登山をしていると、
- 歩いているうちに足裏がジンジンしてくる
- 下山すると足の裏が痛い
- 岩場を長く歩くと、足の裏に突き上げるような衝撃を感じる
- つま先や足の指が痛くなってくる
- 靴を変えても、なぜか足裏が痛い
ということがあります。実はこれ、痛む場所やタイミングによって、考えるべき原因は変わります。長時間歩いて足そのものが疲れている場合もあれば、靴の中で足が前に滑っている場合もあります。岩場ではソールの厚みやクッション性が関係することもあります。
この記事では、登山で足裏が痛くなる原因を、痛む場所・歩く場所・靴・ソール・靴下・歩き方という視点から整理します。

登山で足裏が痛くなる原因は?まず「どこで・いつ」痛むかを確認する

足裏が痛いとき、最初に考えたいのは「足裏が痛い」という一言で終わらせないことです。足の裏のどこが痛いのか。いつ痛くなるのか。登りなのか、下りなのか、それとも平地なのか。岩場なのか、土の登山道なのか。
この違いを見るだけでも、原因を考える手がかりになります。
足裏のどこが痛い?痛む場所によって考えられる原因
医療的にも、足の痛みはかかと・土踏まず・足の指・足裏の前方など、痛む場所によって原因が異なります。靴のサイズや形が合っていないこと、使いすぎ、外傷なども足の痛みにつながります。
足裏全体が痛い場合
足裏全体が疲れているような、ジンジンするような痛みなら、まず「どれくらい歩いたのか」を考えてみます。登山では平地を歩くのとは違い、斜面や段差、不整地を長時間歩きます。そこにザックの重量が加われば、足には長時間にわたって負荷がかかります。
特に普段あまり長く歩かない人が、いきなり長時間の登山をすると、靴を変えても足裏が疲れて痛むことがあります。この場合は、単純に「靴が悪い」と決めつけないほうがいいでしょう。
かかとが痛い場合
かかとの痛みなら、
- 靴の中でかかとが動いている
- 下りで足が前に滑っている
- 靴のフィットが合っていない
- 長時間歩いたことで負担が蓄積している
などを確認します。特に、歩くたびにかかとが靴の中で上下するようなら、靴とのフィットを見直す必要があります。登山靴は「大きめなら安心」という単純なものでもありません。
つま先には余裕が必要ですが、かかとや足の甲まで緩ければ、今度は靴の中で足が動きやすくなります。American Hiking Societyも、登山靴はつま先にある程度の余裕を持たせつつ、かかとはしっかり固定され、靴の中で足が動きすぎないことを重視しています。
土踏まずが痛い場合
土踏まずの場合は、足そのものの疲労だけでなく、靴やインソールとの相性も考えます。ただし、「土踏まずが痛いからアーチサポートの強いインソールに交換すればいい」とすぐに考えるのはおすすめしません。
インソールを変えることで靴の中の高さや足の収まり方も変わります。つまり、インソールは足裏の問題を解決する道具になることもありますが、原因によっては別の問題を作る可能性もあるということです。
足の指・指の付け根が痛い場合
ここは特に下山で確認したい場所です。下り坂では、靴の中で足が前方へ移動しやすくなります。その結果、つま先が靴の先端に繰り返し当たれば、足指や爪に負担がかかります。日本の登山メディアでも、下山時のつま先の痛みについて、靴ひもの締め方、靴のサイズ、足の前滑りなどが原因として挙げられています。
米国のREIも、足に合わない靴や、足が靴の中で当たったり擦れたりすることが、足のトラブルにつながると説明しています。ここで重要なのは、「痛くなってから我慢する」のではなく、足が前に滑り始めた段階で対処することです。
足裏に「刺さる」「突き上げる」ような痛みがある場合
僕自身が長距離を歩いていて気になったのが、このタイプの痛みです。岩が多い道を長時間歩いていると、地面から受けた衝撃が足裏から上に突き上げてくるように感じることがあります。これは「足裏が擦れて痛い」というマメや靴擦れとは、少し違います。
路面そのものが硬く、凹凸が大きければ、靴のソールやミッドソールが受ける衝撃も大きくなります。特に、僕はトレイルランニングシューズを長距離歩行で使う中で、軽さを優先しすぎてソールの薄い靴を使い続けると、岩場では足裏への衝撃を強く感じることがありました。
ここは「軽い靴=悪い」という話ではありません。舗装路が多いのか、土のトレイルなのか、岩場なのか。歩く距離はどのくらいなのか。その靴をどのくらい使い込んでいるのか。こうした条件まで考える必要があります。
登り・下り・平地で痛み方は変わる
同じ靴を履いていても、登りと下りでは足への負担のかかり方が変わります。歩く条件が変われば負荷のかかり方も変わるし、急な下りでは適切な歩き方をしなければ負担が増えてしまいます。特に、靴の紐を締めるのが甘かったりすると、足が前後に動いてしまいます。
もちろん、多少の遊びは必須ですが無理に大きなサイズを履いているとこれが大きな痛みにつながります。
登りで痛む場合
登りでは、足の前方に体重がかかりやすくなります。急な登りでつま先を使い続けているなら、足指や前足部に負担が集中していないか確認します。歩幅を大きく取りすぎることも、疲労につながります。
登山では小さな歩幅で歩くことが、脚への負担を抑える方法のひとつとして紹介されています。
下りで痛む場合
下りで足裏やつま先が痛くなるなら、まず確認したいのが「前滑り」です。靴の中で足が前に移動し、つま先が靴の先端に当たっていないか。靴ひもが途中で緩んでいないか。かかとが固定されているか。
このあたりを確認します。下山時のつま先の痛みについては、日本の登山メディアでも特に多く扱われているテーマで、靴ひもの締め直しやサイズ、フィットの重要性が指摘されています。
下りの時限定で足が痛む際には、まずは靴紐、次にフィット感を確認していきましょう。下る前に靴紐を再調整するなどの対策も有効です。
長時間歩いた後に痛む場合
最初の1時間は何ともない。しかし、5時間、6時間と歩いているうちに足裏が痛くなってくる。この場合は、靴だけではなく「長時間歩行そのもの」も原因として考えます。
長時間の反復的な負荷は、足のトラブルにつながります。英国のBritish Mountaineering Councilも、長時間歩くことや速いペース、濡れた足、合わない靴などを足のトラブルの要因として挙げています。
「足裏の痛み」と「マメ・靴擦れ」は分けて考える
ここは意外と重要です。足裏が痛いからといって、すべてが同じ原因ではありません。マメや靴擦れは、皮膚と靴下・靴などの間に繰り返し摩擦が起こることで発生します。一方で、岩場を歩いたときの「足裏から突き上げてくるような痛み」は、少なくとも僕自身の経験では、マメとは別の問題として考えています。
マメについては、靴のフィット、湿気、摩擦、靴下などが関係します。REIやBritish Mountaineering Councilも、湿った足、合わない靴、靴下の状態などをマメの要因として説明しています。
僕自身のPCTでもマメはできました。そのため、マメについては別記事で詳しくまとめています。
関連記事:登山でマメ・水ぶくれができる原因と対策。対処法と原因はどこにある?
足裏の痛みとマメを一緒に考えてしまうと、原因を見誤ることがあります。しっかりと分けて考えてみてください。
登山で足裏が痛いときは「靴・ソール・靴下」を見直す

足裏が痛いとき、「インソールを交換しよう」と考える人は多いと思います。もちろんインソールが役立つ場合もあります。ただ、僕ならその前に、靴そのもの・ソール・靴下・足の動きを確認します。
登山靴が足裏の痛みにつながるケース
登山靴が足裏の痛みにつながるケースはいくつか考えられます。
- サイズの不一致
- 靴の中で足がバタバタする(サイズ不一致)
- 下山時に足が滑っている(靴が大きすぎる)
- つま先が先端に当たる(靴が小さい)
こういった問題が起こっています。
サイズが合っていない
登山靴は、普段履きの靴と同じ感覚で選ばないほうがいいでしょう。特に下りでは足が前に移動するため、つま先に余裕がない靴はトラブルにつながりやすくなります。
一方で、大きすぎる靴も問題です。つま先に余裕があっても、かかとや甲が固定されていなければ、靴の中で足が動いてしまいます。REIは試着時に、かかとの収まり、甲、つま先の圧迫感、斜面でつま先が当たらないかなどを確認するよう案内しています。
アイルランドのMountaineering Irelandも、試着時に実際の登り・下りを再現し、つま先への圧迫、横方向への足の動き、かかとの浮きを確認することを勧めています。つまり、平地で「ちょうどいい」と思っただけでは不十分です。
靴の中で足が動いている
僕が靴を選ぶときにかなり気にするのが、これです。「大きいか、小さいか」だけではありません。歩いている最中に、足が靴の中でどう動くのか。ここを見る必要があります。
- かかとが浮く
- 足が前に滑る
- 足の横方向が動く
- 高さ方向に大きな隙間ができている
- 足の指周りに大きな隙間がある
こうした動きがあれば、足裏やつま先への負担が増える可能性があります。
下山時に足が前へ滑る
下りでつま先が痛い人は、靴そのものだけでなく、靴ひもの締め方も確認してください。歩いているうちに靴ひもが緩めば、足が前へ動きやすくなります。日本のYAMA HACKでも、下山時は足が前にズレやすいため、靴ひもを調整して足を固定する方法が紹介されています。
「朝きちんと結んだから大丈夫」ではなく、長時間歩くなら途中で確認する。これはシンプルですが、かなり大切なことです。
つま先が靴の先端に当たる
下りで毎回つま先が靴の先端に当たるなら、その状態を我慢して歩き続けないほうがいいでしょう。繰り返し衝撃が加われば、爪や足指への負担になります。実際、REIも、足指が靴に押し込まれることや、長い爪が靴の前方に当たることが、足のトラブルにつながる可能性を説明しています。
「痛いけど、下山するだけだから」と歩き続けるのではなく、靴ひもを調整したり、休憩して足の状態を確認したりする。それでも改善しないなら、そもそもの靴のフィットを疑います。
ソールの厚み・クッション性は足裏の痛みに関係する?
ここは、僕自身の経験をかなり重視している部分です。僕は長距離を歩く中で、トレイルランニングシューズを使ってきました。扱いやすく、様々な路面に柔軟に対応できる一方で、デメリットもあります。
路面によってはソールの薄さが足裏に響くことがあります。これは、僕にとっては重要項目で、使い込んでいくとかなり激痛が走るようなときもあります。早めの交換が重要です。
岩場では「軽さ」だけで靴を選ばない
土のトレイルなら問題なくても、硬い岩が連続する場所を長時間歩けば、足裏への衝撃を感じることがあります。僕の場合、長く岩場を歩いたときに「地面から受けた衝撃が足裏から上に抜けてくる」ような感覚がありました。
これは僕自身の体感なので、すべての人に当てはまるとは言いません。ただ、足裏が痛い人には、「自分の靴は、歩いている路面に対してソールが合っているか?」という視点を持ってほしいと思います。
ソールが薄い靴が悪いわけではない
ここも誤解してほしくありません。ソールが厚ければ必ず快適になるわけでもありません。薄い靴には、路面の情報を感じやすい、軽い、足を動かしやすいといったメリットがあります。逆に、厚くクッション性の高い靴には、衝撃を受けにくく感じやすいというメリットがあります。
結局は、
- どんな道を歩くのか
- 何時間歩くのか
- 荷物はどれくらいか
- 自分の足がどの程度の衝撃を許容できるのか
で選び方が変わります。アイルランドのMountaineering Irelandも、路面が荒れるほど、ソールのねじれに対する剛性など、靴そのものの構造が重要になると説明しています。
登山用靴下は足裏の痛みにどう関係する?
僕は長距離歩行をする中で、靴下をかなり変えてきました。その経験から言うと、靴下は「厚ければいい」というものではありません。靴下の厚みは、逆に「乾きずらさ」や「靴のサイズ」という別の問題を連れてくることがあります。
靴下は様々なブランドで様々な種類が出ていますが、慎重に選んだ方がいいと思います。

インソールを交換すれば足裏の痛みは改善する?
インソール交換は選択肢のひとつです。
しかし、僕なら最初にインソールを交換することはしません。
まず、
- 痛む場所
- 痛むタイミング
- 靴のサイズ
- 足が靴の中で動いていないか
- ソールと路面の相性
- 靴下の厚み・素材・状態
を確認します。
そのうえでインソールを考えます。インソールを厚くすると、靴の中の足の位置やフィット感も変わります。「クッション性を上げれば足裏の痛みがなくなる」と単純に考えず、今ある靴の中で何が問題なのかを先に確認するほうが、原因を追いやすいと思います。
痛みを我慢して歩き続けない
最後に、これは長距離を歩いてきた経験とは別に、一般的な注意点として書いておきます。足の痛みが強い場合や、急に強い痛みが出た場合、怪我の後に痛みが続く場合、腫れ・赤み・発熱などを伴う場合は、単純に「登山靴が合っていない」と決めつけないほうがいいでしょう。
Cleveland Clinicも、強い痛み、外傷後の痛み、腫れや赤み、発熱などがある場合や、痛みが改善しない場合には医療機関への相談を勧めています。登山は、多少の疲労や違和感なら休みながら歩けることもあります。しかし、痛みを我慢して歩き続けることが正解とは限りません。
自分の足、靴、靴下、路面、歩き方。この組み合わせを少しずつ調整していく。それが、長く歩き続けるための足との付き合い方だと思っています。
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