登山用レインウェアは、雨を防ぐためだけの装備ではありません。気温の低下や風から体を守り、低体温症を防ぐための「安全装備」です。
しかし、初めて購入する人ほど「ゴアテックスは本当に必要なの?」「軽量モデルと丈夫なモデルはどちらを選べばいい?」「安いレインウェアではダメなの?」と悩むのではないでしょうか。
この記事では、自身の経験を踏まえながら、ロングトレイル視点でレインウェアの選び方と、おすすめのレインウェア10着+ワークマンのイナレムを紹介します。
- 登山用レインウェアの選び方|初心者が失敗しない為のポイント
- 登山用レインウェアおすすめ10選【6000km歩いた経験から厳選】
- 登山用レインウェアでよくある質問
- 6000km歩いて分かった、本当におすすめの1着
- まとめ
登山用レインウェアの選び方|初心者が失敗しない為のポイント

登山用レインウェアはどれを選んでも同じではありません。用途に合わないレインウェアを選んでしまうと、結構きついです。
- 蒸れて汗だくになる
- 重くて持ち歩かなくなる
- 雨の日しか着なくなる
- 結局買い替える
ということも珍しくありません。ここでは、初心者が知っておきたい5つのポイントを解説します。
登山でレインウェアが必須な理由
登山ではレインウェアは雨具ではなく、安全装備です。山では天候が急変することも多く、夏でも標高が高い場所では気温が10℃近く下がることがあります。雨で体が濡れた状態で風に吹かれると、一気に体温を奪われます。
特にテント泊やロングトレイルでは、悪天候でも歩かなければならない場面があるため、防水性能だけでなく防風性能も重要になります。雨の日以外でも、使用することが多いです。
- 稜線で強風が吹いている時
- 朝晩の冷え込み
- 防寒着として着用する時
- 風呂上りの着替え
など、一年を通して活躍します。自身もPCTでは、雨よりも防風着として着ていた時間の方が長かった印象があります。ロングトレイルではすべての服を洗濯した時に裸で、レインウェアを着る事も珍しくありません。
「雨の日だけ着る服」と考えるのではなく、「一年中使うシェルジャケット」と考えると選び方も変わってきます。
防水性だけでなく透湿性も重要
最初のうちは防水性能ばかり気にしてしまいますが、実際には透湿性も同じくらい重要です。透湿性とは、ウェア内の湿気を外へ逃がす性能のことです。これがないと、内部で滝汗をかいて苦労します。
登山では歩くだけで大量の汗をかきます。防水性能だけが高いレインウェアでは、雨で濡れなくても汗で中がびしょ濡れになってしまいます。そのため、
- ゴアテックス
- Pertex Shield
- DryVent
- エバーブレス
- DRYEDGE
など、それぞれ透湿性にも特徴があります。僕も歩き始めた頃は「防水なら何でも同じ」と思っていました。しかし実際に長時間歩いてみると、蒸れにくいレインウェアは疲労感が大きく違います。
特に夏山では、この差を実感しやすいでしょう。
軽量性と耐久性のバランスで選ぶ
軽ければ良いというものでもありませんが、丈夫なら良いというものでもありません。例えば、日帰り登山なら軽量モデルでも十分ですが、岩場の多い場所の縦走などでは岩場での擦れや連日の使用を考えると耐久性も必要になります。
一方でロングトレイルでは、乾季を狙って行動することもあり基本的には防寒具の意味合いが強いです。実際に雨が降る日数はそれほど多くありませんでしたが、毎日ザックに入れて持ち運ぶだけで、あまり使用しません。
そうなると、パッと簡単に羽織れて軽量であることが優先されます。
ゴアテックスは本当に必要?
結論から言えば、必ずしもゴアテックスである必要はありません。もちろんゴアテックスは非常に優れた素材です。あれば越したことはないですね。
- 高い防水性
- 高い透湿性
- 耐久性
どれもトップクラスです。しかし最近では、各種ブランドがオリジナルの防水透湿素材を開発し、提供しています。それは国内ではモンベルやファイントラック、海外ではOutdoorResearchなどです。
実際、海外ロングトレイルではゴアテックスより軽量なレインウェアを選ぶ人も少なくありません。重要なのは「ゴアテックスだから安心」ではなく、自分の山行スタイルに合っているかどうかです。
初心者は上下同じブランドのレインウェアがおすすめ
レインジャケットだけ購入する人もいますが、初心者には上下セットでの購入をおすすめします。上半身だけ防水しても、ズボンが濡れれば体温は奪われます。そして、意外と足元が濡れるのは気持ち悪いです。
また、泥や草でパンツが濡れることも多く、悪天候ではレインパンツの有無で快適性が大きく変わります。最初にレインパンツまで購入しておけば、安心できます。まずは上下セットを揃え、その後必要に応じて軽量モデルへ買い替えていくのがおすすめです。
登山用レインウェアおすすめ10選【6000km歩いた経験から厳選】
ここからは、実際におすすめできるレインウェアを紹介します。今回は、日本の登山で定番のモデルだけでなく、PCTをはじめとする海外ロングトレイルでも高く評価されているレインウェアも選びました。

購入しやすさだけでなく、実際の使いやすさやロングトレイルとの相性も考慮しています。まずは一覧表から、自分に合いそうなモデルを確認してみてください。
| 商品 | 重量 | 防水透湿素材 | 価格(税込) | おすすめ度 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| モンベル バーサライト | 約134g | GORE-TEX INFINIUM | 約24,000円 | ★★★★★ | 圧倒的軽量で日本の登山向き |
| 山と道 All-weather Hoody | 約200g | Pertex Shield Air | 約45,000円 | ★★★★★ | ロングトレイルとの相性抜群 |
| ファイントラック エバーブレスフォトン | 約300g | エバーブレス | 約38,000円 | ★★★★★ | 快適性と耐久性を両立 |
| ミレー ティフォン | 約300g | DRYEDGE™ TYPHON | 約36,000円 | ★★★★☆ | 蒸れにくく快適 |
| THE NORTH FACE クライムライト | 約310g | GORE-TEX | 約40,000円 | ★★★★☆ | 定番モデル |
| マムート Crater Light | 約330g | GORE-TEX ePE | 約47,000円 | ★★★★☆ | 耐久性重視 |
| ワークマン イナレムプレミアム | 約400g | イナレム | 約5,800円 | ★★★★☆ | 価格重視 |
| Outdoor Research Helium | 約200g | Pertex Shield | 約28,000円 | ★★★★★ | PCT定番モデル |
| The Packa | 約340g | 独自素材 | 約35,000円 | ★★★★☆ | ザックごと覆える |
| EE VISP | 約150g | 独自素材 | 約45,000円 | ★★★★☆ | UL向け超軽量 |
ロングトレイル経験者がおすすめするレインウェアBEST3
レインウェアには数多くの種類がありますが、「もし僕がロングトレイルへ持っていくなら何を選ぶか」と聞かれれば、次の3着を選びます。
もちろん山行スタイルによって最適解は変わりますが、「長期間歩き続ける」という視点では、軽さ・快適性・耐久性のバランスが重要です。
| 順位 | レインウェア | おすすめポイント |
|---|---|---|
| 1位 | 山と道 All-weather Hoody | 軽量性と通気性のバランスが抜群。ロングトレイルとの相性が非常に良い。 |
| 2位 | Outdoor Research Helium Rain Jacket | 軽量で収納性が高く、海外ロングトレイルでは定番の一着。 |
| 3位 | モンベル バーサライトジャケット | 国内で入手しやすく、日本の登山からロングトレイルまで幅広く対応できる。 |
この3着はいずれも軽量性を重視したモデルですが、それぞれ特徴が異なります。例えば、悪天候が続く環境なら耐久性を重視したモデルの方が安心できますし、夏山中心なら軽量モデルの方が快適です。
「ランキング=万人におすすめ」という訳ではなく、自分の山行スタイルに合わせて選ぶことが大切です。
モンベル バーサライトジャケット
モンベルのバーサライトジャケットは、日本の登山者から非常に高い人気を集めている超軽量レインウェアです。僕自身も長期間使用してきましたが、「とりあえずザックへ入れておこう」と思える軽さは大きな魅力でした。
国内外、様々な人がこのジャケットを使用しています。PCTでは、何人も同じレインウェアの人と出会い、会話の種になりました。
レインウェアは使わない日も毎日持ち歩く装備です。実際にPCTとお遍路で使用したレインウェアもこれです。ただ、お遍路の時に豪雨にあったのですが、その時は蒸し暑く感じてしまいました。
スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 重量 | 約134g |
| 素材 | GORE-TEX INFINIUM |
| 収納サイズ | ★★★★★ |
| 耐久性 | ★★★☆☆ |
| 蒸れにくさ | ★★★★☆ |
| 価格 | 約24,000円 |
※価格や仕様は購入時期によって変更される場合があります。

実際に使って感じた特徴
バーサライト最大の魅力は、圧倒的な軽さです。ジャケットを手に取ると、「本当にレインウェアなの?」と思うほど軽く、収納すると手のひらほどの大きさになります。
日本の登山では「今日は雨が降るかもしれない」という日も多くありますが、この軽さなら携行すること自体が苦になりません。一方で、生地は非常に薄いため、岩場で擦ったり、長期間酷使するような使い方には注意が必要です。
PCTのような長距離トレイルでは軽量性は魅力ですが、毎日着続けるような環境では耐久性とのバランスも考えたいモデルです。
メリット・デメリット
メリット
- 非常に軽量で携行しやすい
- 収納サイズが小さい
- 日本の登山なら十分な性能
- モンベル製でコストパフォーマンスが高い
デメリット
- 生地が薄く耐久性は高くない
- 長期間の酷使には注意が必要
- ベンチレーション機能は少なめ
おすすめな人
- 日帰り登山が中心の人
- 軽量装備を目指したい人
- 初めて登山用レインウェアを購入する人
- コストパフォーマンスを重視する人
山と道 All-weather Hoody
山と道のAll-weather Hoodyは、日本発のロングトレイル向けブランドらしい思想が詰まったレインウェアです。一般的なレインウェアとは少し考え方が異なり、「歩き続けること」を前提に設計されています。
PCTでも山と道の製品を使っているハイカーを見かけましたが、日本人だけでなく海外ハイカーからも評価されていました。特にアメリカでは大人気らしく、アメリカ人は「かっこいいなっ!」と利用しているハイカーを止めて声をかけるほどでした。
スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 重量 | 約115g(Mサイズ) |
| 素材 | Pertex Shield Air |
| 収納サイズ | ★★★★★ |
| 耐久性 | ★★★★☆ |
| 蒸れにくさ | ★★★★★ |
| 価格 | 約45,000円 |
実際に使って感じた特徴
山と道のレインウェアは、防水性能だけではなく「蒸れにくさ」を非常に重視しています。個人的にはバーサラトよりもストレスは少ないです。ロングトレイルでは、一日に何時間も歩き続けます。
そのため、完全防水よりも「快適に歩き続けられること」が重要になる場面も少なくありません。また、シルエットも動きやすく、歩行時のストレスが少ない点も魅力です。
価格は高めですが、ロングトレイルを楽しみたい人なら十分検討する価値があります。
メリット・デメリット
メリット
- 通気性が高い
- 軽量で収納性も優秀
- 長時間歩いても蒸れにくい
- ロングトレイルとの相性が良い
デメリット
- 価格が高め
- 人気が高く在庫切れになることが多い
- 一般登山では性能を持て余すor不足する場合もある
- 引き裂き強度に少しだけ不安アリ
おすすめな人
- ロングトレイルに挑戦したい人
- 軽量装備を目指している人
- 蒸れにくさを重視する人
- 山と道製品が好きな人
ファイントラック エバーブレスフォトン
ファイントラックのエバーブレスフォトンは、「軽さ」と「耐久性」を高いレベルで両立した国産レインウェアです。
ゴアテックスにこだわらず、自社開発素材で快適性を追求しているのが特徴で、日本の高温多湿な環境とも相性が良く、多くの登山者から支持されています。ロングトレイルとしてよりは、登山寄りの逸品で、防水性能や撥水、透湿性も十分に感じました。
ただ、ロングトレイル用品としては少し重たいです。単純に、雨の日の使用よりも晴れの日に防寒具としての使用頻度が多く、性能を持て余すどころか使いこなせません。
スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 重量 | 約300g |
| 素材 | エバーブレス® |
| 収納サイズ | ★★★★☆ |
| 耐久性 | ★★★★★ |
| 蒸れにくさ | ★★★★☆ |
| 価格 | 約38,000円 |
実際に使って感じた特徴
エバーブレスフォトンは、着た瞬間から「動きやすい」と感じるレインウェアです。初心者から玄人まで満足できる一品と思えるような、軽さと丈夫さを両立しています。本格的に登山をするのであれば、迷わずお勧めできる一品です。
特にストレッチ性が高く、他製品よりもストレッチ性が高い印象です。急登や岩場でも突っ張る感覚が少ないため、アクティブに歩く人には非常に快適です。また、蒸れを抑える性能にも優れており、夏山や長時間行動でも快適性を維持しやすい印象があります。
一方で、価格帯はやや高めなので、「長く使う一着」として選びたいモデルです。
メリット・デメリット
メリット
- ストレッチ性が高く動きやすい
- 蒸れにくく快適
- 耐久性も十分
- 日本の山岳環境に適した設計
デメリット
- 価格はやや高め
- 超軽量モデルほど軽くはない
おすすめな人
- 縦走登山を楽しみたい人
- 動きやすさを重視する人
- 長く使えるレインウェアを探している人
- 日本の山を中心に歩く人
ミレー ティフォン ストレッチジャケット
ミレーのティフォンシリーズは、「蒸れにくいレインウェア」として高い評価を受けているモデルです。一般的なレインウェアは雨を防ぐ性能を優先するあまり、歩いているうちに内部が蒸れてしまうことがあります。
しかしティフォンは、高い透湿性能によって行動中の快適性を重視した一着です。夏山や行動時間が長い登山では特に恩恵を感じやすく、レインウェアを着たまま歩くことが多い人には非常に魅力的な選択肢になります。
スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 重量 | 約300g |
| 素材 | DRYEDGE™ TYPHON |
| 収納サイズ | ★★★★☆ |
| 耐久性 | ★★★★☆ |
| 蒸れにくさ | ★★★★★ |
| 価格 | 約36,000円 |
実際に使って感じた特徴
ティフォンの魅力は、何と言っても着心地の良さです。一般的なレインウェア特有の「ゴワゴワ感」が少なく、まるでソフトシェルを着ているような感覚で行動できます。
特に森林限界以下を長時間歩くような登山では、蒸れにくさの恩恵を感じやすいです。一方で、生地は軽量性だけを追求したモデルではありません。そのため、バーサライトのような超軽量モデルと比べると携行重量は増えます。
しかし、その分だけ快適性や耐久性とのバランスに優れているため、「多少重くても快適に歩きたい」という人には非常におすすめです。国内ロングトレイルでは、使用している人と出会ったことがあります。
メリット・デメリット
メリット
- 非常に蒸れにくい
- ストレッチ性が高い
- 着心地が柔らかい
- 長時間歩いても快適
デメリット
- 超軽量モデルより重い
- 価格はやや高め
おすすめな人
- 夏山中心に登山する人
- 蒸れをできるだけ減らしたい人
- 着心地を重視したい人
- テント泊や縦走登山を楽しむ人
THE NORTH FACE クライムライトジャケット
THE NORTH FACEを代表するレインウェアがクライムライトジャケットです。長年人気を維持しているモデルで、初心者から経験者まで幅広く支持されています。
極端に軽量でもなく、極端に頑丈でもありませんが、そのバランスの良さが最大の魅力です。
スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 重量 | 約280g |
| 素材 | GORE-TEX PRODUCTS |
| 収納サイズ | ★★★★☆ |
| 耐久性 | ★★★★★ |
| 蒸れにくさ | ★★★★☆ |
| 価格 | 約40,000円 |
実際に使って感じた特徴
クライムライトジャケットは、「迷ったらこれを選べば失敗しにくい」と感じる完成度があります。登山をするのであれば、この頑丈さは大きな武器です。軽量モデルほど神経質に扱う必要がなく、それでいて十分軽いため、日本の登山には非常に使いやすい一着です。
また、THE NORTH FACEらしくシルエットも美しく、登山だけでなく普段使いする人も多く見かけます。ロングトレイルでは少し重量を感じるかもしれませんが、日本アルプスや縦走登山では安心して使えるモデルです。
クシャッとまとめて小さく専用の袋に入れる事が出来るのもいいですね。個人的に、好きです。
メリット・デメリット
メリット
- バランスが非常に良い
- 耐久性が高い
- GORE-TEX採用
- 普段使いもしやすい
デメリット
- UL志向にはやや重い
- 人気モデルのため価格が高め
おすすめな人
- 初めて本格的なレインウェアを購入する人
- 縦走登山を楽しみたい人
- 長く使える一着を探している人
- 普段使いも考えている人
マムート Crater Light HS Hooded Jacket
マムートのCrater Lightは、高い耐久性と快適性を兼ね備えたアルパイン向けレインウェアです。マムートの中では生地の厚みが中厚程度なのに、日本の四季を通した活動で活躍できる万能アイテムです。
悪天候の中でも安心して行動できる性能があり、日本の高山縦走でも人気があります。FCフリーのePEメンブレン、リサイクルポリエステル素材、原液着色の裏生地、そして修理しやすいデザインが特徴です。
スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 重量 | 約404g |
| 素材 | GORE-TEX ePE |
| 収納サイズ | ★★★★☆ |
| 耐久性 | ★★★★★ |
| 蒸れにくさ | ★★★★☆ |
| 価格 | 約47,000円 |
実際に使って感じた特徴
マムートらしく、非常に作り込みが丁寧です。修理しやすい構造という事で、動きずらさが気になりましたが、特に違和感はなく軽快に行動をすることができました。素材に対する不安はありましたが、台風の中、20kmほど歩いたのですが特に不満はなく、値段相応の高性能っぷりでした。
フードの調整機構や止水ファスナーなど細部まで完成度が高く、強風や悪天候でも安心感があります。軽量性だけを見るとバーサライトなどには及びませんが、耐久性とのバランスは非常に優秀です。長期間使い続けたい人には魅力的な選択肢でしょう。
メリット・デメリット
メリット
- 耐久性が高い
- 防水性能が優秀
- 細かな作り込みが丁寧
- 悪天候でも安心
デメリット
- やや価格が高い
- 軽量性だけなら他モデルに劣る
おすすめな人
- 北アルプス縦走を考えている人
- 悪天候でも登山する機会がある人
- 長く使えるレインウェアを探している人
- 安心感を重視したい人
Outdoor Research Helium Rain Jacket
Outdoor Research(OR)のHelium Rain Jacketは、PCT・CDT・ATといったアメリカ三大ロングトレイルでは定番とも言えるレインウェアです。「軽量レインウェアと言えばHelium」と言われるほど知名度が高く、多くのスルーハイカーが携行しています。
PCTでは何度も見かけましたが、日本ではまだ使用者がそれほど多くありません。だからこそ、人と被りにくく、海外ロングトレイルの装備を取り入れたい人には魅力的な選択肢です。
スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 重量 | 約180g |
| 素材 | Pertex Shield Diamond Fuse |
| 収納サイズ | ★★★★★ |
| 耐久性 | ★★★☆☆ |
| 蒸れにくさ | ★★★☆☆ |
| 価格 | 約28,000円 |
実際に使って感じた特徴
Helium最大の魅力は、「必要十分」を徹底的に追求した設計という事です。ロングトレイルでは、レインウェアを何日も着続けるよりも、「普段はザックに収納し、必要な時だけ素早く羽織る」という使い方が一般的です。
- 軽い
- 小さい
- 持ち運びやすい
という点が非常に重視されます。Heliumはまさにその思想で作られています。もちろん、豪雨の中を何時間も歩き続けるような用途では、より耐久性の高いモデルに分があります。
しかし、日本の登山や夏のロングトレイルでも十分な性能を持っています。
メリット・デメリット
メリット
- 軽量で持ち運びやすい
- 世界中のロングトレイルで実績がある
- 収納サイズが非常に小さい
- 海外ブランドながら国内でも購入しやすい
デメリット
- ベンチレーションは少なめ
- 長時間の豪雨では蒸れを感じる場合がある
- 国内メーカーより試着しにくい
おすすめな人
- ロングトレイルに挑戦したい人
- 軽量装備を目指している人
- 海外ブランドが好きな人
- 人と被らないレインウェアを選びたい人
The Packa
The Packaは、日本ではまだほとんど知られていません。しかし、PCTやATでは一定数のハイカーが使用している、非常にユニークなレインウェアです。
最大の特徴は、ザックごと覆える構造になっていること。一般的なレインウェアではザックカバーが必要ですが、The Packaならレインウェアとザックカバーを一体化できます。
スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 重量 | 約150g |
| 素材 | 独自3レイヤー防水透湿素材 |
| 収納サイズ | ★★★★★ |
| 耐久性 | ★★☆☆☆ |
| 蒸れにくさ | ★★★★☆ |
| 価格 | 約45,000円 |
実際に使って感じた特徴
PCTでは、唐突の雷雨に数日遭遇しました。結構面倒なもので、いちいちザックを下ろしてレインウェアを着込み、行動をします。そんな時に感じるのが、「ザックの上下って意外と面倒だな」ということです。
The Packaは、その不満を解消するために生まれたレインウェアと言ってもいいでしょう。ザックを背負ったまま簡単に着脱でき、休憩中も荷物が濡れません。シルエットも個人的には好きで、人とも被らない。さらに、ウェア内部に空間ができるため通気性も高く、蒸れにくいというメリットがあります。
見た目は少し独特ですが、「歩き続けること」を考えた非常に合理的な設計です。
メリット・デメリット
メリット
- ザックカバーが不要
- 着脱が非常に楽
- 通気性が高い
- 長距離ハイキングとの相性が良い
デメリット
- 日本では入手しにくい
- デザインは好みが分かれる
- 一般登山ではオーバースペックになる場合もある
おすすめな人
- PCTや海外ロングトレイルを歩きたい人
- UL装備に興味がある人
- 雨の日も長時間歩く人
- 人とは違う装備を選びたい人
Enlightened Equipment VISP Rain Jacket
Enlightened Equipmentは、ULハイカーなら知らない人はいないほど有名なブランドです。その中でもVISP Rain Jacketは、「軽量性を最優先したレインウェア」として高い評価を受けています。
日本ではまだ知名度は高くありませんが、海外のULコミュニティでは定番モデルの一つです。
スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 重量 | 約160g |
| 素材 | 独自3レイヤー防水透湿素材 |
| 収納サイズ | ★★★★★ |
| 耐久性 | ★★☆☆☆ |
| 蒸れにくさ | ★★★★☆ |
| 価格 | 約45,000円 |
実際に使って感じた特徴
VISPは、とにかく軽いレインウェアです。ここまで軽くなると、レインウェアというより「保険」としてザックへ入れておく感覚になります。ロングトレイルでは、「できるだけ荷物を軽くしたい」という考え方が一般的です。
その思想に非常にマッチしたモデルと言えるでしょう。日本で言う、モンベルのバーサライトのような存在に感じています。アメリカのトリプルクラウナーも使用しており、「これが一番楽だ」と彼は言っていました。
生地は薄く、耐久性よりも軽量性を優先しています。岩場が多い登山や藪漕ぎでは、慎重に扱いたいレインウェアです。
メリット・デメリット
メリット
- 圧倒的な軽量性
- 収納サイズが小さい
- ULハイキングとの相性が良い
- 海外では非常に評価が高い
デメリット
- 国内では入手しにくい
- 耐久性は高くない
- 初心者には価格が高く感じる
おすすめな人
- ULハイキングに興味がある人
- ロングトレイルを歩きたい人
- 荷物を極限まで軽量化したい人
- 海外で人気のギアを使ってみたい人
おまけ;ワークマン イナレムプレミアムレインジャケット
ワークマンのイナレムシリーズは、高いコストパフォーマンスで近年注目されているレインウェアです。登山専用品ではありませんが、価格以上の性能を持っており、「まずは安く揃えたい」という人から人気を集めています。
ただ、初心者さんにお勧めかといわれるとかなり怪しいです。形から入る人にはお勧めしても良いかなと思いますが、あくまでワークマン性能です。僕は、縦走やロングトレイルに持っていくことはありませんでした。
スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 重量 | 約400g |
| 素材 | INAREM |
| 収納サイズ | ★★★☆☆ |
| 耐久性 | ★★★☆☆ |
| 蒸れにくさ | ★★★☆☆ |
| 価格 | 約5,800円 |
実際に使って感じた特徴
価格を考えると非常によくできたレインウェアです。登山ブランドと比較しなければ、十分コスパの良い非常に良い製品だなと思いました。日常遣いをするのであればいいですね。
透湿性能も高く、一般的なハイキングや低山であれば十分活躍できます。ただし、登山専用品と比べると立体裁断や細かな作り込みには違いがあり、長期間の縦走やロングトレイルを前提とするなら、やはり登山メーカーのレインウェアに軍配が上がります。
そのため、「初めての一着」や「予備用」として考えると非常に魅力的なモデルです。初心者の時にこれで痛い目を見て、登山用品の高いウェアを使用すると、天国に感じるかもしれません。
メリット・デメリット
メリット
- 圧倒的なコストパフォーマンス
- 入手しやすい
- 透湿性能が高い
- 普段使いもしやすい
デメリット
- 登山専用品ほどの完成度ではない
- 細部の作り込みは価格相応
- ロングトレイル用途にはあまり向かない
おすすめな人
- 初めてレインウェアを購入する人
- 費用をできるだけ抑えたい人
- 日帰り登山が中心の人
- ハイキングを楽しみたい人
- 初心者で晴れの日登山が基本の人
登山用レインウェアでよくある質問

ここでは簡単にですが、よくある質問(FAQ)に答えていきます。登山を始めた初心者の時には、レインウェアの扱いにはいろいろと困っていたので、参考になれば幸いです。
登山用レインウェアの寿命はどれくらい?
レインウェアの寿命は使用頻度や保管方法によって大きく変わりますが、一般的には3〜5年(または着用回数50〜100回)程度が目安です。ただし、見た目に問題がなくても、防水膜やシームテープが劣化している場合があります。
雨の日に水が染み込むようになったり、シームテープが剥がれてきたりした場合は、修理や買い替えを検討しましょう。使い込むと内部結露や汗の影響で性能が劣化し、内側から加水分解することがあります。
レインウェアは洗濯しても大丈夫?
表記によりますが、洗濯機で洗濯をしてOKです。むしろ、定期的に洗濯した方が性能を維持しやすくなります。汚れがひどい部分に関しては、個別に着けおき新井をしておきましょう。
汗や皮脂汚れが透湿性能を低下させる原因になるため、メーカーの洗濯表示に従ってメンテナンスすることが大切です。また、撥水性が落ちてきた場合は、専用の撥水剤を使用することで性能が回復する場合があります。
なお、洗濯をした後は必ず撥水剤で撥水加工を施してください。
撥水性が落ちたら買い替えが必要?
レインウェアを長く使っていると、「最近、水を弾かなくなった」と感じることがあります。しかし、撥水性が落ちたからといって、すぐに買い替える必要はありません。
まず知っておきたいのは、「撥水性」と「防水性」は別物ということです。レインウェアの表面にはDWR(耐久撥水加工)が施されており、この加工によって雨粒を弾いています。しかし、長期間使用したり、汗や皮脂汚れが付着したりすると、この撥水加工は徐々に性能が低下します。
すると、生地の表面が水を吸ったような状態になり、「防水性能も落ちた」と感じやすくなります。実際には、防水膜そのものが劣化していなければ雨が内部へ浸水することはありません。
- 専用洗剤で洗濯する
- 撥水剤を使用する
- アイロンや乾燥機で熱処理を行う(メーカー推奨の場合)
といったメンテナンスを試してみましょう。それでも浸水するようになった場合は、防水膜やシームテープの寿命が考えられるため、買い替えを検討するタイミングです。
ウインドシェルとの違いは?
初心者がよく迷うのが、「ウインドシェルとレインウェアは何が違うの?」という点です。結論から言えば、役割がまったく異なります。ウインドシェルは名前の通り、風を防ぐためのウェアです。
軽量で通気性が高く、肌寒い朝や稜線で風を受ける場面では非常に快適ですが、雨を防ぐことはできません。一方、レインウェアは防水性を備え、雨や雪などの悪天候から身体を守るための装備です。
僕自身も国内ロングトレイルでは、基本的に両方を携行していました。メンドクサイ時は、レインウェアで済ませていましたが。
少し肌寒い程度ならウインドシェルを着用し、本格的な雨や冷え込みが予想される場合はレインウェアを着るという使い分けをしています。「レインウェアだけあれば十分」と思われがちですが、行動中の快適性を考えると、それぞれを使い分ける方が結果的に疲れにくくなります。
レインウェアは普段使いしても問題ない?
もちろん問題ありません。
実際に、THE NORTH FACEやマムート、モンベルなどのレインウェアを普段着として着用している人も多く見かけます。ただし、登山用レインウェアは比較的高価なため、毎日のように使用すると摩耗や汚れによって寿命が短くなる可能性があります。
特に超軽量モデルは生地が薄いため、通勤や街歩きで頻繁に着用するよりも、登山専用として大切に使った方が長持ちしやすいでしょう。一方で、クライムライトジャケットのように耐久性とデザイン性を兼ね備えたモデルであれば、街でも違和感なく着用できます。
用途に合わせて使い分けるのがおすすめです。
6000km歩いて分かった、本当におすすめの1着
ここまで10着のレインウェアを紹介してきましたが、「結局どれを選べばいいの?」と思う人も多いでしょう。もし僕が登山初心者に最初の1着をおすすめするのであれば、モンベル バーサライトジャケットを選びます。
理由は、軽量性・価格・入手しやすさのバランスが非常に優れているからです。
日本の登山では、レインウェアを着る時間よりもザックに収納して持ち運ぶ時間の方が長いことも珍しくありません。そのため、軽くてコンパクトなバーサライトは非常に扱いやすく、多くの登山スタイルに対応できます。
一方で、「これからPCTやテ・アラロア、CDTなどのロングトレイルを歩きたい」という人であれば、僕ならThe Packaを選びます。歩き続けることを前提に設計された着心地や通気性は、日本の一般的なレインウェアとは異なる魅力があります。
また、人とは違うレインウェアを選びたいのであれば、Outdoor Research Heliumも非常に面白い選択肢です。PCTでは実際に多くのハイカーが使用しており、長距離を歩く中で培われた合理的な設計思想は、日本の登山でも十分活躍してくれるでしょう。
レインウェアに「正解」はありません。日帰り登山なのか、アルプス縦走なのか、それともロングトレイルなのか。自分が歩きたい山やスタイルをイメージしながら選ぶことが、満足できる1着を見つける近道です。
初心者さん向け用途別おすすめ表
あくまで個人的な感想ですので、信じ過ぎには要注意です。
| 用途 | おすすめ |
|---|---|
| 初めて買うなら | モンベル バーサライト |
| コスパ重視 | ワークマン イナレム or バーサライトジャケット |
| 蒸れにくさ重視 | ミレー ティフォン |
| 縦走登山 | ファイントラック エバーブレス |
| 北アルプス | ファイントラック エバーブレス |
| UL装備 | EE VISP |
| ロングトレイル | 山と道 All-weather Hoody or The Packa |
| PCTを歩くなら | Outdoor Research Helium |
| 人と被りたくない | The Packa |
まとめ
登山用レインウェアは、単に「雨を防ぐための服」ではなく、安全で快適な登山を支える重要な装備です。今回紹介した10着は、それぞれに異なる特徴があります。
- 軽量性を重視するならモンベル バーサライトジャケット
- 蒸れにくさを重視するならミレー ティフォンや山と道 All-weather Hoody
- 耐久性を求めるならマムート Crater Lightやファイントラック エバーブレスフォトン
- コストパフォーマンスを重視するならワークマン イナレムプレミアム
- ロングトレイルを歩くならOutdoor Research HeliumやThe Packaも魅力的な選択肢です。
僕自身、国内外で6,000km以上歩いてきましたが、レインウェア選びに絶対的な正解はありません。大切なのは、「人気だから」ではなく、自分の歩き方や目指す山行スタイルに合った1着を選ぶことです。
この記事が、あなたにとって長く付き合えるレインウェア選びの参考になれば幸いです。
これまでに執筆した記事

