登山の行動食は何を食べる?6000km歩いて分かった食料の考え方

知識や経験
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登山の行動食というと、エネルギーバーやゼリー、羊羹などを思い浮かべる人が多いかもしれません。「何を持っていけばいいのか」「どのくらい食べればいいのか」「何時間おきに食べるのか」と悩む人もいるでしょう。

でも大切なのは、歩いている最中に何を食べるかではなく、一日に必要な食料をどう組み立てるかだと思います。実際、2025年に歩いたPCTでは、序盤に体重が大きく減りました。

出国時には約62kgあった体重が、PCT序盤には53kgを下回るまで減少。10kg近く体重が落ちたことになります。その後、食べる量を増やし、後半には1日4,000kcal程度を目安にするようになりました。最終的には体重も約60kgまで戻っています。

この記事では、そんな経験をもとに、僕が登山やロングトレイルでどのように食料を考えているのかを紹介します。

登山の行動食は「おやつ」ではなく一日の食事として考える

僕は基本的に、歩きながら頻繁に食事をするタイプではありません。朝・昼・夜の食事をある程度しっかり考え、そのうえで必要なら行動食を追加します。そのため、行動食を「登山中のおやつ」として考えるよりも、一日の食事の一部として考えています。

僕は基本的に歩きながら食事をしない

国内の登山では、行動食として毎日のように食べているものがあります。それが柿の種です。それにピーナッツを追加したり、ポテトチップスを持っていったりすることもあります。

いわゆるエネルギーバーを常に食べているわけではありません。もちろん、長時間歩く登山では途中でエネルギー補給が必要になることもあります。ただ、僕の場合は「歩きながら少しずつ食べる」というより、基本的な食事を先に考え、足りない分を行動食で補うという考え方です。

朝食はしっかり、昼は軽く、夜に不足分を補う

僕の場合、朝食は比較的しっかり食べます。朝にしっかり食べておくと、その後の行動に使えるエネルギーを確保しやすいからです。一方、昼食は軽めになることがあります。そして夜は、その日の活動で消費した分や不足した栄養を考えて食べます。

たんぱく質なら、肉、ツナ、ソーセージ、ビーフジャーキー、ピーナッツ、チーズなどを使います。

魚が手に入るなら魚を選ぶこともありますが、ロングトレイルでは保存性や入手しやすさ、価格も考えなければなりません。そのため、実際には乾燥肉などを利用することも多くなります。

朝食を多くたべる理由

炭水化物をメインに、タンパク質などを摂取していきます。気持ち多めに、腹八分目までしっかり食べるようにしています。朝に食べたりないと、直ぐに空腹になり登山やハイキングから思考が逸れて集中力が落ちます。

また、睡眠中に失った糖質を摂取する必要もあります。睡眠は休暇であると思われていますが、寝ている間も体は働き続け、想像以上にエネルギーを消費しています。それを回復させる意味があります。朝一番は食べるのが難しいですが、意識的に口に詰め込みましょう。

行動食でエナジーバーはあまり食べない

最初の頃は食べていましたが、徐々に食べなくなった代表格ですね。エナジーバーは効率が良く非常に優れているモノである反面、それに頼った食事計画は歪です。PCTでも多くのハイカーが口にし頼っていましたが、長く歩いている人ほど保存食のような立ち位置でした。

胃もたれや血糖値スパイクの原因にもなりかねない為、これに頼らない食べ方が重要です。昼食は取りつつも、行動食は少なくできるようにしましょう。

夜ご飯もしっかり食べる

夜は運動をしないためあまり食べない、なんて意見も日常ではありですが山では辞めましょう。その日に失ったカロリーと栄養素をしっかりと補給してから眠りにつくように意識しましょう。特にタンパク質やビタミンなどは、失われているため意識的な摂取を心がけましょう。

また、過度な空腹は睡眠を妨げます。翌日の行動に阻害が出ないよう、しっかりと食べてしっかりと眠ってください。

行動食を食べるなら、それも一日の食事に含める

ここは僕が食料を考えるうえで重要にしているところです。たとえば、朝・昼・夜の食事だけで一日の摂取量を考えて、途中で食べる行動食を別枠にしてしまうと、実際にどれだけ食べているのか分かりにくくなります。

僕は食品表示を見てカロリーを計算しているので、行動食も一日の食料として計算します。「これはおやつだから別」とは考えません。登山中に食べたものは、すべてその日の食事です。

6000km歩いて考えた、登山の食料は「カロリー・栄養・重量」で決める

登山の食料を考えるとき、僕が気にしているのは大きく分けて3つあります。カロリー、栄養、そして重量です。

もちろん、これらのバランスは登山日数や季節、行動時間によって変わります。

カロリーは食品表示から計算する

僕はカロリー計算をするとき、アプリなどに任せるのではなく、基本的に食品表示を見て計算しています。PCT序盤では、食事についてそれほど綿密に考えていませんでした。

その結果、体重は大きく落ちました。出国時には約62kgだった体重が、PCT序盤には53kg以下まで減少。自分でも「これはまずい」と感じるほどの減り方でした。その後は食べる量を増やしていき、PCT後半には1日4,000kcal程度を目安にするようになりました。

最終的には体重も約60kgまで戻っています。もちろん、長距離歩行中の体重変化には活動量や体調、食事内容などさまざまな要素が関係します。

僕の場合は、実際に体重が大きく減った経験があったからこそ、「歩くなら食べることも計画しなければいけない」と強く意識するようになりました。

食料は思っている以上に重くなる

ロングトレイルでは、食料の重量も無視できません。僕の場合、食料は乾燥重量で計算することがありますが、1日分で1kgを超えることも珍しくありません。多いときには1日約1.3kg程度になることもあります。

一週間分なら、それだけで約9〜10kgです。「そんなに食べるの?」と思われるかもしれません。しかし、長期間歩いていると、食料を削ることがそのまま行動の余裕を削ることにつながります。

僕は食料を減らしすぎて空腹のまま寝るより、多少重くても食べるものを持っていたいと考えています。

炭水化物・たんぱく質・脂質のバランスも見る

食料を考える際に炭水化物・たんぱく質・脂質のバランスも意識しましょう。

  • 炭水化物:約60%
  • たんぱく質:約20%
  • 脂質:約20%

くらいを考えてください。登山の強度や時間、体格、季節、食事の好みなどによって必要なものは変わります。僕の場合は、歩き続けるためのエネルギーだけでなく、肉や魚、チーズ、ナッツなどからたんぱく質や脂質も確保するようにしています。

重量が計算できる

各成分の摂取量の目安ができれば、どのくらいの重量になるのか推測できます。基本的に、各栄養素ごとに次のように計算可能です。

  • 炭水化物: 4kcal
  • 脂質: 9kcal
  • タンパク質: 4kcal

これより、例えば一日で5000kcalを摂取する場合には次のようになります。

栄養素(比率)カロリー(kcal)計算式理論上の乾燥重量
炭水化物(60%)3,000 kcal3,000÷4cal750.0 g
脂質(20%)1,000 kcal1,000÷9kcal111.1 g
タンパク質(20%)1,000 kcal1,000÷4kcal250.0 g
合計(100%)5,000 kcal—1,111.1 g

5000kcalを摂取しようとすると、乾燥重量で約1.112kgになります。

ビタミンやミネラルはできるだけ食品から摂る

僕はサプリメントをほとんど使いません。できるだけ普段の食品から栄養を取るようにしています。

もちろん、長期間の登山では生鮮食品を大量に持ち歩くことはできません。そこで、乾燥野菜、海藻、ドライフルーツなどを利用します。国内なら乾燥わかめなどは比較的手に入りやすく、インスタントラーメンに入れるだけでも使えます。

ドライフルーツも保存しやすいので、食料に加えることがあります。

加工食品を避けすぎると、現実的ではなくなる

健康を考えると、できるだけ加工されていない食品を食べたくなるかもしれません。僕も理想としてはそう思います。ただ、健康は金で買えるのですが、残念ながらその金がありません。

ロングトレイルでは価格、保存性、重量、調理のしやすさ、入手しやすさまで考えなければなりません。生鮮食品を使い、超加工食品を避けるべきと分かっておきながら、インスタントラーメンを食べます。

結局、現実的に持ち運べて、食べ続けられる食料を組み立てることになります。

実際に僕が登山・ロングトレイルで食べてきたもの

ここからは、実際に僕が使ってきた食料を紹介します。いわゆる「おすすめランキング」ではありません。あくまで、6,000km以上歩いてきた僕が、実際に使いやすいと感じてきたものです。

行動食は柿の種・ピーナッツ・ポテトチップス

国内の登山では、柿の種をよく持っていきます。そこにピーナッツを追加したり、ポテトチップスを持っていったりします。登山用として特別な食品である必要はありません。

僕にとっては、普通にスーパーで買えるもののほうが扱いやすいこともあります。特に長距離では、毎日同じようなエネルギーバーを食べ続けるより、自分が食べたいと思えるものを選ぶことも大切です。

朝食はラーメンやパンが中心

国内の登山では、朝食にインスタントラーメンを食べることがあります。一袋では足りないので、二袋使うこともあります。乾燥わかめを入れたり、別に中華スープや味噌汁を用意したりすることもあります。

パンの場合は、ツナマヨ、ハム、サラミなどを挟んでサンドイッチにします。ハムは比較的早めに食べるようにします。サラミは保存性が高いと感じた経験がありますが、これは僕自身の経験であり、季節や保存状態によって食品の安全性は変わります。

保存期間については「自分が食べても大丈夫だった」という経験だけを基準にせず、食品の表示や公的な食品安全情報を確認したほうがいいでしょう。

菓子パンという選択肢

国内に居れば安価に菓子パンを購入できます。僕もかなりお世話になったことがあるので馬鹿にできません。糖質と脂質が過分に含まれていますが、高カロリーで高糖質です。一気に体にエネルギーが染み渡りますよね。

ただ、最近は控えています。というのも、やはりカロリーに対して脂質の成分が多いからです。無理に大量の脂質と糖質を入れると、血糖値スパイクが起こりやすいです。幸いにまだ経験はありませんが、対策できるならするべきでしょう。国内であれば家から白米を持っていく事もあります。

ピーナッツバターが苦手でも使い道はある

僕はピーナッツバターがあまり好きではありません。一口にピーナッツバターと言ってもたくさん種類がありますが、基本的にどれもダメでした。そのため、普通に食べようとしても最後まで食べきれないことがあります。そこでやったのが、辛いラーメンに大量のピーナッツバターを入れる方法です。

いわゆる担々麺のような感じになります。

カロリーや脂質を確保しやすいので、朝食としては意外と使えました。ただし、これだけで栄養が完璧になるわけではありません。あくまで「苦手な食品をどうやって消費するか」という僕なりの工夫です。この食べ方の問題は、悲しい事に野菜を摂取できない事ですね。想像以上にマズかったです。

オーツ、トレイルミックス、ドライフルーツも使う

海外のロングトレイルでは、オーツを朝食にすることもありました。トレイルミックスやドライフルーツを加え、牛乳を使える環境なら牛乳を入れることもあります。オーツ単体では食べにくいので、自分が食べられる味にすることが大切です。

長距離歩行では「栄養価が高いから食べる」という理由だけでは、意外と続きません。国内では、フルグラなども良い食材であると思います。オーツ単体よりもバランスに優れており、ミルクと合わせればよいでしょう。

おすすめのフルーツ

個人的には、マンゴーやイチゴ、パイナップルやベリーは比較的入手性が高く、便利であると思っています。特に、マンゴーは高価ですが、その分栄養価も高く入手性も何故か高いです。

トレイルミックスとして購入すると、ピーナッツがメインになってしまう事が多いです。そのため、別途ドライフルーツミックスを購入するか、個別に買い足しを行うと良いでしょう。

また、ドライではないですがバナナチップスにはよくお世話になります。乾燥しており高カロリー、高栄養価です。

アルファ米やマッシュポテトで夕食を作る

夕食ではアルファ米を使うことがあります。カレーにして食べるのも好きです。そこに乾燥野菜や乾燥肉などを加えれば、自分なりの食事を作れます。山で食べるカレーはかなりおいしいので、長い行程では楽しみの一つにもなります。

マッシュポテトもよく使います。残ったラーメンのスープに入れて食べる「ラーメン爆弾」のような食べ方をすることもあります。調味料やスパイス、マヨネーズなどを使えば、同じ食材でも味を変えられます。

ロングトレイルでは、栄養だけでなく「飽きずに食べ続けられるか」もかなり重要です。

食料は「余ったら無駄」ではない

僕は食料を計算するとき、必要量ぴったりしか持たないようにはしていません。計算した必要量に対して、1.5日分ほど余裕を持たせることがあります。これは単純な「食べ過ぎ対策」の逆です。

山では予定通りに歩けないことがあるからです。

1.5日分ほど余裕を持つ理由

たとえば、足を痛めて予定より進めなくなったとします。その場合、食料が必要量ぴったりしかなければ、行程を変更することが難しくなります。一方、余分な食料があれば、心に余裕をもって計画を立てる事ができます。

  • 「今日はここまでにして下山しよう」
  • 「予定より一日遅れても大丈夫」

という判断がしやすくなります。こうした小さな余裕が判断ミスを減らすし、行動の幅を広げてくれるのだと思っています。

実際に伊豆で食料が役立ったことがある

以前、伊豆を歩いていたとき、登山口を間違えてしまったことがあります。予定していたルートに入れず、結果として一日分の予定がずれることになりました。そのとき、余分な食料を持っていたので、精神的にはかなり楽でした。

最終的には下山して20kmほど道路を歩くことになりましたが、「食料が足りなくなるかもしれない」という不安を抱えずに行動できました。もちろん、余分な食料を持つほどザックは重くなります。

それでも僕は、長距離を歩くときにはこの余裕を残したいと思っています。

予備食と行動食は別に考える

ここは区別しておきたいところです。

  • 行動食は、歩いている途中で食べるもの。
  • 予備食は、予定外の停滞やルート変更などに備えて持っておくものです。

どちらも「食料」ですが、役割は違います。行動食を全部食べてしまっても、予備食には手をつけない。そういう設計にしておけば、予定外のトラブルにも対応しやすくなります。

登山では「何を食べるか」より、まず一日の食料を考える

登山の行動食を考えるとき、

  • おすすめのお菓子は何か?
  • エネルギーバーはどれがいいか?
  • みんなどんなお菓子を食べているのだろうか
  • どんな食材が優れているのか
  • 安くて効率の良い行動食は何だろうな

と考えるところから始める人は多いと思います。

でも、6,000km以上歩いてきた僕が最初に考えるのはそこではありません。

  • 今日はどれくらい歩くのか。
  • 朝・昼・夜に何を食べるのか。
  • 途中で何を補給するのか。
  • 必要なカロリーを確保できているか。
  • 予定外に一日延びても対応できるか。

をしっかりと吟味しましょう。長く歩いているハイカー程、ここら辺の管理が行き届いています。ロングトレイルをたくさんしているハイカーは、他人のご飯事情にも興味津々です。

行動食は、その計画の中の一部分です。

PCT序盤に体重が53kg以下まで落ちた経験から、僕は「歩くためには食べることも必要だ」と実感しました。一方で、0デイを取ったときには、それまでと同じ量を食べ続けていたため、活動量が減った分だけ体重が増えました。

その日の活動量に合わせて、必要な食料を考える。そして、予定外の出来事に対応できるだけの余裕を残す。僕にとっての登山の食料計画は、そんな考え方です。

まとめ

登山の行動食には、エネルギーバーや羊羹、ナッツ、ドライフルーツなど、さまざまな選択肢があります。僕が大切にしているのは、

  • 行動食も一日の食事として考える
  • 食品表示からカロリーを計算する
  • 炭水化物・たんぱく質・脂質のバランスを意識する
  • 乾燥野菜、海藻、ドライフルーツなども利用する
  • 「栄養があるか」だけでなく「山で食べ続けられるか」も考える
  • 食料は必要量ぴったりにせず、ある程度の余裕を持つ
  • 行動食と予備食は役割を分ける

ということです。特に長期間歩く場合、食料は単なる消耗品ではありません。食料の重量はザックを重くしますが、同時に予定を変更する自由や、トラブルに対応する余裕も持たせてくれます。

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