシンプルにしたい

という人なら、アンチショックなしを検討してもいいでしょう。

6000km以上歩いた僕はアンチショックを進めない

僕はこれまでPCTや四国遍路、国内の登山などで、合計6000km以上歩いてきました。その中でトレッキングポールを長期間使ってきた結果、僕が重視するようになったのは、ポールを突いたときの安定感です。

アンチショックには衝撃を吸収するメリットがあります。一方で、僕にとっては「身体を支えたい瞬間に沈み込む」というデメリットのほうが大きく感じられました。

だから僕は、トレッキングポールを選ぶときにアンチショックを必須だとは考えていません。むしろ、長距離を歩くならアンチショックなしのシンプルなポールを選びたいと思っています。

ただ、僕が6000km以上使ったDABADAのポールにはアンチショックが付いていました。そして、結果的には長期間使うことができました。そのため、アンチショックが付いていることを理由に、そのポールを悪い製品だとも考えていません。

機能にはメリットとデメリットがあり、そのどちらを重視するかは人によって違う。これが、長距離を歩いてきた僕のアンチショックに対する結論です。

まとめ

トレッキングポールのアンチショックは、内部のバネなどを使って、ポールを突いたときの衝撃を吸収する機能です。ポールを突いたときの感触が柔らかくなる一方で、強い力をかけたときには内部の機構が縮み、ポールが沈み込むことがあります。

僕はPCTでの渡渉中に、身体を支えようとしてポールへ体重を預けた際、この沈み込みによって身体を支えられなかった経験があります。そのため、6000km以上歩いてきた僕は、アンチショックは必須ではなく、個人的にはないほうが使いやすいと考えています。

ただし、これはアンチショックそのものを否定するものではありません。ポールを突いたときの衝撃を柔らかくしたい人にとっては、便利な機能です。

トレッキングポールを選ぶときは、「アンチショックが付いている=高性能」と考えるのではなく、自分がポールに何を求めているのかを考えて選ぶことをおすすめします。

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