登山を始めたい。でも何から買えばいいか分からない。
「登山 必要な物」と検索してみると、登山靴、ザック、レインウェア、ストック、ヘッドライト……。必要な道具が何十種類も出てきます。「何が必要なのか?」そんな疑問を抱えながら、一つずつ道具を揃えていきました。
その後、僕は四国遍路を歩き、約4,200kmのPCT(パシフィック・クレスト・トレイル)を完歩し、国内外合わせて6000km以上を歩いてきました。だから分かるのは、大切なのは、お金をかける場所を間違えないという事です。
僕自身の経験を交えながら紹介していきます。(※※今回は冬山は完全度外視です※※)
初心者が最初に知っておきたいこと
登山用品は決して安くありません。全部揃えようと思えば20万円近くになることもあります。でも、それは何年も登山を続けている人の装備です。

初めて高尾山や筑波山、金時山のような日帰り登山へ行く人と、北アルプスを縦走する人では必要な装備が全く違います。初心者が最初に目指すべきなのは、「安全に日帰り登山を楽しめる装備」です。
登山を続けたいと思ったら少しずつ道具をアップグレードしていけば十分です。僕自身も最初から今の装備だったわけではありません。
必要になったタイミングで買い替えながら、今の装備になりました。
装備チェックリスト
| 道具 | 必須度 | 最初に買う? | 代用可能 |
|---|---|---|---|
| 登山靴 | ★★★★★ | 〇 | × |
| レインウェア | ★★★★★ | 〇 | △ |
| ザック(20〜30L) | ★★★★★ | 〇 | △ |
| 速乾性インナー | ★★★☆☆ | 〇 | 〇 |
| 登山用パンツ | ★★☆☆☆ | △ | 〇 |
| 帽子 | ★☆☆☆☆ | 〇 | 〇 |
| ヘッドライト | ★★★★☆ | 〇 | × |
| 防風服(ウィンドブレーカー) | ★★★★☆ | 〇 | × |
| Tシャツ | ★★★★☆ | 〇 | × |
| 地図・スマホ | ★★★★★ | 〇 | × |
| モバイルバッテリー | ★★★★☆ | 〇 | × |
| ファーストエイドキット | ★★★★☆ | △ | × |
| トレッキングポール | ★★★☆☆ | △ | 〇 |
| サングラス | ★★★☆☆ | △ | 〇 |
最初に揃えるべき道具一覧
まずは、初心者が最初に揃えたい道具を一覧で紹介します。
| 道具 | 優先度 |
|---|---|
| 登山靴 | ★★★★★ |
| レインウェア | ★★★★★ |
| ザック | ★★★★★ |
| 速乾インナー | ★★★☆☆ |
| パンツ(ズボン) | ★★☆☆☆ |
| 靴下 | ★★★★☆ |
| 帽子 | ★☆☆☆☆ |
| ヘッドライト | ★★★★☆ |
| 登山用シャツ | ★★★☆☆ |
| 防風服(ウィンドブレーカー) | ★★★★☆ |
| ファーストエイド | ★★★★☆ |
| トレッキングポール | ★★★☆☆ |
この中でも、僕が絶対に妥協してはいけないと思うのは
- 登山靴
- レインウェア
- ザック
この3つです。逆に言えば、それ以外は意外と代用できます。バッテリーなどは、代替えできるので、最初は大丈夫です。
予算が5万円なら、僕ならこう使う
「結局、何にどれくらいお金を使えばいいの?」これが一番知りたいところではないでしょうか。もし僕が5万円で一式を揃えるなら、こんな配分にします。
| 道具 | 予算の目安 |
|---|---|
| 登山靴 | 10,000〜15,000円 |
| レインウェア | 10,000〜20,000円 |
| ザック | 10,000〜30,000円 |
| 速乾インナー・パンツ | 手持ちやユニクロで代用 |
| 帽子・小物 | 3,000〜5,000円 |
ひとまず、このくらいの値段帯で自分が満足できるような道具がないのかを検討します。特に、登山靴やザックはピンキリですので、根気よく探しますね。
※※あくまで日帰り想定です。縦走用ですとザックは見つからないかと思います※※
登山靴だけは最初から妥協しないほうがいい
もし予算が限られていて一つしか良い道具を買えないなら、僕は迷わず登山靴をおすすめします。登山は何時間も歩き続ける遊びです。足に合わない靴を履けば、
- 靴擦れ
- 爪が痛くなる
- 足首を痛める
- 疲労が一気に増える
ということが簡単に起こります。実際、PCTでもリタイア理由の上位は足のトラブルでした。逆に、自分に合った登山靴なら驚くほど快適になります。
靴を買う際は試し履きをすること
普段履くの靴であればオンライン購入もアリですが、僕は登山靴に関しては実物で購入することをおすすめします。同じサイズでも、メーカーやブランド、個体差があり、行き当たりばったりです。お金に余裕があればいくらでも購入できますが、それは現実的ではありません。
近くのモンベルや好日山荘に赴き、面倒ですがサイズ合わせをして購入することをすすめます。
レインウェアは「雨具」ではなく命を守る装備
初心者ほど勘違いしやすいのがレインウェアです。日常遣いのモノでもいいだろう、どうせ使わないだろう、雨の日は登山をしない、という油断が命取りになります。雨の日にしか使わないと思われがちですが、実際は違います。
山では気温が急に下がりますし、天気も急激に変わります。てんきとくらすで仮にA評価を得ていても、標高が高い程天候が急激に悪化する為、レインウェアは必須になります。(慣れるまではC評価で山に行かないでください)
それに、汗をかいた状態で冷たい雨や冷えた風に当たると、一気に体温が奪われます。これが悪化すると、低体温症になります。だから、夏でも低体温症は起こります。
レインウェアは防寒着になる
レインウェアは、防寒着でもあります。ここは防寒着としてはワークマンでも問題ないモデルがあります。ですが、耐久性や快適性は登山メーカーのほうが優れています。行動をすることを考えると、ワークマンのモノは避けたいですね。
登山を長く続けるつもりなら、モンベルなど信頼できるメーカーを選んで損はありません。レインウェアの選び方については、別記事の「登山用レインウェアおすすめ10選」で詳しく解説しています。
登山用レインウェアは汗対策がしてある
普通の雨具では「汗をかくような運動をする」という前提が無いです。仕事用のモノでも、ゴアテックスが使用されているものはあっても「汗だくでも快適に」というものは殆どないでしょう。
登山用物は「山を登る」という前提がある為、モデルによってベンチレーションが設けられています。透湿性も高く設定され、体の内側の熱を素早く排気するための機構や構造をしています。
ザックは容量より背負いやすさを優先する
初心者は「何リットルがいいですか?」と聞くことが多いです。僕なら日帰り登山なら20〜30L程度をおすすめします。実は、大切なのは容量ではありません。
背負いやすさです。
肩だけで重さを支えるザックは本当に疲れます。逆に腰へ荷重を逃がせるザックは何時間歩いても疲労が少なくなります。僕が数千km使っているモンベルのアルパインパック60も、背負い心地の良さが購入理由でした。
ザック購入の際は背面長調整機能を見る事
背面長調整機能のないザックは、長時間使用していると辛いです。理由は、腰荷重で荷物を背負うためには、自分に合った適切な背面長に調整し、荷物量などに合わせて調整する必要があるからです。背面長調節機能がない場合長時間の活動が難しく、我慢の山行になります。
詳しくは、イワタニプリムスのサイトに記載がありますのでどうぞ。
ウェアは最初から高価なものを揃えなくてもいい
ここは登山初心者が一番お金を使いすぎるポイントかもしれません。もちろん、高性能な登山ウェアは快適です。汗をかいても乾きやすく、軽く、動きやすい。長期間使えば価格以上の価値があります。
でも、だからといって最初の一着から全身を登山メーカーで揃える必要はありません。
ウェア系は値段の割に満足度が低い
僕は6000km以上歩いてきましたが、初心者が日帰り登山を始める段階なら、ウェア類よりも登山靴やレインウェアへ予算を回したほうが満足度は高いと思っています。
- 速乾性のTシャツ
- 動きやすいパンツ
- フリース
- タイツ
- 厚手の靴下
実際、僕も最初から今の装備だったわけではありません。
必要だと感じたタイミングで少しずつ買い替えてきました。
だから最初から完成形を目指さなくても大丈夫です。
このあたりはユニクロやワークマンでも十分使える場面があります。もちろん、素材の選定は必用です。綿100%では、汗を吸うとなかなか乾かず、気温が下がれば体温も奪われます。
一方で、化学繊維のスポーツウェアなら低山の日帰り登山では十分活躍してくれます。
3000m級の山や長時間の縦走になると話は変わりますが「全部モンベルで揃えなければ登山はできない」そんなことはありません。
僕はむしろ、登山を続けるか分からない段階で何十万円も使ってしまうほうがもったいないと考えています。
僕は今でも安いシャツ
僕は登山用のウェアを殆ど購入したことがありません。パンツ(ズボン)もシャツも、殆どが初めから持っていた化学繊維の速乾性のシャツです。そこにお金をかける事はなく、かなり適当にしています。
PCTに行った時も、安物の短パンとワークマンのTシャツで行きました。有名な表銀座から裏銀座への縦走も、実は似たような装備です。ベースレイヤーには金額をかけますが、割とシャツなどはあまり意識していない
トレッキングポールは必要?
「ストックって必要ですか?」
これもよく聞かれる質問です。僕の答えは、「最初は無くても大丈夫。でも、あると確実に楽になります」という事でしょうか。特に下りでは膝への負担を減らしてくれます。
僕自身、PCTではほぼ毎日トレッキングポールを使っていました。何千kmも歩くロングトレイルでは欠かせない装備です。一方で、日帰り登山なら必須とは言えません。あれば楽なのは確実です。
最初の数回は使わずに歩いてみて、「膝が疲れる」「バランスを取りづらい」そう感じたら購入を検討すれば十分です。詳しいメリット・デメリットについては、別記事の「トレッキングポールは本当に必要?」で詳しく紹介しています。
合わせて、歩き方なども紹介しています。無用な故障からは逃れましょう。
ヘッドライトは「使う予定がなくても」持っていく
最初の頃は、「夜になる前に下山するから必要ない」と思いがちです。でも山では予定通りにいかないことがあります。
- 道に迷う。
- 思ったより時間がかかる。
- ケガをする。
- 天候が悪くなる。
そうすると、夕方だったはずが暗くなってしまうこともあります。僕も、何度もビバークを経験しています。ヘッドライトは、使うためではなく使わないで済めば一番いい装備です。
軽くて場所も取らないので、必ずザックへ入れておきましょう。
飲み物と行動食は意外と重要
高価な装備ばかり気になりますが、初心者ほど忘れやすいのが水分と食事です。登山では汗をかくため、想像以上に水分を失います。水分不足は疲労だけでなく、熱中症や判断力の低下にもつながります。
また、お腹が空くと足が動かなくなります。
僕もPCTでは、「疲れた」と思ったときは、実はエネルギー不足だったということが何度もありました。チョコレートやナッツ、ようかんなど、自分が食べやすいものを持っていきましょう。
水分量の目安については、「登山・ハイキングに必要な水分量と算出方法」の記事で詳しく解説しています。
初心者はどこで道具を買えばいい?
今はネットでも何でも買えます。でも、登山を始めるなら一度は登山用品店へ行くことをおすすめします。理由は一つ「試着できるから」です。特に登山靴は必ず履いてください。

僕もメーカーによって
- つま先が痛い
- かかとが浮く
- 横幅がきつい
など、同じサイズでも全然違いました。そして店員さんへは遠慮せず、相談をするようにしましょう。登山店では、店員さんも経験豊富であることが多く親身に相談に乗ってくれます。
店舗購入の場合店員さんを頼る
分からない場合は、「○○山へ行きたい」・「予算は万円くらい」「初心者です」と、この3つだけ伝えれば十分です。
登山用品店のスタッフは初心者への接客にも慣れています。
無理に高価なものを勧められるのでは、と心配する人もいますが、自分の予算を最初に伝えてしまえば、その範囲で提案してもらえます。ネット通販は、サイズや使い心地が分かってから利用するほうが失敗は少ないでしょう。
登山用品は買った後も無駄にならない
「もし登山を続けなかったらどうしよう。」
これは初心者なら誰でも考えることです。数万円のお金を使って、一度しか使わなかったらもったいない。そう思うのは当然です。でも実は、登山用品は登山以外でも役立つものがたくさんあります。
例えばレインウェア。雨の日の自転車や旅行はもちろん、台風や豪雨など災害時にも使えます。防水性と防風性が高いため、防災用品としても非常に優秀です。
ヘッドライトも同じです。停電時やキャンプ、防災用品として一家に一つあると安心できます。
ザックも旅行や日常使いができますし、速乾性のウェアはランニングやウォーキングにも使えます。
「登山専用の道具」と考えるよりも、「アウトドアや災害時にも使える道具」と考えると、購入へのハードルは少し下がるかもしれません。
登山用品を長持ちさせるためのメンテナンス
高価な道具ほど、少しの手入れで寿命が大きく変わります。とはいえ、難しいことはありません。
登山から帰ったら、まずは泥や汚れを落とし、しっかり乾燥させるだけで十分です。特にレインウェアは、汗や皮脂が付いたまま放置すると透湿性能や撥水性能が落ちやすくなります。使用後は洗濯表示に従って洗い、風通しの良い場所で乾燥させましょう。
登山靴も泥を落として乾かすだけで、劣化をかなり防げます。ザックも濡れたまま押し入れへしまうのではなく、一度陰干ししてから収納するだけでカビや臭いを防げます。
どれも数分で終わる作業ですが、数年後には大きな差になります。
靴の泥は絶対に落とす
靴のソール(ウレタン素材等)が劣化する加水分解の主な原因は「水分・湿気」と「経年劣化」です。泥を放置していると、泥中の水分で加水分解が促進されてしまいます。最悪、山の中で急にソールが剥がれ落ちるような、大惨事に遭遇することもあります。そうならないために、使用した後に泥を落として乾燥させることが重要です。
泥が付いていると、加水分解が促進され折角の高額商品も直ぐにダメになります。僕も、登山靴を整備不良で三年でダメにしているので、よく注意をしています。
メンテナンスが重要
登山靴やザックはしっかりとメンテナンスをしていれば長く使用できます。テントは、加水分解だけではなく日差しの影響で、表面加工が剥がれて使用できなくなってしまう事があります。撥水防水だけであれば、自分でも復活させることができます。そこまでする人は稀かもしれませんが、靴やザックは手入れをすれば五年以上使い続ける事ができる装備です。
よくある質問

簡単にですが、よくある質問に回答していきます。
Q. 最初からモンベルで揃えたほうがいいですか?
無理に揃える必要はありません。
僕自身、モンベル製品は品質が高く信頼していますが、「全部モンベルでなければ危険」ということはありません。大切なのは、自分の用途に合った道具を選ぶことです。
Q. ワークマンやユニクロでも登山できますか?
使える場面は多いです。シャツや寝巻など、日帰り問わず様々な場面で応用できます。
ただし、綿素材の服や普段履きのスニーカーはおすすめできません。速乾性があり、動きやすい服を選びましょう。また、レインウェアや登山靴は、できるだけ登山向けの製品を選んだほうが安全です。
Q. 最初から全部揃えないとダメですか?
必要ありません。
登山を始めてみると、「もっと軽いザックが欲しい」「冬も歩いてみたい」「テント泊をしてみたい」など、自分がやりたい登山が少しずつ見えてきます。そのタイミングで必要な装備を追加していけば十分です。
最初から完璧な装備を揃える必要はありません。
Q.山登りの前にコーヒーを飲むのはなぜ?
「眠気覚まし」や「スキだから」以外にも、幾つかのメリットがあります。
それは、集中力の向上、脂肪燃焼の促進、疲労感の軽減、という3つのメリットがあります。もちろん、利尿作用もある為、確実にメリットだけとは言えません。
Q.登山 ペットボトル 水筒 どっち?
基本的には、水筒。ですが、実際にはペットボトルの人が多く、使い捨てをしている感じです。
僕も登山に行く際は、ペットボトルを使用することが多くあります。水を運ぶのに、ウォーターキャリや専用の水筒を使用していました。
まとめ|まずは最低限の装備で山を歩いてみよう
登山用品を調べ始めると、「あれも必要、これも必要」と情報が次々に出てきます。すると、「お金がかかりそうだから、もう少し後で始めよう」と感じてしまう人も少なくありません。
でも、僕はそうは思いません。安全に歩くために必要な道具はありますが、それ以外は少しずつ揃えていけば十分です。
僕が初心者の方へ伝えたい優先順位は、とてもシンプルです。
- 登山靴にはしっかりお金をかける。
- レインウェアは命を守る装備として準備する。
- 自分に合ったザックを選ぶ。
- ウェア類は手持ちやユニクロ・ワークマンも上手に活用する。
- 登山を続けたいと思ったら、少しずつ装備を充実させていく。
この順番なら、無理なく、安全に登山を始められます。そして一番大切なのは、道具を揃えることではありません。山を歩いてみることです。
僕も最初から6000km歩くつもりだったわけではありません。近くの山を歩くことから始まり、少しずつ歩く距離が伸び、その積み重ねが四国遍路やPCTにつながりました。
だから、まずは近くの山へ出かけてみてください。
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